キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

成蹊大学 「産学連携による独自のビジネス研修を実施」

成蹊大学は、2013年春から産学連携によるキャリア教育プロジェクト「丸の内ビジネス研修(MBT=Marunouchi Business Training)」を実施しています。取り組みについて、プロジェクトのリーダーである篠田心治キャリア支援センター所長(理工学部教授)に話を聞きました。

選考を突破した35人の学生が受講


篠田心治キャリア支援センター所長
――MBTを始めたきっかけは何ですか?

大学として産業界のニーズに応えられ、活躍できる人材を育成するために、企業と連携した教育プログラムをつくれないかと考えたことがきっかけです。成蹊大学は三菱グループと関係が深いため、同グループ企業を中心に声をかけたところ、13年度は21社、14年度は23社に賛同いただき、プログラムに参加していただきました。業界は多岐にわたっており、金融や商社、不動産、重工業、鉄鋼・非鉄、自動車などいずれも大手企業です。

プログラムは企業が出題する課題を、学生がグループまたは個人で取り組んでいくことが中心です。「学内準備研修」から始まり、「丸の内研修」「インターンシップ実習」「個人発表会、丸の内成果発表会」の順で進んでいきます。

全学的な公募プログラムであり、3月に募集を開始し、4月上旬の1次・2次選考を経て、4月中旬から研修を始めます。14年度は3年生・修士1年生約200人の応募があり、合格したのは35人でした。倍率は約6倍です。競争率が高いため、合格者を増やしていきたいのですが、これ以上増えると学生の質が保てないと考えています。

――どのような選考をするのですか?

1次は書類選考、2次は面接です。応募書類は、自己紹介とMBTで学びたいことを書いてもらいます。アピールする力をみたいのでフリーフォーマット(自由記述)となっており、文章中心の学生、図表やイラストを多用する学生などさまざまです。

面接は1グループ5人程度でグループワークを実施し、コミュニケーション力などを確認します。異なるバックグラウンドの学生を入れたいため、4学部(経済、文、法、理工)・1研究科(理工学)からそれぞれ6〜8人ずつ合格者を決定しました。

企業が実際に直面している課題を考え抜く


学内準備研修のビジネスマナー研修の一こま
――プログラムの内容について教えてください。

プログラムは4月から10月まで約6カ月間実施します。4〜7月の学内準備研修は、14回の講義・グループワークと2回のビジネスマナー研修です。準備研修の狙いは、問題解決力とコミュニケーション力の育成。学生を5グループに分けて、1グループ・1企業の課題を与え、約3カ月間グループで徹底的に考えさせます。

課題は企業が実際に直面し、継続的に解き続けているテーマです。例えば、「10年後の東京が世界都市の中で存在感を増すためのポイント」「グローバルな視点で見た『紙』の使われ方と今後の見通し」「無保険運転の撲滅のための施策」などです。

“正解”はないため、学生は徹底的に考え抜かなければならず、問題解決力を鍛える効果的なトレーンングになります。また、講義では課題解決の考え方、ビジネスプレゼンテーションのスキルなどを教えます。

8月上旬は丸の内研修。これは、各グループが約3カ月間かけて考えた課題に対する企業への最終発表と企業の講義です。4、5月頃の学生は、課題に対して5分くらいしか話せませんが、この頃になると2〜3時間は話せるようになり、企業の担当者とディスカッションできるくらいに知識を身に付けてきます。

8月中旬から9月上旬はインターンシップ実習です。必ず1人1社に参加します。企業によっては成蹊大学の学生のための特別インターンシッププログラムを用意してくれるところもあります。期間は1〜2週間で、課題を与えられ、期間内に最終プレゼンのためにまとめなくてはならないので、学生にとってはかなり大変です。

9月下旬〜10月は、学内向けにインターンシップに関する個人発表会、丸の内成果発表会を実施します。これでプログラムは終了です。


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