業界研究図鑑

主要38業界の現状と課題をコンパクトにまとめました。「志望業界が決まっていない」「どんな業界があるのか分からない」といった就職活動初期の学生には最適のコンテンツです。キャリアガイダンスでの業界説明などの参考にしてください。

  • メーカーⅠ
  • メーカーⅡ
  • 金融
  • 商社・流通・運輸
  • サービス
  • IT・通信・マスコミ

メーカーⅠ

  1. 1. 電機・電子
  2. 2. 機械
  3. 3. 自動車
  4. 4. 食品・飲料
  5. 5. 化学

  6. 6. 医薬品
  7. 7. 化粧品・生活用品
  8. 8. ガラス・ゴム・セメント

電機・電子

冷蔵庫や洗濯機といった白物家電、テレビや携帯音楽プレーヤー、DVDレコーダーといったAV機器、コンピューターや携帯電話などの情報機器、半導体や電子部品など幅広い製品の製造に携わる業界。かつては世界を席巻した日本の電機業界ですが、今ではその影は薄れ、韓国勢など新興勢力に圧倒されています。

(社)電子情報技術産業協会の「電子工業生産実績表」によると、2010年の電子機器の生産額は、民生用が前年同期比8.0%増の2兆3944億円、産業用が同5.5%増の4兆6715億円、電子部品・デバイスが19.0%増の8兆2656億円でした。リーマンショック後の世界同時不況によって電機各社の業績は大幅に悪化しましたが、2011年3月期決算を見ると回復に転じた企業も出ています。日立製作所と東芝はインフラ事業や半導体事業が好調で過去最高の純利益を記録しました。一方、シャープ、ソニー、パナソニックの3社は、単価下落の影響によってテレビ事業の採算が悪化しています。ITサービスを主力とする富士通、NECは国内企業の設備投資抑制によって赤字。京セラ、TDK、日本電産などの電子部品会社は、スマートフォンの販売増や自動車業界の回復、旺盛な海外需要によって業績は好調でした。

電機各社は震災の影響を受けていることと、国内需要の回復の遅れが懸念材料としてあります。今後は、海外市場の需要をいかに取り込むかが課題で、太陽光発電に代表される環境対応製品、利益率の高いスマートフォン関連商品に期待が集まっています。

主な企業
  • 日立製作所
  • 東芝
  • 三菱電機
  • シャープ
  • ソニー
  • パナソニック
  • NEC
  • 富士通
  • キヤノン
  • リコー
  • 富士ゼロックス
  • 京セラ
  • TDK
  • 日本電産
  • 日東電工
  • 村田製作所
  • アルプス電気
  • ローム

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機械

OA機器、工作機械、計測機器、時計、重機・建機、医療用機器などを扱う業界。一般消費者にはなじみの薄い業界ですが、各産業の製造現場を支えるという役割はとても大きなものです。

2009年にはリーマンショックによる世界的な景気後退によって、企業の設備投資の大幅な抑制、もしくはキャンセルが相次ぎました。このため、工作機械受注総額は前年の半分近くにまで落ち込みましたが、2010年は前年の2倍以上の9786億円と急回復しました(日本工作機械工業会調べ)。同工業会が毎月発表している会員企業の受注額は、設備投資の動向が示す日本経済の「先行指標」として取り上げられており、機械業界の業績を見れば景気の先行きが分かるといえます。資源開発や産業拡大が進むBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)などの経済状況は好調を維持しており、新興国の設備投資拡大に期待がかかります。

産業用機械以外には、発電所や天然ガス・石油の採掘プラントを建設するプラント会社、航空エンジンや人工衛星などを手掛ける重機会社、韓国、中国と激しい首位争いを繰り広げる造船会社、新興国の開発で潤う建設機械、農業機械などがあり、有力企業がひしめいています。リーマンショック後には苦境に立たされた機械各社ですが、新興国の設備投資は依然として活発です。先端的な独自技術を持った国内機械各社はまだまだ成長の余地があるといえるでしょう。

主な企業
  • 三菱重工業
  • IHI
  • 川崎重工業
  • コマツ
  • 島津製作所
  • 横河電機
  • ファナック
  • 安川電機
  • 日揮
  • 日立プラントテクノロジー
  • 千代田化工建設
  • 日立造船
  • ダイキン工業
  • クボタ
  • 日本精工
  • 荏原

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自動車

自動車メーカーに加え、車体、エンジン、タイヤ、ブレーキなどの部品メーカーもこの業界に含まれます。2008年秋のリーマンショックによる影響で、国内自動車各社は大きなダメージを受けました。それ以降、自動車業界は中国を中心とした新興国市場の開拓に注力しています。特に、中国市場は新車販売台数が09年比32.4%増の1806万台となり、2年連続で世界1位。かつての最大市場アメリカの1.5倍の市場規模を持つまでになりました。中国だけでなく、ロシア、ブラジル、インドなどのいわゆるBRICsに加え、中南米やアフリカの市場も成長中です。

