キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

就職支援講座(2)
インターン(中) 本選考並みの選考プロセスも

  • (2018/07/20)

前回は、目的に合わせたプログラムの選び方を説明しました。今回はインターンシップに参加するための選考対策と事前準備についてです。インターンシップの選考の実態と、どんな準備が必要なのかを説明しましょう。

3社中2社は選考がある

 

日経HRが実施した調査結果を見ると、インターンシップ参加に際して選考があった企業数は323件中229件、選考がなかったのは94件(先着順3、学校推薦5、抽選1含む)と、3社に2社は選考がありました。選考がなかった94件のうち56件がワンデイ(半日6件含む)で6割を超えています。反対にワンデイ(125件)でも選考があるのは69件と半数を超えています。このようワンデイでも選考はありますので、インターンシップに参加しようと思ったら、選考対策が必要になってきます。

  

では、どのような選考試験対策が必要になるのでしょうか。選考のある企業のうちエントリーシート(ES)による選考があるのは195件、面接84件、筆記試験50件、グループディスカッション(GD)・グループワーク(GW)31件となっています。これを見る限り本番と同じような選考があると思ったほうがいいでしょう。最低でもエントリーシート対策講座で、「自己PR」「学生生活で力を入れたこと」「インターンシップに参加したい理由」はまとめられるよう指導しておくといいでしょう。


※「その他」には上記以外の選考の組合せが含まれます。

筆記試験はWEBテストが多いので、SPI系の「WEBテスティングサービス」か「玉手箱」は練習を勧めてください。面接はES同様「自己PR」「学生生活で力を入れたこと」「インターンシップに参加したい理由」の回答を準備すること。あとは模擬面接講座があればいいでしょう。選考だけでなく、インターン参加中のグループワークを考えると、グループディスカッションやグループワーク対策も実施する意味はあります。

 

就活を終えた学生たちからは、インターンシッププログラムでの経験だけでなく、インターン用の選考試験を受けたことが就活で役立ったという声が多く聞かれました。インターンシップの選考は本採用の選考と大きく異なる点はありません。インターン向け選考対策をすることによって、早めに本選考の対策につながることを伝えてください。

参加中に備えてやるべきことは?

 

選考試験の次は実際に参加に向けた準備です。これは前回の目的と同様、プログラムに合わせた準備が必要になります。ワンデイの講義形式のものなら話を聞くだけなので特に準備はいりません。ただ、講義形式であっても受け身の姿勢で臨むのではなく、事前に新聞や業界地図などで業界や企業の現状を調べ、不明点を確認するための質問の準備をするようにアドバイスしてください。

 

次にグループワークの準備はどうでしょう。グループワークは参加先企業の業界や業務に関する内容が多く見られます。ワークの前には講義などによって業界や業務に関する説明を受けるので、専門の知識がなくても対応はできます。ただ、より理解を深めたり、活発な議論や他グループとの競争に勝つことを目指すなら、講義形式と同様に事前の業界・企業研究をお勧めします。

 

また、インターンシップが採用の一部となりつつある今、グループワークでの言動は評価の対象になります。積極的な姿勢はもちろんですが、協調性、リーダーシップ、他者への気遣い、論理的思考力、プレゼンテーション能力などが評価されます。事前にグループワーク対策講座として座学と、模擬グループワークの機会があるといいでしょう。

仕事体験は雑談の練習も

現場の社員との接点が多い仕事体験は、敬語や服装、ビジネスマナーなど多くの準備が必要になります。日経HRがインターンシップに参加した学生に「インターンシップ中に困ったこと」を質問した結果を紹介しましょう。ワンデイの少ない2014年に調査したので、参加者の多くは仕事体験型やグループワーク型での経験をもとに回答しています。


日経HR調べ
 

困ったこと1位は敬語、2位服装で、3位に雑談が入りました。大学のインターンシップ参加者向けガイダンスでは敬語や服装、身だしなみなどは教えていると思いますが、「雑談」の仕方について講座を設けているというところは少ないでしょう。  

学生たちからは「昼休憩のときに話題提供があまりできなかった。また、話を広げられなかった」「相手が社会人のため、どのように会話をすべきか、雑談をする際にどのような配慮をすべきかなどに困った」「社員の方や内定者との座談会が設けられていたが、ある程度質問するとネタがなくなり、何を話すべきなのかが分からず気まずくなった」といった感想が寄せられています。

 

移動中や昼食時、仕事の合間などを雑談で埋め、気まずい沈黙の時間を避けることに苦労した学生が多かったようです。社会人と雑談するには、やはり社会人との共通言語となる日経新聞を読むことです。他の新聞でもいいのですが、企業情報が最も多く掲載されているという点からも日経新聞をお勧めします。
 ※『日経新聞の読み方講座(無料)』を希望される大学様は、当サイトの『お問い合わせ』よりご連絡ください。

 

例えば、インターン先の企業の記事が出ていたら、「今朝の日経新聞に出ていた御社の記事を見ました。□□事業に力を入れるんですね」と。同業他社の記事が出ていたら「○○社の△△事業の記事ですが、御社にはどのような影響がありますか?」といった質問ができます。学生には、雑談は自分が話すだけでなく、相手に話してもらうことでもあると説明すると、気分的に楽になるでしょう。

学生が困った場面を参考に準備講座を

最後に、学生たちがインターンシップ中に困ったことの一部をご紹介します。これらを参考にインターンシップ対策講座のプログラムを設計してください。

  • ●(メール)メールの返信やお礼状などで、テンプレート通りになりすぎないように工夫することが難しかった
  • ●(会話)社員さんがフランクに話しかけてくれるのでフランクに会話をしたが、失礼な発言をしていないか不安だった
  • ●(化粧)普段化粧をしないので、どの程度まで化粧を濃くすれば良いのか分からなかった(ナチュラルメイクの程度が分からない)
  • ●(あいさつ)企業の方と距離がある場合、あいさつの仕方もおじきだけすればよいのかなど、緊張して分からなくなってしまった
  • ●(スマホ)スマホの充電をしていいのかどうか、許可を得れば充電していいのか、そもそもダメなのか分からなかった

※「就職支援講座(1)インターン(上)学生アンケートから見る 目的別の最適プログラム」はこちら

【プロフィール】
渡辺茂晃(わたなべ・しげあき)
日経HRコンテンツ事業部長 桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科非常勤講師。
1991年入社。高齢者向け雑誌編集、日本経済新聞社産業部記者を経て98年より就職関連情報誌・書籍の編集に携わり、2005年日経就職ナビ編集長、2015年日経カレッジカフェ副編集長、2018年から現職。著書は『これまでの面接vsコンピテンシー面接』『マンガで完全再現! 面接の完璧対策』『面接の質問「でた順」50』など。

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