業界研究図鑑

主要38業界の現状と課題をコンパクトにまとめました。「志望業界が決まっていない」「どんな業界があるのか分からない」といった就職活動初期の学生には最適のコンテンツです。キャリアガイダンスでの業界説明などの参考にしてください。※原則として、2017年8月10日時点での内容ですが、一部加筆しています。

  • メーカーⅠ
  • メーカーⅡ
  • 金融
  • 商社・流通・運輸
  • サービス
  • IT・通信・マスコミ

メーカーⅡ

  1. 9. 建設
  2. 10. 住宅・住設機器
  3. 11. 石油・鉱業
  4. 12. 鉄鋼・非鉄金属

  5. 13. 繊維
  6. 14. アパレル
  7. 15. 印刷・製紙
  8. 16. 音楽ソフト・ゲーム

建設

総合建設会社、ゼネコンはゼネラルコントラクターの略語で、ダムや道路を建設する土木工事、ビルやマンションを建てる建築工事などを一括して請け負います。大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店の5社はスーパーゼネコンと呼ばれています。

(財)建設経済研究所が毎年4月に発表している建設投資の見通しによると、日本の建設投資は2016年度が前年度比2.4%増の52兆1900億円、2017年度が前年度比0.7%減の51兆8100億円でした。政府建設投資は2016年度、2017年度ともに2015年度を上回りますが、民間建設投資が2016年度は増加したものの、2017年度は減少に転じるとみています。もっとも東日本大震災の復興関連事業や2020年の東京五輪を控え、建設業界は人手不足が続いています。

大手ゼネコン各社が2017年4月に総合職の初任給を引き上げました。。初任給の引き上げは大林組が4年連続、大成と鹿島が2年ぶりです。業績が好調なうえ、優秀な人材を確保するために必要だと判断したのです。建設技術者の平均稼働率は96%と高水準で、有効求人倍率が25年ぶりの水準になるなど新規採用も難しく、需要はあるのにニーズに合う人が採用できていない状況です。女性や外国人の採用をどう進めるのか、建設作業のロボット化をどう実現するかが課題です。

主な企業
  • 鹿島建設
  • 清水建設
  • 大成建設
  • 大林組
  • 竹中工務店
  • 戸田建設
  • 西松建設
  • 長谷工コーポレーション
  • 前田建設工業
  • 三井住友建設
  • 五洋建設

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住宅・住設機器

アパート・マンションを含め、年間数万戸を販売する大手から、地域密着型の工務店まで多様な形態の企業が存在する住宅業界。戸建て住宅で台風の目になっているのが、割安な分譲戸建てを販売する飯田グループホールディングスです。同社は2013年11月に一建設やアーネストワンなど6社が統合して誕生、大和ハウス工業と積水ハウスの2強体制に風穴を開けました。ミサワホームは2017年1月、トヨタホームによるTOB(株式公開買い付け)と第三者割当増資が完了し、トヨタホームの子会社になりました。トヨタの住宅産業への本格参入ののろしです。

住宅・住設機器メーカーは、省エネルギーの対応に力を注いでいます。パナソニックは54%を出資するパナホームを2017年8月1日付で完全子会社化しました。両社は住宅リフォーム事業のブランドを統合するなど協業を進めてきましたが、国内の住宅着工件数は今後減少する見通しで、両社のリソースを共有して競争を勝ち抜く道を選びました。パナソニックは米IBMと連携し、ポストスマートハウスとして人工知能を活用したAIハウスの事業化を目指しています。住設機器メーカーのパナソニック電工は、2012年1月、パナソニックに合併されてパナソニックのエコソリューションズ社として再スタートしました。

住設機器最大手LIXILグループの中核事業会社であるLIXILは、2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカー5社が統合して誕生しました。LIXILグループは、ホームセンターなど流通・小売り事業や、不動産、金融サービスなど総合的な住環境ソリューションを提供する住宅・サービス事業を、傘下の国内事業会社を通じて展開しています。また、積極的に海外M&Aを進めていますが、中国子会社の会計不祥事で2016年3月期は赤字に転落しました。2017年3月期は海外の水回り事業が好調で黒字に改善しましたが、国内のリフォーム市場が伸び悩むだけに、今後の事業戦略が注目されています。

