キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

立教大学 「ゼミでアイデアソン・ハッカソンに取り組む」

立教大学の経営学部は、初年度からチームワークを取り入れたプロジェクト型教育を重視しており、学生は2年次からゼミに参加して、専門性を高めていきます。ゼミの1つ、佐々木宏ゼミは企業とコラボレーションしながら最先端のテーマプロジェクトを実践しているのが特徴です。

2014年は富士通「あしたのコミュニティーラボ」との共創で、「アイデアソンプロジェクト」に挑みました。ゼミの特徴とアイデアソンプロジェクトの過程について佐々木教授に話を聞きました。


佐々木宏教授

多様なテーマの産学連携プロジェクトに挑戦

佐々木ゼミの目玉は、産学連携のテーマプロジェクト。専門であるマーケティング・リサーチ、データマイニングの観点から、毎年実務界が注目するさまざまなテーマに取り組んでいます。その一部を紹介しましょう。

2006年は、大手新聞社のメディア戦略策定のための大規模アンケート調査に取り組みました。2007年〜08年は、当時普及が始まったブログの口コミをデータソースとしたマーケティング・リサーチを開始。佐々木教授は「当時は、まだ分析方法が確立されていない領域に、ゼミ生たちが取り組んだわけです」と説明します。

その後、1年間の在外研究から戻って、ゼミを再開。12年はトランスコスモスと共同で、証券会社のWEBログを解析しました。13年前期はビッグデータの解析方法を学び、膨大なWeb購買データから顧客エンゲージメントを高める方策をプレゼンテーションしました。さらに、後期には家庭菜園の愛好者向けSNSサイトの会員獲得の具体的提案を行いました。「こうした一連の取り組みで、当初ビッグデータという言葉は存在していませんでしたが、近年注目されている大量購買データ、テキストデータ、Webログデータなどの分析が網羅できたことになります」(佐々木教授)。

それと並行して、新商品開発をテーマに13年から2年間にわたって取り組んだのは、山崎製パンとのコラボです。立教、早稲田、明治、法政の4大学による「ランチパック」プロジェクトで、立教大学は佐々木ゼミの有志が参加。「ビーフシチュー(赤ワイン入り)」と「ツナトマトとタラモサラタ」を販売しました。

経済・社会の最新トレンドがプロジェクトテーマ

佐々木ゼミは、毎回最新のトレンドをプロジェクトのテーマに選んでいます。その意図について佐々木教授は、「学生の興味のスイッチを入れるため」と話します。例えば、データ分析の基本となる統計学について、一般的に大学のカリキュラムは、基礎知識をコツコツと積み上げていきます。すると、社会科学系の学生の場合、理論を習うだけでは飽き足らず、実際に使ってみたいという欲求が出てくるといいます。

「そこで考えたのが、積み上げ型と逆のプロセスの併用です。最先端の技術やトレンドに触れると、面白そうだと感じてスイッチが入る。例えば、実データを使って分析していくうちに、分からないことが出てきます。困難な問題に直面したときに、それまで学習してきたマーケティングや統計学の知識が生きてくるのです。そのために、挑戦すべきテーマを面白いと感じてもらうことが重要です」と佐々木教授。座学で学ぶことも、実践で試すことも大切。最新の技術を持つ企業の具体的なプロジェクトテーマがあると、理論と実践を行き来しやすく、知識が深まると説明します。

佐々木宏ゼミ 企業とのコラボレーション

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