業界研究図鑑

主要38業界の現状と課題をコンパクトにまとめました。「志望業界が決まっていない」「どんな業界があるのか分からない」といった就職活動初期の学生には最適のコンテンツです。キャリアガイダンスでの業界説明などの参考にしてください。※原則として、2017年8月10日時点での内容ですが、一部加筆しています。

  • メーカーⅠ
  • メーカーⅡ
  • 金融
  • 商社・流通・運輸
  • サービス
  • IT・通信・マスコミ

メーカーⅠ

  1. 1. 電機・電子
  2. 2. 機械
  3. 3. 自動車
  4. 4. 食品・飲料
  5. 5. 化学

  6. 6. 医薬品
  7. 7. 化粧品・生活用品
  8. 8. ガラス・ゴム・セメント

電機・電子

冷蔵庫や洗濯機といった白物家電、テレビやDVDレコーダーといったAV機器、コンピューターやスマートフォンなどの情報通信機器、半導体や電子部品など幅広い製品の製造に携わる業界。かつては世界を席巻した日本の電機業界の凋落を印象づけたのは、2012年と2016年です。

AV系3社、パナソニック、ソニー、シャープの2012年3月期の最終赤字額は、合計で約1兆6000億円に達し、家電王国は崩壊しました。半導体では、エルピーダメモリもルネサスエレクトロニクスも2012年初頭に経営危機に直面しました。経営破綻したエルピーダは米マイクロン・テクノロジーに買収され、マイクロン・メモリ・ジャパンに社名変更し、ルネサスエレクトロニクスは、産業革新機構やトヨタ自動車、日産自動車の出資を受けて再建しています。2016年には、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループがシャープを買収しました。日本の大手電機メーカーが外資系企業に買収されたのは初めてです。

不適切会計問題が発覚した東芝は経営が悪化、白物家電部門を中国・美的集団へ売却するなど解体的な再生を迫られています、東芝、日立製作所、三菱電機は、電力・鉄道システムや産業機器といった社会インフラ事業を主体とする重電系3社とも呼ばれますが、日立、三菱は世界のインフラ投資の拡大を受けて受注を伸ばしており、業績も比較的好調です。

IT系の富士通とNECはクラウドに対応した事業の国際化と脱ハードが経営課題です。成長分野と期待しているのが、インターネットを通じてあらゆるものがつながるIoT関連と、AI関連の分野です。

主な企業
  • 日立製作所
  • 東芝
  • 三菱電機
  • シャープ
  • ソニー
  • パナソニック
  • NEC
  • 富士通
  • キヤノン
  • リコー
  • 富士ゼロックス
  • 京セラ
  • TDK
  • 日本電産
  • 日東電工
  • 村田製作所
  • アルプス電気
  • ローム

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機械

産業用ロボット、工作機械、計測機器、建設機械などを扱う業界。一般消費者にはなじみの薄い業界ですが、各産業の製造現場を支えるという重要な役割を果たしています。三菱重工業やIHIなどの総合重機は、航空機やロケット、船舶、プラント、橋梁、産業機械などの大型構造物を開発・生産し、世界展開をしています。

工作機械は自動車や電子機器、航空機などさまざまな製品に必要な部品をつくるための機械で、機械をつくる機械なので「マザーマシン」とも呼ばれています。自動車・自動車部品産業への依存度が高いことから、中部地方には工作機械メーカーも多く、一般的にヤマザキマザック、DMG森精機、オークマの大手3社を「御三家」と呼びます。

産業ロボットは、製造現場や建築現場で使われるロボットです。自動制御できる作業機能や移動機能を持ち、各種の作業をプログラムによって実行します。日本では1980年ごろから普及し、現在は輸出が7割を占めるようになりました。産業ロボット王国、日本も転機を迎えています。IoTを軸にした第四次産業革命、インダストリー4.0に対応し、製造システム全体をロボット化する課題解決が、機械産業全体にかかわる問題として浮上しています。ロボットで言えば、人型ロボットも含めて、介護用、接客用、エンターテイメント用などさまざまな分野での新型ロボットの開発競争が始まっています。

