業界研究図鑑

主要38業界の現状と課題をコンパクトにまとめました。「志望業界が決まっていない」「どんな業界があるのか分からない」といった就職活動初期の学生には最適のコンテンツです。キャリアガイダンスでの業界説明などの参考にしてください。※原則として、2017年8月10日時点での内容ですが、一部加筆しています。

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  • IT・通信・マスコミ

商社・流通・運輸

  1. 21. 商社
  2. 22. 百貨店・スーパー・コンビニ
  3. 23. 不動産
  4. 24. 鉄道・陸運
  5. 25. 空運・海運

商社

日本にあって外国が必要とするものを輸出し、日本に必要なものを海外から輸入するのが商社の中心業務。高度成長期には総合商社は10社ありましたが、現在は三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅を総合商社5社と呼びます。ニチメンと日商岩井が合併した双日、トーメンと合併した豊田通商を大手7社、兼松を加えて大手8社というケースもあります。

大手5社の2017年3月期決算(国際会計基準)は、資源価格が回復したうえ、非資源分野の収益が拡大したことで、全社で最終損益が改善しました。2018年3月期も全社が増益を見込んでいます。前期は1494億円の純損失を出し、伊藤忠にトップの座を奪われた三菱商事は、利益額で伊藤忠商事を抜き、再び首位となりました。物流施設などインフラへの投資を積極的に推進すると同時に、資源投資にじわりと動き出しています。資源価格低迷で、開発用設備のリース相場などは数年前の半額程度に下がった例もあります。採算が取りやすくなっており「安値圏」と見て投資の機会を探っています。

特定の分野に特化した専門商社の再編も表面化しています。豊田通商の子会社の半導体商社であるトーメンエレクトロニクスと豊通エレクトロニクスは2017年4月に合併しました。三井物産と住友商事が折半出資する三井住商建材と丸紅が全額出資する丸紅建材が1月に合併、SMB建材として再スタートしました。住友商事と鉄鋼商社のメタルワンは国内の鋼管販売事業の統合を検討中です。早ければ2018年度の前半に新会社を設立し事業を移管します。

主な企業
  • 三菱商事
  • 伊藤忠商事
  • 三井物産
  • 丸紅
  • 住友商事
  • 豊田通商
  • 双日
  • 兼松
  • メタルワン
  • 長瀬産業
  • メディパルホールディングス
  • アルフレッサホールディングス
  • SMB建材
  • スズケン
  • 三菱食品
  • 日本アクセス
  • 国分グループ本社

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百貨店・スーパー・コンビニ

流通業界は消費者の節約志向・消費スタイルの変化で、各社の収益が悪化しています。特に百貨店業界では、主力の高級衣料品や高額商品の売り上げ減少に歯止めがかかりません。

2016年の全国百貨店売上高は、前年比2.9%減(既存店ベース)の5兆9780億円でした。6兆円を割り込むのは1980年(5兆7225億円)以来36年ぶりで、地方や郊外にある店舗の閉鎖計画が相次いでいます。セブン&アイ・ホールディングスは百貨店事業を大幅に縮小、関西が地盤のエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)と資本業務提携しました。株式を持ち合うとともに、セブン&アイ傘下のそごう・西武が運営するそごう神戸店(神戸市)など2店をH2Oに譲渡する方向で詰めています。

2016年の全国スーパーの売上高は13兆426億円(全店ベース)でした。既存店の販売実績は前年比0.4%減と2年ぶりに前年実績を割り込みました。スーパーの象徴だったイオングループのダイエー碑文谷店は2016年5月に閉店しました。コンビニも飽和状態に近づきつつあり、再編が始まっています。ファミリーマートとサークルKサンクスは2016年9月に経営統合して、持ち株会社ユニー・ファミリーマートホールディングスが発足しました。三菱商事は2017年2月にローソンへのTOB(株式公開買い付け)を実施。保有比率を現在の33.4%から50%強に高め、連結子会社化にしました。資源分野への過度な依存はリスクを抱えるため、三菱商事はローソンへの関与を深めて、非資源分野を強化したい考えです。

主な企業
  • 三越伊勢丹ホールディングス
  • J・フロント リテイリング
  • 高島屋
  • そごう・西武
  • エイチ・ツー・オー リテイリング
  • イオン
  • セブン&アイ・ホールディングス
  • ユニー・ファミリーマートホールディングス
  • セブン‐イレブン・ジャパン
  • ローソン
  • ファミリーマート

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不動産

ビルやマンション、住宅などの建物や土地を直接または仲介で売買する不動産業界。各施設単独の開発にとどまらず、オフィスと商業施設、さらには住居など複合機能を持つビルを中長期の時間軸で開発するケースや、旧来の住宅や小規模店舗・ビル、狭い道路が密集したエリアを大型の街区にまとめ、複合棟に建て替える再開発の手法が増えています。自社で資金調達して保有し続けるほか、大手は系列のREIT(不動産投資信託)の活用、グループ外に売却するなど資産ポートフォリオを常に見直しています。

