業界研究図鑑

主要38業界の現状と課題をコンパクトにまとめました。「志望業界が決まっていない」「どんな業界があるのか分からない」といった就職活動初期の学生には最適のコンテンツです。キャリアガイダンスでの業界説明などの参考にしてください。

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  • IT・通信・マスコミ

商社・流通・運輸

  1. 21. 商社
  2. 22. 百貨店・スーパー・コンビニ
  3. 23. 不動産
  4. 24. 鉄道・陸運
  5. 25. 空運・海運

商社

日本にあって外国が必要とするものを輸出し、日本に必要なものを海外から輸入するのが商社の中心業務。三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅の5社が総合商社としてのトップグループを形成し、ニチメンと日商岩井が合併した双日、トーメンと合併した豊田通商が大手5社を追う構図です。その他に、食品を中心とする国分、金属を中心とするメタルワンなど、特定の分野に特化した専門商社も存在します。

元々は仲介・卸売り業としての役割が大きかった商社ですが、現在では資源・エネルギー開発に力を入れており、この分野が商社の利益の大半を稼ぎ出しています。資源・エネルギーに関しては、単に輸入するというのではなく、海外の油田・ガス田、鉱山などの権益を持ち、そこで採掘した資源を国内だけでなく新興国にも供給しています。原油を筆頭に資源価格が上昇していることを背景に、大手商社7社の2011年3月期連結決算では、全社が増収増益を記録しました。

ただ、資源・エネルギー分野への過度な依存に各社は危機感を持っており、インフラや環境分野への投資を積極的に推進中。その中心となるのが水道事業と発電事業で、中国などのBRICsを中心にした新興国市場への売込みを強化しています。他にも医療関連、農業など新たな分野を収益の柱に育てたい考えです。

総合商社以外にも、鉄鋼、医薬品、食品など得意分野を生かした専門商社が多数存在します。特に鉄鋼、医薬品、食品では売上高1兆円を超える企業も多くあります。食品商社では2011年7月、菱食、明治屋商事、サンエス、フードサービスネットワークの三菱系4社が経営統合し、三菱食品となりました。今後も専門商社の再編の動きは進む可能性があります。

主な企業
  • 三菱商事
  • 伊藤忠商事
  • 三井物産
  • 丸紅
  • 住友商事
  • 豊田通商
  • 双日
  • メタルワン
  • メディパルホールディングス
  • アルフレッサホールディングス
  • スズケン
  • 国分

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百貨店・スーパー・コンビニ

流通業界は、リーマンショック後の消費者の節約志向に続いて東日本大震災など、各社の収益を圧迫する事態が続いています。特に百貨店業界では、主力の高級衣料品や高額商品の売り上げ減に歯止めがかかりません。日本百貨店協会の調査によると、2010年の全国百貨店の売上高は前年比3.1%減の6兆2921億円と、14年連続で前年を下回りました。こうした状況を反映して、店舗の閉鎖も相次いでいます。三越伊勢丹ホールディングスは「新宿三越アルコット」の営業を2012年3月で終了し、大丸松坂屋百貨店を運営するJフロントリテイリングも松坂屋銀座店を2013年に取り壊し、百貨店でない商業ビルを17年にも開く計画です。百貨店各社は専門店などをテナントにして集客を狙う戦略をとっています。

スーパー業界では、ダイエー、マルエツをグループに持つイオンと、イトーヨーカ堂、セブン-イレブン・ジャパン、そごうを擁するセブン&アイ・ホールディングスとの競争が激しさを増しています。コンビニ業界でも低価格競争がし烈になっており、日本フランチャイズチェーン協会によると、2010年の既存店ベースの年間売上高は前年比0.8%減の7兆3947億円となりました。一人当たりの年間購入額も前年比0.7%減の570.6円と単価下落が続いています。震災の買いだめ需要などによって3月以降売り上げを伸ばしていますが、各社とも震災による店舗被害も大きく、素直に喜べる状況ではありません。

主な企業
  • 三越伊勢丹ホールディングス
  • J・フロントリテイリング
  • 高島屋
  • そごう・西武
  • エイチ・ツー・オーリテイリング
  • セブン&アイ・ホールディングス
  • イオン

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不動産

ビルやマンション、住宅などの建物や土地を直接または仲介で売買する不動産業界。都心は東京ミッドタウンや赤坂サカスなど大規模な再開発が続きましたが、これら大規模再開発事業の中心的存在となっているのが大手不動産会社です。

三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産、野村不動産の大手5社の2011年3月期連結決算を見ると、三菱地所以外は増収でした。ところが、東日本大震災の影響による資材不足や電力供給不安などによって、建設中のビル・マンションの完成の遅れへの懸念があり、2012年度は大幅に減少すると見られています。2012年3月期にはマンション販売戸数で各社100〜1600の減少を見込む事態に陥っています。震災までは低金利や住宅取得促進策が追い風となって首都圏を中心にマンション販売が好調だっただけに、各社にとってはショックが大きいでしょう。