主な企業
  • 三菱重工業
  • 川崎重工業
  • IHI
  • コマツ
  • 日立建機
  • コベルコ建機
  • 横河電機
  • ファナック
  • 安川電機
  • 日揮
  • 千代田化工建設
  • 東洋エンジニアリング
  • クボタ
  • ヤマザキマザック
  • DMG森精機
  • オークマ

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自動車

自動車メーカーに加え、タイヤ、点火プラグ、塗料、自動車保険など関連する業界のすそ野は広く、日本経済の屋台骨を支えています。

国内乗用車大手8社の2016年の世界生産台数は、前年比3.3%増の2722万294台となり、5年連続で過去最高を更新しました。一方、新車国内販売台数は、前年比1.5%減の497万260台で、5年ぶりに500万台を割りました。若者のクルマ離れの進行や所有しない「シェア経済」の普及などが要因です。2016年の自動車の世界販売台数では、独フォルクスワーゲンが初の世界首位に立ち、トヨタ自動車は5年ぶりに首位の座を譲り渡しました。

車の開発から生産、販売まで、その仕組みやシステムが変わりつつあります。その大きな要因は、エコカーを巡る主導権争いと新興国の台頭です。エコカーといえば、ハイブリッド車(HV)が目下の主導権を握ってきますが、世界的にはさまざまなエコカーが登場しています。諸外国での環境規制が強まる中、HVをエコカーとみなさないという動きが表面化してきました。こうした状況を背景にエコカーの開発が加速しています。 電気自動車(EV)の登場で、「車イコール大資本がつくるもの」というピラミッド型の図式も崩れ、EVに挑戦するベンチャービジネスも登場しています。EVの販売に参入する家電量販店も現れました。インターネットで車を販売する流れもあり、新しいライバルの登場です。自動運転技術やコネクテッドカー(つながるクルマ)を軸にIT企業との連携も増えてきています。

主な企業
  • トヨタ自動車
  • ホンダ
  • 日産自動車
  • スズキ
  • マツダ
  • ダイハツ工業
  • 三菱自動車
  • SUBARU
  • いすゞ自動車
  • 日野自動車
  • デンソー
  • アイシン精機
  • 豊田自動織機
  • トヨタ車体
  • トヨタ紡織
  • ヤマハ発動機
  • 川崎重工業
  • ブリヂストン

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食品・飲料

毎日の暮らしに直結する商品を扱うため、消費者のニーズを的確に把握するとともにきめ細かな配慮が求められる食品業界。ビール、牛乳類(牛乳、加工乳など)、清涼飲料、菓子・パン、即席麺、冷凍食品など、身近な商品を扱う企業が多く、学生の人気が高い業界です。典型的な内需産業の一つで、少子高齢化の影響を大きく受けています。このため、生き残りを賭けた連携やグローバル化が目立ってきています。

ビール系飲料の2016年の出荷量は、前年比2.4%減の4億1476万ケース(1ケースは大瓶20本換算)となり、過去最低を更新。発泡酒が3年ぶりにマイナスになるなど全ジャンルが初めて減少し、苦戦が目立ちました。政府は2017年度税制改正大綱で、2026年にビール系飲料の税額を一本化する方針を決めました。それを見据え、各社は国内のブランド集約を急いでいます。主力ブランドに注力して収益を高めて、海外展開に投資するためです。

アサヒグループホールディングスは2016年、世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブから、東欧と西欧のビール事業を合計1兆2千億円で買収すると発表しました。キリンホールディングスも2015年にミャンマーのビール最大手を買収するなど海外に軸足を移しています。 キリンは業績低迷が続くブラジルのビール事業から撤退しました。アサヒはカゴメとの資本提携を解消しています。食品業界のグルーバル化、提携も「選択と集中」の段階を迎えつつあります。 大手食品メーカーは医薬品やサプリメントなどを手掛けている企業も多く、自社の技術を他分野にどう生かしていくかも経営課題の一つです。

