キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

FSP研究会 「産学連携で作り上げた主体的学びの実践プログラム」

企業と大学が一緒になって学生の育成について議論し、講座を実践している組織「一般社団法人Future Skills Project(FSP)研究会」。2010年7月に5大学・6企業で初会合を開き、11年4月から産学連携講座をスタートしました。実践大学・企業は増え続けており、15年度は約20大学・40企業になる見込みです。

大学と企業はどのような議論をし、講座の狙いはどんなものなのか。FSP研究会の安西祐一郎理事長(日本学術振興会理事長・慶應義塾学事顧問)に話を聞きました。

学生の主体性の欠如に危機感


安西祐一郎FSP研究会理事長
――研究会を発足した目的は?

多くの大学で、産学連携講座を実施していますが、私はこれからの社会で活躍できる人材育成が本当にできているのか、と疑問を持っていました。例えば、日替わりで企業の方の話を聞くような講座があります。体験談を聞くことは大事ですが、それだけでは社会が求めるような人材に成長することは不可能でしょう。また、大学と企業はそれぞれが「こういった人材を育てたい、育ててほしい」と思っていますが、不満があってもお互いが遠慮し、本音は言い合っていません。

そんな状況から、人材育成の在り方を企業と大学で共有し、突っ込んで議論する場が必要と考え、社長、学部長ではなく、同じような考えを持っている現場の責任者として、企業の人材開発責任者、大学の学部長に声をかけて、研究会を発足させました

FSP講座の実施大学・企業
(今後の予定含む、公表可能団体のみ)

――大学と企業で、
どんな話し合いが行われたのですか?


初回の会合は、非常に大変でした。机を挟んで、大学と企業が向かい合うように座り、それぞれが様子見で、活発な議論にはなりませんでした。ただ、回を重ねるごとに、少しずつ信頼関係が生まれ、新入生や新入社員の目的意識の低さなどが課題として挙げられ、やはり突きあたるところは、主体性の欠如でした。

主体性は「自分で目標を見つけて、目標を達成するために実践していく力のこと」であり、「自分で」という部分が大事です。では、学生に「主体性を持ちなさい」と伝えればいいのかというと、そうではない。どうやって主体性を身に付ければいいのか、分からない学生が多いからです。

そこで、授業を通じて主体性を身に付ける方法を話し合い、試行錯誤を重ねながら仕組みを作り上げていきました。「議論より実践」を合言葉に、初会合から半年後(11年4月)には講座をスタートさせました。





「キャリア教育の現場から」一覧に戻る