主な企業
  • 大和ハウス工業
  • 積水ハウス
  • 飯田グループホールディングス
  • 積水化学工業
  • 旭化成ホームズ
  • 住友林業
  • ミサワホーム
  • パナホーム
  • 三井ホーム
  • LIXILグループ
  • パナソニック
  • TOTO
  • YKK AP
  • 大建工業
  • タカラスタンダード

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石油・鉱業

石油業界は、原油を精製して石油製品として販売する「石油元売り」と石油や天然ガスの探鉱・開発、生産を行う「石油開発」の2つに分かれます。資源小国の日本は主要資源の海外依存度が高く、石炭は99%以上、原油は99.7%、天然ガスは97.5%を海外に依存しています。

再編を繰り返してきた石油元売り業界は大きな節目を迎えます。国内ガソリン販売シェアで50%超の「巨人」が誕生しました。石油元売り首位だったJXホールディングス(HD)と同4位だった東燃ゼネラル石油は、2017年4月に統合新会社「JXTGホールディングス(HD)」を発足。売上高約10兆円、国内製油所は11カ所となり、原油の処理能力は日量約200万バレルに達します。系列給油所数も約1万4カ所と圧倒的な規模です。

公正取引委員会は2016年12月、出光興産による昭和シェル石油株取得についても認めました。出光の大株主である創業家の反対で、昭和シェル石油との合併協議が難航していますが、合併が実現すれば1980年代に10社以上あった元売り業界は「2強」に集約されます。

鉱業では鉄鉱石から非鉄金属、レアアースまで、世界中で争奪戦が繰り広げられています。鉄鉱石は豪英のBHPビリトンとリオ・ティント、ブラジルのヴァーレの3社が市場を支配しているため、日本の鉄鋼大手や商社はその間に食い込み、鉄鉱石の資源権益確保を急いでいます。資源相場が回復の機にほかの分野でも資源投資が増えそうです。

主な企業
  • JXTGホールディングス
  • 出光興産
  • 昭和シェル石油
  • コスモ石油
  • 国際石油開発帝石
  • 石油資源開発
  • 住友金属鉱山

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鉄鋼・非鉄金属

鉄鋼業界は、鉄鉱石を溶かして銑鉄(不純物を含む鉄)を取り出して鋼にし、それから最終的な製品までを作る高炉メーカー、鉄スクラップを原料に鉄鋼を作る電炉メーカー、鉄鋼を加工する単圧メーカー、固さや柔らかさの異なる鋼・特殊鋼を作る特殊鋼メーカーなどに分かれます。高炉は、NKK(旧日本鋼管)と川崎製鉄が経営統合した「JFEホールディングス」と、新日本製鉄と住友金属工業が合併した新日鉄住金、鉄鋼・非鉄・機械を3本柱とする神戸製鋼所の3グループで構成されています。新日鉄住金は2017年3月、日新製鋼を子会社化しました。国内各社は世界的な再編の渦のなか、経営統合により国際競争力を強化しているのです。

高炉各社は車体の軽量化につながる高張力鋼板(ハイテン)の海外生産体制を相次ぎ整えています。ハイテンは日本が得意とする分野ですが、韓国勢や中国勢の技術力が向上し追い上げが加速しています。日本各社は、最新鋭「超ハイテン」の海外生産を本格化させ、ライバルを突き放そうとしています。一方、鉄鋼に変わる車素材としてアルミ合金や炭素繊維を採用する動きも急です。近代日本を支え、「鉄は国家なり」まで言われた鉄鋼業も異次元の素材競争に巻き込まれています。

非鉄業界は、日本各社による海外鉱山の開発や権益取得が目立ちますが、近年、開発費の膨張や銅価格の下落で多額の損失が発生しています。住友金属鉱山は、南米の銅鉱山事業の採算が悪化し、2017年3月期連結決算で過去最大となる185億円の最終損失を計上しました。こうした背景を踏まえ、海外で金属スクラップの集荷を強化する動きがあります。「都市鉱山」や「工場鉱山」から出る銅やレアメタル(希少金属)の回収です。鉱石の調達環境が厳しい時代だけに、技術力を生かした日本の非鉄各社が注目されています。