一方、不動産会社の主力事業であるビル賃貸では、三菱地所が今後3年間で東京・丸の内や大手町の再開発に6000億〜7000億円を投資する計画です。オフィス賃貸に関しては空室率は改善傾向にあるものの賃料の下落は続いており、安心できる状況にはありません。さらに震災と電力不足の影響で、オフィスを東京から関西に移す企業が出るなど、関西への人口移動の動きが続いています。不動産各社は、耐震性能の高いビルや高機能なビルの供給や海外事業の拡大を推し進める計画です。

主に不動産を対象とする投資信託のREIT(不動産投資信託)は、震災直後に急落したものの、日銀の買い入れなどがあって回復しています。しかしながら、企業の関西地域への機能移転、放射能汚染の拡大、電力の供給不足、企業収益の悪化など懸念材料は多く、まだまだ予断を許さない状況です。

主な企業
  • 三菱地所
  • 三井不動産
  • 住友不動産
  • 東急不動産
  • 野村不動産ホールディングス
  • 森ビル
  • 大京
  • 東京建物

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鉄道・陸運

陸路を使って人やモノを運ぶ業界。鉄道は景気の影響を比較的受けにくいと言われていますが、2008年秋のリーマンショック以降、減速が続いています。特に路線距離の長い会社ほど減少傾向が顕著で、不況で出張や遠出を控える企業が増えたことが影響しています。さらに、景気対策として実施された高速道路の料金値下げによって、鉄道の利用者数が減少しました。しかし、2010年12月には東北新幹線が新青森駅まで延伸、九州新幹線も2011年3月に鹿児島ルートが全面開業しました。JR東日本は震災の影響を大きく受けていて、普及の見通しが立たない路線もあります。普及を急ぐと同時に、新幹線の開通を機に遠距離旅行需要の開拓を進めたいところです。JR東海はリニア中央新幹線(東京−名古屋間)の開業目標時期を2027年と発表。発着駅は東京がJR品川駅、愛知がJR名古屋駅に決定、最高時速505キロで品川−名古屋間を約40分で結ぶ計画です。私鉄は震災と計画停電の影響で、関東大手7社すべてが減収となりました。

陸運業界は、ヤマト運輸(ヤマトホールディングス)、佐川急便(SGホールディングス)が国内2強体制を築きつつあります。ヤマト運輸は2010年1月に上海とシンガポール、2011年2月に香港で宅急便事業を始め、2011年9月にはマレーシアでもサービスを開始します。佐川は企業間物流といった法人需要の取り込みに積極的です。郵便事業が中心の郵便事業会社は遅配問題などもあり、シェアを落としています。

主な企業
  • JR北海道
  • JR東日本
  • JR東海
  • JR西日本
  • JR九州
  • 東京急行電鉄
  • 西武鉄道
  • 東武鉄道
  • 小田急電鉄
  • 京王電鉄
  • 近畿鉄道
  • 阪神半球ホールディングス
  • 名古屋鉄道
  • ヤマト運輸(ヤマトホールディングス)
  • 佐川急便(SGホールディングス)
  • 西濃運輸(セイノーホールディングス)
  • 日本通運
  • 日本郵政

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空運・海運

空運は、長らく日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の2強時代が続いてきましたが、日本航空は2010年1月、経営悪化や債務超過などを理由に会社更生法の適用を申請。企業再生支援機構の支援のもと再建中で、国内路線2割、国際路線3割を廃止、グループで1万6000人の人員削減、ホテル事業売却など、大規模なリストラ策を進めることによって赤字体質からの脱却を進めています。また、オーストラリアのカンタス航空の子会社で格安航空会社(LCC)大手のジェットスターらと共同出資会社を設立、2012年にも国内線の格安航空事業を始める計画が明らかになりました。ANAの11年3月期連結決算は、売上高が前年同期比11%増の1兆3576億円、最終損益は233億円の黒字。しかし、東日本大震災で来日する外国人旅客数が急減しており、震災前の水準に戻るのはいつになるのか先が見えていません。

海運は日本郵船、商船三井、川崎汽船が3強。資源の乏しい日本にとっては欠かせない業界で、日本の貿易量(輸出入合計)のうち、海上貿易は99%以上(トン数ベース)を占めます。海運大手3社の2011年3月期連結決算は、中国を中心としたアジアや欧米向けの輸送需要が増えて黒字となりました。リーマンショックからの急回復となりましたが、震災の影響による自動車輸送の需要減で再び減益になりそうです。各社は日用品や電化製品をコンテナで輸送するコンテナ船事業、資源エネルギー輸送など、事業分野を均等にしてリスクの分散を進めています。

主な企業
  • 全日本空輸(ANA)
  • 日本航空(JAL)
  • 北海道国際航空(エア・ドゥ)
  • スカイマーク
  • 日本郵船
  • 商船三井
  • 川崎汽船

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