キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

就職支援講座(1)
インターン(上) 学生アンケートから見る 目的別の最適プログラム

  • (2018/07/06)

2020年春卒業予定者のインターンシップイベントが各地で開催され、どこのイベントにも多くの学生が詰めかけています。インターンシップは一部の意識の高い学生が参加するものではなく、就職活動をする学生なら誰もが参加するものとなりました。インターンシップ参加が当たり前となった今、学生に必要なアドバイスはどのようなものなのでしょうか。

就活スケジュールが変更された2016年卒からインターンシップ参加者が増え続けています。キャリタス就活を運営するディスコの調査によると、2019年春卒業予定者のインターンシップ参加率は8割に達しました。企業数が多く実施率も高い首都圏の主要大学に限れば、参加率は9割近くになるでしょう。

企業の実施率が上昇した主な理由は、採用選考時期の後ろ倒しによって少くなった学生との接点を増やそうとしたことと、他社に先駆けて内定を出すために選考の一部としてインターンシップを使い始めたためです。学生の参加率が上がった理由は、実施企業の増加とインターンに参加すると本選考で優遇されることが多いからでしょう。

参加目的は「顔と名前を覚えてもらうため」

 先日会った内定者の話です。夏に9社、秋に2社、冬に4社のインターンに参加したAさんは、インターン参加によるメリットを次のように話します。

「インターンに参加するかしないかで、人事担当者との接触回数がかなり異なります。夏のインターン終了後、何度となくイベントなどに呼ばれたりするため、3月の解禁時には人事担当者とは顔見知りになっています。3月からの説明会では説明を聞くというより、人事担当者へのあいさつ回りのようでした。担当者に顔と名前を覚えてもらうことは、選考に有利に働くと思っています」

ここまで行くと、何のためのインターンシップと説明会なのかがわからなくなってしまいますが、学生の多くは「インターンシップ=選考で有利」と捉えて参加しているが現実です。インターンシップ本来の目的である就業観の醸成は無関係になってしまっています。

何ために参加するのか?

ただ、「本選考で有利になる」という目的だけでインターンシップに参加しても、学生の成長や、企業・仕事を見る目を養うことにはつながりません。また、選考に有利になる企業もあれば、そうでない企業もあり、参加してみないとその違いは分かりません。さらに、インターン中の評価によっても本選考への影響が異り、「本選考で有利になる」とならないこともあるので、本来の参加目的は持っていたほうがいいでしょう。

では、学生たちにどんな目的を持ってもらえばいいのでしょうか。日経HRがインターンシップに参加した学生たちに「参加してよかった点」を聞いたアンケート結果があります。これを見ると、「仕事理解」「雰囲気理解」「業界理解」「企業理解」が上位に並びました。これらを参加目的にするといいでしょう。


日経HR「2018年卒者インターンシップに関する調査」

目的に合うプログラムは?

このような参加によって得られたことを目的に参加を勧めるのはいいのですが、目的と一致するプログラムと一致しないプログラムがあります。下表は学生たちが「参加して良かった点」とプログラムの関係を表したものです。縦軸が「参加して良かった点」、横軸が「プログラム内容」で、色のついている部分が目的を得られるプログラムということになります。

例えば、「仕事理解」「企業理解」「選考に有利」「人事に覚えてもらう」であればプログラムに差はありませんが、「他大学生との交流」「グループワークの練習」「論理的思考力」はグループワークのみといった具合です。


もちろん志望する企業が決まっているのであればインターンシップに行くことが目的の1つになりますが、志望する業界や企業が具体的に決まっていないような場合には、何を目的に参加するのかを決め、それに合ったプログラム内容を選ぶように促すといいでしょう。


【プロフィール】
渡辺茂晃(わたなべ・しげあき)
日経HRコンテンツ事業部長 桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科非常勤講師。
1991年入社。高齢者向け雑誌編集、日本経済新聞社産業部記者を経て98年より就職関連情報誌・書籍の編集に携わり、2005年日経就職ナビ編集長、2015年日経カレッジカフェ副編集長、2018年から現職。著書は『これまでの面接vsコンピテンシー面接』『マンガで完全再現! 面接の完璧対策』『面接の質問「でた順」50』など。

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