主な企業
  • 新日鉄
  • 神戸製鋼所
  • 住友金属工業
  • JFEホールディングス
  • 東京製鉄
  • 三菱マテリアル
  • 住友金属鉱山
  • DOWAホールディングス
  • 住友電気工業
  • 古河電気工業
  • 日鉄鉱業
  • 日本軽金属ホールディングス
  • UACJ
  • JX金属

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繊維

繊維業界は脱本業の代表選手みたいな業界です。合繊最大手の東レは炭素繊維世界一で、医薬や電子材料へも多角化しています。同社は2017年度から3年間で設備投資やM&Aに約1兆円を投じます。海外を中心に1備投資は約5000億円を計画。米サウスカロライナ州では総額1千億円を投じ炭素繊維工場を2017年度から順次稼働させます。また、韓国では電気自動車の中核部品、リチウムイオン電池向けのセパレーター(絶縁材)、エアバッグ向けや紙おむつ向け繊維の生産を増やす計画です。

しかし、東レの繊維事業は連結営業利益の45%程度を占める主力です。東レは2017年6月30日、ニット(編み物)生地製造で世界首位の香港パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングス(PTHD)に出資すると発表ました。同社は「ユニクロ」のファーストリテイリングや欧米のスポーツブランドなどから生産を請け負っています。衣料品業界は商品企画と販売を自前で担う「製造小売業(SPA)」の勢いが強まっています。これに対応して、受託製造会社を傘下に収めアパレル産業での存在感を高める戦略と言えます。世界の炭素繊維の主要メーカーは東レ、帝人、三菱ケミカルで日本勢が並んでいます。3社の市場シェアは約7割です。綿紡老舗、日清紡ホールディングスは自動車のブレーキ摩擦材では世界シェア15%程度で最大手です。綿紡の老舗ダイワボウホールディングスは情報通信機器の販売を拡大しています。

主な企業
  • 東レ
  • 帝人グループ
  • クラレ
  • 三菱レイヨン
  • ユニチカ
  • ダイワボウホールディングス
  • 東洋紡績
  • 日清紡ホールディングス
  • クラボウ

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アパレル

アパレル業界ではマーチャンダイザーによって、自社で商品を作ったり、自社ブランドのコンセプトによって商品を仕入れたりしてきました。販路も直営店だけでなく、提携先の店舗に卸売りする形態をとっていた。SPA(製造小売業)の台頭で、ビジネスモデルの転換を迫られています。

SPA業態の先駆けとなったのは「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングやしまむらなどです。海外勢では、スペインのZARAやスウェーデンのH&M、アメリカのFOREVER21などのファストファッションブランドもSPAです。在庫リスクはあるものの、販売力があれば高い利益率を確保できます。そのため、総合アパレルもSPA型のビジネスモデルへ転換し始めています。他にもZOZOTOWNなどの「インターネット通販」や、業店舗のコンセプトに合う複数の取引先から商品を購入して販売するセレクトショップも台頭し、若手経営者による企業も増えています。

一方、百貨店で高級服を売っていた従来型アパレルメーカーは、百貨店の売上高減少に歩調を合わせるように苦戦が続いています。ワールドやオンワードホールディングス、三陽商会など大手アパレルは、新規ブランドの開発や海外ブランドの買収によるブランド強化と、ファッションビルやショッピングセンターなど百貨店以外の販路拡大で生き残りを模索していますが、まだ成果は表れていません。

レナウンは2010年5月に中国繊維大手の山東如意集団の傘下に入りました。苦境にある日本のアパレルメーカーと台頭する中国を象徴する出来事でした。サンエーインターナショナルと東京スタイルは2011年に共同持ち株会社「TSIホールディングス」を設立しました。三陽商会は2015年に英バーバリー社とのライセンス契約を終了しています。アパレル不況が続くなか、各社が改革を急いでいます。