こうした状況に対して日産自動車と仏ルノーはロシアの自動車最大手アフトワズの共同買収やブラジルでの新工場建設、中国での電気自動車生産に動き出すなど、新興国対応を急いでいます。ただ、国内自動車各社は東日本大震災の影響でサプライチェーンが寸断されて生産が一時ストップするなど、生産計画に大きな狂いが生じました。2011年秋以降には正常化すると見られていますが、一時的な世界シェアの低下は避けられない状況です。

新興国を中心にした海外販売は好調なものの、国内市場では震災の影響以外にも自動車業界はいくつかの問題を抱えています。それは、少子化による人口減や若者のクルマ離れなどです。新興国市場開拓とは別に、減り続ける国内需要に歯止めをかけることが急がれます。

主な企業
  • トヨタ自動車
  • ホンダ
  • 日産自動車
  • スズキ
  • マツダ
  • ダイハツ工業
  • 三菱自動車
  • 富士重工業
  • いすゞ自動車
  • 日野自動車
  • デンソー
  • アイシン精機
  • 豊田自動織機
  • トヨタ車体
  • トヨタ紡織
  • ヤマハ発動機
  • 川崎重工業
  • ブリヂストン

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食品・飲料

毎日の暮らしに直結する商品を扱うため、消費者のニーズを的確に把握するとともにきめ細かな配慮が求められる食品業界。ビール・発泡酒・雑酒や牛乳類(牛乳、加工乳など)、清涼飲料、菓子・パン、即席麺、冷凍食品など、身近な商品を扱う企業が多く、学生の人気が高い業界です。

財務省の「法人企業統計」では、2009年度の食品製造業の売上高は前年比14.3%減の43兆9000億円でした。農林水産省の「平成22年度食品産業動態調査」では、2005年を100とした食品製造業の生産額指数(総合、暫定値)は98.1で減少しています。

少子高齢化による国内市場の縮小に加え、リーマンショック以降の景気低迷など、厳しい状況から抜け出していません。こうした中、食品業界ではM&A(合併・買収)の動きが相次いでいます。キリンホールディングスはサントリーとの経営統合が破談となりましたが、2010年にシンガポール清涼飲料大手F&Nに資本参加、2011年にはベトナムの清涼飲料大手IFSを買収しました。アサヒグループホールディングスはオーストラリアのビール大手P&Nを買収、サッポロホールディングスも協同乳業と業務提携。飲料以外でも、明治製菓と明治乳業が2011年4月に統合して明治となり、業界はめまぐるしく動いています。現在、食品業界全体への影響も懸念されているのが、原発事故による放射能汚染の食品への風評被害です。国内だけでなく海外でも日本の食品に対する目は厳しく、これが長引くと大きなダメージとなりそうです。

主な企業
  • アサヒグループホールディングス
  • キリンホールディングス
  • サッポロホールディングス
  • サントリー
  • コカ・コーラグループ
  • 日本たばこ産業
  • 味の素
  • ハウス食品
  • 日清食品
  • キユーピー
  • 日本ハム
  • 明治
  • 森永乳業
  • 山崎製パン
  • ロッテ
  • 日清製粉グループ本社
  • マルハニチロホールディングス
  • ニチレイ

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化学

原油を精製してできる「ナフサ」を主な原料として、合成ゴム、化学繊維、樹脂、電子材料、塗料、石けん、洗剤、界面活性剤、接着剤、フィルムなど、幅広い商品を生み出す化学業界。市場規模は自動車業界に次ぐ大きさで、化学工業とプラスチック製品製造業を合わせた2009年の出荷額は約33兆7000億円という規模です(工業統計確報)。

同業界はここ数年、自動車・電機メーカーに歩調を合わせるように製品を作ってきたため、2008年9月以降自動車や電機メーカー向け需要が急減したのに伴って、各社業績が悪化しました。しかし、化学大手6社の2011年3月期決算は、自動車向けとアジア向けの石油化学製品が好調で、大幅な増収増益となりました。

化学業界の製品を直接目にすることは少ないでしょうが、日本企業はリチウムイオン電池や太陽光発電、次世代ディスプレーの有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)など、最先端の製品群を抱えているのです。例えば、リチウムイオン電池の主要な素材は、日本企業が製造していますし、有機ELにも多くの日本企業が参入しています。最先端の技術開発で世界をリードする国内メーカーですが、韓国、中国などの追い上げも厳しく、安心はできません。市場としては新興国開拓は最優先課題ですが、技術競争では新興国がライバルになりつつあります。

主な企業
  • 三菱ケミカルホールディングス
  • 富士フイルムホールディングス
  • 住友化学
  • 三井化学
  • 旭化成
  • 信越化学工業
  • 積水化学工業
  • 昭和電工
  • 東ソー
  • 宇部興産
  • DIC