主な企業
  • アサヒグループホールディングス
  • キリンホールディングス
  • サッポロホールディングス
  • サントリーホールディングス
  • コカ・コーラ グループ
  • サントリー食品インターナショナル
  • 日本たばこ産業
  • 味の素
  • キユーピー
  • カゴメ
  • ハウス食品グループ本社
  • 日清食品ホールディングス
  • 伊藤ハム米久ホールディングス
  • 日本ハム
  • 明治ホールディングス
  • 森永乳業
  • 雪印メグミルク
  • 山崎製パン
  • ロッテ
  • 日清製粉グループ本社
  • マルハニチロホールディングス
  • ニチレイ

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化学

原油を精製してできる「ナフサ」を主な原料として、合成ゴム、化学繊維、樹脂、電子材料、塗料、石けん、洗剤、界面活性剤、接着剤、フィルムなど、幅広い商品を生み出すのが化学業界。その中で、ナフサなどを原料に生産されるエチレンなど基礎原料(川上)からポリプロピレン、ポリエチレンなど誘導品(川下)まで幅広く手がける大手化学メーカーを「総合化学」と呼びます。

採算が悪化している汎用品の生産拠点再編に先鞭をつけたのは、三菱ケミカルホールディングスです。2014年に鹿島事業所(茨城県神栖市)のエチレン設備を停止し、大規模な削減を行いました。続いて2015年には住友化学が、2016年には旭化成が設備を停止しています。

各社は高付加価値分野の強化を進めています。旭化成、住友化学、宇部興産は電気自動車(EV)に使うリチウムイオン2次電池の部材に力を入れています。三菱ケミカルホールディングスは炭素繊維やヘルスケア関連事業に成長の軸足を移そうとしています。同社は2017年4月傘下の三菱化学(2016年3月期売上高1兆7459億円)、三菱レイヨン(同5484億円)、三菱樹脂(同4808億円)の3社を統合。売上高3兆円に迫る新会社「三菱ケミカル」を発足しました。また、ドイツの素材大手SGLグループが米国に持つ炭素繊維の工場を買収して生産能力を増強します。炭素繊維で高いシェアを持つ東レや帝人も投資を拡大しており、新たな用途開発などを通じて新しい事業の柱にしたい考えです。

主な企業
  • 三菱ケミカルホールディングス
  • 富士フイルムホールディングス
  • 住友化学
  • 三井化学
  • 旭化成
  • 信越化学工業
  • 積水化学工業
  • 昭和電工
  • 東ソー
  • 宇部興産
  • DIC

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医薬品

医薬品業界は、処方藥を手掛ける医療用医薬品、医師の処方なしで買える大衆薬を提供する一般用医薬品、特許の切れた医薬品を製造する後発医薬品(ジェネリック)に分類されます。医療用の大手各社は収益モデルを転換中です。武田薬品工業が後発薬世界最大手テバ・ファーマシューティカル・インダストリーズ(イスラエル)と手を組んだ合弁会社「武田テバファーマ」が2016年4月にスタートしました。後発薬の普及は先発医薬品メーカーの需要を奪う存在でしたが、武田は後発薬との競合から協調へと戦略転換したのです。

特許切れと同時に新薬の売上高が急減する米国型の市場で求められるのは、今後の成長をけん引するための新薬開発です。新薬が発売までこぎ着ける成功確率は約3万分の1とされています。研究開発費も膨らむ一方で、莫大な費用がかかります。このため、新薬を求めたM&A(企業の買収・合併)が続出しています。武田は海外製薬へのM&Aに取り組む一方で、2016年12月には傘下の試薬大手和光純薬工業を1500億円強で富士フイルムホールディングスに売却しました。2008年に医薬品へ参入した富士フイルムは再生医療事業の拡大を狙っており、総合ヘルスケア企業を目指しています。政府は医療費の抑制のため、2018〜2020年度の早い時期に後発薬を8割とする目標を掲げていいます。日医工、沢井製薬といった後発藥大手は生産能力を増強中です。