主な企業
  • ファーストリテイリング
  • しまむら
  • ワールド
  • オンワードホールディングス
  • 三陽商会
  • イトキン
  • レナウン
  • ワコールホールディングス
  • グンゼ

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印刷・製紙

印刷業界は、大きく分けると、パンフレット・チラシ向けの商業印刷と、雑誌・書籍向けの出版印刷、パッケージ印刷などの特殊印刷の3つに分けられます。印刷業界の構造は、全国に2万社ある印刷会社のうち9割以上が中小規模。現在の事業規模を維持できるのは、大日本印刷と凸版印刷の2社に絞られており、他社は得意分野へ特化することで生き残りを図っています。

印刷大手は液晶パネルに使う反射防止フィルムやカラーフィルター、半導体の回路原版となるフォトマスクなど、先端電子部品での需要、電子書籍などに期待を寄せています。大日本と凸版による流通の囲い込み競争も激しさを増しています。大日本はジュンク堂書店や文教堂グループホールディングス、丸善、図書館流通センターを傘下に収め、凸版は紀伊国屋書店と業務提携しました。

製紙産業は木材などから取り出したセルロース繊維の集合体であるパルプや古紙を原料にして紙や板紙製品を生産する産業です。2006年に製紙業界が揺らいだ王子製紙(現王子ホールディングス)による北越製紙(現北越紀州製紙)への敵対的TOB(株式公開買い付け)が不成立に決まりました。それから10年余。国内の紙需要が減り続けても過当競争、過剰設備という難題は解消できず消耗戦を続けています。勝ち残りに向け、再編に動き出すのは誰かに注目が集まっています。

主な企業
  • 大日本印刷
  • 凸版印刷
  • 共同印刷
  • 王子ホールディングス
  • 日本製紙
  • レンゴー
  • 大王製紙
  • 北越紀州製紙
  • 三菱製紙

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音楽ソフト・ゲーム

音楽ソフト業界は、インターネットとスマートフォン(スマホ)の普及により、ビジネス形態が変化しています。日本レコード協会によると2016年の音楽ソフト(オーディオ/音楽ビデオ合計)の生産額は前年比3.5%減の2456億円で、ジリ貧傾向が続いています。一方、音楽配信サービスの売上実績は前年比12%増の528億円で、3年連続で増加となりました。定額制聴き放題サービスの「サブスクリプション」が好調で、売上高を押し上げました。サブスクリプションの分野では、米アップルの「Apple Music(アップルミュージック)」やLINEの「LINE Music(ラインミュージック)」、エイベックス・グループとサイバーエージェントが手掛ける「AWA(アワ)」など競争が激化しています。

ゲーム市場ではビッグニュースが相次いでいます。スマホ向けゲーム「ポケモンGO」が世界で人気を集めました。2016年7月に配信が始まるやいなや世界各国でダウンロードランキング1位を獲得しました。開発したのは米ベンチャー企業のナイアンティックで任天堂の関連会社のポケモンが開発に協力しました。

その任天堂は17年3月発売の新型ゲーム機「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」を発売、オンラインサービスを強化する方針を打ち出しました。高性能なグラフィック画面をアピールするライバル機に対し、据え置き型ながら持ち運んでも遊べるという新しい遊び方を提案したのです。任天堂の不振はそのまま家庭用ゲーム機市場の縮小にもつながりかねません。業績回復の起爆剤になるか注目されています。ライバルのソニーは2016年、4K相当の高解像度に対応する新型機「PS4プロ」を発売しました。スマホでは得られない高精細なグラフィック画像が売りです。

主な企業
  • エイベックス・グループ・ホールディングス
  • ソニー・ミュージックエンタテインメント
  • ユニバーサルミュージック
  • ソニー・インタラクティブエンタテインメント
  • 任天堂
  • バンダイナムコホールディングス
  • スクウェア・エニックス・ホールディングス
  • セガサミーホールディングス
  • ディー・エヌ・エー
  • ガンホー・オンライン・エンターテイメント
  • セガサミーホールディングス

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