キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

神奈川工科大学 4年間で学生一人ひとりの就業力を育成する

大学のキャリア教育の取り組みをリポートする「キャリア教育の現場から」。今回は、PBL教育を柱に、専門科目やキャリア教育を連携させる「ユニット学習プログラム」で新たな教育体系づくりに挑戦する神奈川工科大学です。文部科学省の就業力育成支援事業にも採択された「体系的な全学就業力育成プログラム」を、どう実践していくのか――。2012年本格スタートに向けた取り組みをうかがいました。

学科中心のカリキュラムから全学的なプログラムへ

2008年、神奈川工科大学は「教育体系等検討委員会」を設置し、教育改革に取り組み始めました。その背景には、18歳以下の人口減少、大学間競争の激化など大学を取り巻く環境への対応に迫られたから。さらに、多様な学生の就業力を育成して社会に送り出すには、キャリア教育を含めた新しいカリキュラムが欠かせないという内的な要因もあったためです。

同校はもともと、学科ごとにキャリア教育を実施していました。「各学科がそれぞれの強みを生かした実用的なPBL教育を行っていました」と話すのは、教務主任の金井徳兼教授。例えば工学部電気電子情報工学科では、学生がテーマを選び、企画や仕様、製作、プレゼンテーションまでを経験する「目的指向実験(オブジェクト)」を導入。またホームエレクトロニクス開発学科は、企業と連携してプロジェクトに取り組むPBL教育に重点をおいています。

学習の目標と進路について考える「学習設計」やキャリアデザイン科目も学科ごとに行われていました。熱心な取り組みの半面、課題もありました。例えばインターンシップです。これまでは、「インターンシップに行きたい」という学生の意志が、3年生になって初めて担当教授に伝わるというシステムでした。これでは、企業とのマッチングやインターンシップへの準備が十分ではありません。もっと早い時期からインターンシップ参加の希望が教授側に伝わっていれば、それに向けた適切なアドバイスができるわけです。

「こうした経験から、キャリア教育は学科ごとではなく、大学全体で進めるほうが成果はあがると考えました。学習カリキュラムについても、学生が4年間でどんな力を身につけたいのかに重点を置いた全学的な新システムが求められたのです」(金井教授)。