主な企業
  • 武田薬品工業
  • アステラス製薬
  • 第一三共
  • エーザイ
  • 大塚ホールディングス
  • 中外製薬
  • 田辺三菱製薬
  • 協和発酵キリン
  • 大日本住友製薬
  • 塩野義製薬
  • 沢井製薬
  • 日医工

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化粧品・生活用品

経済産業省の「生産動態統計年報」によると、2016年の国内メーカーの化粧品出荷額は前年比1.2%増の1兆5250億円でした。ここ数年、化粧品業界の好調はインバウンド需要に支えられていました。少子高齢化が進み、急激な伸びは見込めない国内市場ですが、スキンケア分野の利益が伸びています。

花王が発表した2017年12月期(国際会計基準)の業績見通しで、連結営業利益予想は2000億円でした。会計基準の変更などを考慮した実質ベースで、5期連続で過去最高を更新します。 脱デフレ型の高付加価値品戦略が当たりました。スキンケア商品や衣料用洗剤など定番品に付加価値を高めた新商品を投入して、販売単価引き上げに成功したのです。もう一つは中国事業の拡大です。生活水準向上を背景に日本ブランドの商品へのニーズが高まり、紙おむつ「メリーズ」の販売が伸びています。

資生堂も中国事業を強化中です。2017年から主力の基礎化粧品「エリクシール」を中国市場に投入しました。インバウンド消費の影響で、中国では日本ブランドの基礎化粧品が人気です。エリクシールの生産拠点をベトナムから日本に切り替え、日本製をアピールする作戦です。その資生堂は2020年に女性管理職の比率を4割にする目標を打ち出しています。将来的には男女の管理職比率の同率をめざします。同社に限らず、化粧品業界各社は女性社員の比率が高く、女性社員のリーダー育成に注力しています。共働き家庭の増加を背景に、時間短縮に役立つ商品や、長寿時代に対応できるシニア向けの商品の開発競争が始まっています。

主な企業
  • 花王
  • 資生堂
  • コーセー
  • ファンケル
  • ポーラ・オルビス ホールディングス
  • プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&Gジャパン)
  • ユニリーバ・ジャパン
  • ライオン
  • ユニ・チャーム
  • 日本ロレアル

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ガラス・ゴム・セメント

板ガラスの世界シェアは、旭硝子、日本板硝子、仏サンゴバン・セントラル硝子連合がトップ争いをしており、世界市場、国内市場ともに上位メーカーによる寡占状態が続いています。液晶パネルなどの薄型ディスプレー用ガラスやタッチパネル用ガラス、自動車用ガラスの需要が高く、旭硝子と日本板硝子は高機能ガラスで収益を伸ばしています。日本板硝子は、2017年4月に総額400億円の増資を発表しました。調達資金の半分は自動運転に適した高精度ガラスや省エネ性能の高い建築用ガラスの増産や開発に充てます。自己資本を増強して、国際競争力の強化を図ります。

ゴム業界は、JSR、日本ゼオンが専業大手。世界的なエコカーブームを背景に低燃費タイヤ向け高機能ゴムの開発・生産に力を入れています。一方、乗用車用タイヤは韓国、中国などを中心とした海外メーカーの格安品の攻勢を受けるなど競争環境が変化しています。

セメント業界は、太平洋セメント、宇部三菱セメント、住友大阪セメントの上位3社で、市場占有率は8割超になります。東京五輪関連事業向けに国内需要の増加が期待される半面、ポスト五輪を心配する向きもあります。丸紅は国内のセメント販売から撤退しました。2017年4月、同社は90%出資の丸紅セメント資材の国内営業事業を太平洋セメントのグループ会社、太平洋セメント販売に売却しました。国内需要は限りがあるため、輸出に特化するようにしました。

主な企業
  • 旭硝子(2018年7月1日付で社名を「AGC」に変更)
  • 日本板硝子
  • 日本電気硝子
  • セントラル硝子
  • JSR
  • 日本ゼオン
  • 宇部三菱セメント
  • 住友大阪セメント
  • 太平洋セメント

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