キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

<番外編>学生のためのプレゼン力の身に付け方

大学の授業の一環として、学生にプレゼンテーションをさせる先生が増えているように感じます。また、企業の採用選考の面接は、自分自身を人事担当者にプレゼンすることといえるでしょう。社会人になると様々な場面で求められるプレゼン力は、学生時代に身に付けておきたい能力の1つです。

今回の「キャリア教育の現場から」は大学のキャリア教育の事例ではなく、プレゼン指導の専門家であり、『これだけ! プレゼンの本質』の著書を持つ野村尚義さんに、学生のためのプレゼン力の身に付け方について教えていただきました。学生へのアドバイスとして、参考にしてください。

プレゼンテーションの語源はプレゼント


マーキュリッチ(株)取締役
プレゼンテーションアドバイザー
野村 尚義さん
神戸大学理学部卒業後、1999年ITシステム会社に入社。
プレゼンテーション教育を一生の職業にするべく26歳で独立。
現在は、経営者や上級管理職、独立コンサルタントなどを対象
に「ビジネス構造を一変させるプレゼンテーション」を指導してお
り、これまで1万4000人の指導経験がある。著書に『これだけ!
プレゼンの本質』(すばる舎リンケージ)などがある。
――プレゼン力とは、どんな能力のことですか?

世の中には様々な意見がありますが、私は「うまく、きれいに話す力」がプレゼン力だとは思っていません。では、何がプレゼン力かと言うと、「相手が必要なものを推測する力」と「自分自身が実現したいものを主張する力」の2つだと考えています。

プレゼンテーションの語源はプレゼント。相手のことを考えて、喜ばせることがプレゼントであり、一方的に言いたいことを言ったり、相手がほしくないものを送ったりしてもダメですよね。相手が欲しいもの、知りたいことは何かとアンテナを張っておき、それを相手の目の前に差し出すことで、プレゼントは初めて喜ばれます。

 また、自分が実現したいことがないのであれば、プレゼンは不要です。プレゼンをしなくても生きてはいけます。しかし、それでは昨日と同じ今日、今日と同じ明日が待っているだけです。自分の置かれている状況を変えたいのであれば、それを主張しなければならない。そのための武器がプレゼンです。

例えば、採用選考において、学生が何もしなくても志望企業から「ウチに入社してください」と言われるのであれば、プレゼン(面接)する必要はありません。しかし、実際はそんなことはほとんどないでしょう。何もせずに放っておけば、あなたの存在は企業に知られることもないし、信頼されることも求められることもありません。その状況を打破し、自分の価値を企業に知ってもらい、選んでもらうためにプレゼンが必要になるわけです。

――プレゼンには論理的な話し方、目線や手の動きなども大事ですか?

具体的・論理的に話すことはプレゼンに必要ですが、最も重要というわけではありません。手振り・身ぶりなどを交えて、魅力的に話すことも同じです。

プレゼンで最も大切なことは、「あなたの主張・提案が受け手にとってどのような価値をもたらすか?」ということ。価値がある提案は選ばれて、価値がなければ選ばれない。これは当然のことです。いくら論理的に話したり、ジェスチャーを交えて伝えたりしても、相手が欲しいと思える価値が中身になければ、全く意味がありません。

例えるならば、それは「欲しくもないプレゼントを、高級そうなパッケージで包装する」ようなものですから。


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