東京都心のオフィス大量供給が懸念される「2018年問題」への対応も課題です。森ビルの調査によると、2018年の都心3区(千代田、中央、港)の供給量は105万平方メートルに達する見込みです。100万平方メートルの大台を上回るのは2006年以来12年ぶりとなります。2018年以降も東京五輪の2020年にかけて、大型ビルの竣工が相次ぎ予定されています。新しいオフィスへの移転が増えれば、現在入居しているオフィスの解約が急増し、空室率の悪化が想定できるからです。

不動産研究所によると、2016年の首都圏の供給戸数は、24年ぶりの低水準を記録しました。売れ行きを示す契約率も低調です。販売価格はバブル期以来の水準で、購入意欲は低下していますが、不動産各社は低金利を背景に強気の販売姿勢を崩していません。需要は割安な中古に流れ、2016年の中古の契約戸数は初めて新築を上回りました。強気が裏目に出る可能性もあります。

主な企業
  • 三菱地所
  • 三井不動産
  • 住友不動産
  • 東急不動産ホールディングス
  • 野村不動産ホールディングス
  • 東京建物
  • 森ビル
  • NTT都市開発
  • 大東建託
  • 大京

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鉄道・陸運

陸路を使って人やモノを運ぶ業界。代表選手の鉄道事業の将来に少子高齢化などによる旅客量の減少が影を落としつつあります。鉄道事業だけでは成長が難しいと考え、商業施設や広告といった非鉄道事業の強化へ動き、駅チカや駅ナカでの商業の活性化を推進中です。人が集まる駅は、商圏として大きなポテンシャルを持っています。利用者の多い駅で屋内測位や電子クーポンなどによる店舗誘導がうまく機能すれば、さらなる商業活性化が期待できると踏んでいます。

陸運業界は、ヤマト運輸(ヤマトホールディングス)、佐川急便(SGホールディングス)が国内2強体制を築きつつあります。ドライバー不足やネット通販普及に伴い宅配便の急増で遅配問題も表面化しています。佐川急便は2014年春から、主婦に宅配便を配達してもらう取り組みを始めました。業務を委託した約3000人が空いた時間に自転車や台車で荷物を届けます。ヤマト運輸の集配業務に携わる女性従業員は1万2000人。大半がパートと見られ、うち約9000人が配達業務を行っています。それでも人手不足解消のメドは立っていません。「宅配クライシス」という造語も生まれました。物流施設に相次ぎロボットを導入する動きも活発です。日立物流は2017年に100台、アスクルは2018年までに20台の配備を計画しています。アマゾンジャパンの川崎市の倉庫でも商品棚が自走するロボットが本格稼働しています。

主な企業
  • JR北海道
  • JR東日本
  • JR東海
  • JR西日本
  • JR九州
  • 東京急行電鉄
  • 東武鉄道
  • 小田急電鉄
  • 京王電鉄
  • 西武ホールディングス
  • 東京地下鉄
  • 近畿グループホールディングス
  • 阪神阪急ホールディングス
  • 名古屋鉄道
  • ヤマト運輸(ヤマトホールディングス)
  • 佐川急便(SGホールディングス)
  • 西濃運輸(セイノーホールディングス)
  • 日本通運
  • 日本郵便

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空運・海運

日本航空は2010年1月、経営悪化や債務超過などを理由に会社更生法の適用を申請。2012年9月に再上場を果たしました。ANAホールディングスや格安航空会社(LCC)との競争が激しくなっています。ANAホールディングスはLCC大手ピーチ・アビエーションを子会社にしました。共同出資する他の株主から株式を買い取り、現在約39%の出資比率を67%に高めたのです。

海運は日本郵船、商船三井、川崎汽船が3強。その3社はコンテナ船事業を統合しました。海運市況の低迷する中、事業統合により経営を効率化して生き残りを目指します。3社は2017年7月に共同出資会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス・ホールディングス」を設立し、2018年4月からサービスを開始します。世界シェアは約7%で6位に浮上しますが、規模は欧州大手の半分程度にすぎません。総力を挙げた経営効率化と並行して海外大手との提携も含めた次の策が欠かせません。日本勢は定時、低燃費の運航技術で世界のライバルにひけをとりません。強みを利益に変えられるか、世界大手を巻き込むもう一手があるのかが注目点です。

主な企業
  • ANAホールディングス
  • 日本航空(JAL)
  • スカイマーク
  • AIR DO(旧北海道国際航空)
  • 日本郵船
  • 商船三井
  • 川崎汽船

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