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医薬品

医薬品には、病院で処方される医療用医薬品と薬局やドラッグストアで買える大衆薬があります。2010年の市場規模は、一般用医薬品(大衆薬)が6247億円(富士経済調べ、推計)、医療用医薬品市場が8兆8516億円(IMSジャパン調べ)でした。大衆薬は身近な存在ではありますが、市場規模を比較すると医療用が一般用の14倍にもなります。

製薬業界では規模の拡大が続いています。武田薬品工業は2011年5月、スイスの製薬大手ナイコメッドを96億ユーロで買収すると発表しました。武田はこれまで、海外では米国を中心に営業活動をしていたのですが、今回の買収によって欧州や新興国の販売網を手に入れることができました。2008年にも第一三共がインドの大手ランバクシー・ラボラトリーズを買収するなど、製薬業界では大型買収が続いています。各社が買収を急ぐのは、2010年から各社の主力薬の特許切れが始まったから。新薬の開発とともに海外市場の開拓を進めなければ、生き残りは厳しい状況にあるのです。

とはいえ、世界市場を見ると国内トップの武田でさえ、今回の買収で世界12位になる程度。欧米各社に対抗するには規模の拡大もまだまだ必要で、今後も合併や買収などで規模の拡大を図る企業が出ると見られています。

主な企業
  • 武田薬品工業
  • アステラス製薬
  • 第一三共
  • エーザイ
  • 大塚製薬
  • 田辺三菱製薬
  • 協和発酵キリン
  • 大日本住友製薬
  • 塩野義製薬

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化粧品・生活用品

少子高齢化が進む国内市場では、今後急激な伸びは見込めないのが化粧品業界です。化粧品業界では現在、資生堂とカネボウ化粧品を傘下に収めた花王の2社の争いが激しさを増しており、コーセー、ポーラ・オルビス ホールディングスなどが続きます。各社は国内では高級品と低価格品の二極化戦略を進めています。資生堂は店頭実勢価格1000円以下の基礎化粧品ブランド「専科」を投入、日本の低価格市場とアジア市場を同一商品で開拓する計画。カネボウ化粧品も化粧水や乳液を1050円で販売、40歳代の主婦層をターゲットにしています。資生堂、花王、コーセーの化粧品大手3社の2011年3月期の連結決算は、資生堂が中価格帯で苦戦し増収減益、花王はコスト削減、コーセーは中国市場の伸びとコスト削減で減収増益となりました。

化粧品以上に激しい競争が繰り広げられているのが生活用品業界。需要が伸び悩む中、販売価格の下落が止まりません。そのため、資生堂の「TSUBAKI」を筆頭に、花王の「アジエンス」など、各社は高級ヘアケア市場に製品を投入し、収益確保を狙っています。化粧品・生活用品の両業界とも、国内市場から海外市場への展開を模索中です。特に各社が力を入れるのが中国を中心としたアジア市場。資生堂は中国向けブランドの刷新を図り、新しい専門店網を構築して販路拡大を急いでいます。花王はアジアで販売する従来ブランドに、シャンプーやスタイリング剤、住宅用洗剤を追加して需要を開拓しています。

主な企業
  • 資生堂
  • 花王
  • コーセー
  • ファンケル
  • ポーラ・オルビス ホールディングス
  • P&G(米)
  • ユニリーバ・ジャパン
  • ライオン
  • ロレアル(仏)

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ガラス・ゴム・セメント

ガラス業界には、板ガラス世界最大手の旭硝子、英ピルキントンを買収して世界2位になった日本板硝子、ディスプレー用に強い日本電気硝子、世界3位の仏サンゴバンと提携関係にあるセントラル硝子など、有力企業が数多く存在します。建築・住宅用ガラスが伸び悩むなか、液晶パネルなどの薄型ディスプレー用ガラスや自動車用ガラスの需要が増しており、自動車メーカーの中国進出に合わせて現地で生産するなど、海外展開も進んでいます。現在、期待されているのがタッチパネル用ガラス。世界的に普及が拡大しているスマートフォン(高機能携帯電話)での需要が急激に増えています。

ゴム業界は、JSR、日本ゼオンが専業大手。自動車用タイヤの需要が新興国を中心に増えており、特に低燃費タイヤ向け高機能ゴムの開発・生産に力を入れています。他に半導体や液晶フィルムに使う先端材料で、次世代技術の研究・開発が急がれます。

セメント業界は、太平洋セメント、宇部三菱セメント、住友大阪セメントの上位3社で市場占有率は8割超になります。公共事業関連の需要低迷が続いているため、各社とも民間需要の取り込みに必死になっています。産業廃棄物や副産物などのリサイクル資源を利用したセメント製造などにも期待がかかっており、震災復興のための需要も増えると見られています。

主な企業
  • 旭硝子
  • 日本板硝子
  • 日本電気硝子
  • JSR
  • 日本ゼオン
  • 宇部三菱セメント
  • 住友大阪セメント
  • 太平洋セメント

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