キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

一般社団法人ハタモク
「学生が社会人と『働く目的』をざっくばらんに語る」

あなたにとって働く目的とは何ですか? 学生と社会人が、働く目的についてざっくばらんに語る場を設けているのが、一般社団法人ハタモクです。学生のうちに「働く」を考える大切さとは何か。3人いる共同代表の1人、苅谷高宏さんに話を伺いました。

これまで160回以上実施、6000人が参加

――ハタモクの活動内容を教えてください。


苅谷高宏さん

ハタモクは「働く目的」の略語。就職活動生を中心に学生と社会人が集まり、数人ずつのグループに分かれて、働く目的や生きることなどについて、気軽に話せる場を設けています。

2011年5月から活動を始めて、これまでに全国で160回以上を実施し、学生と社会人を合わせてのべ6000人が参加しました。14年は年間で約50回、13年は33回開催しました。

現在、全国に9拠点(北海道、秋田、東京、静岡、名古屋、京都、大阪、徳島、福岡)あり、15年は香川、神戸、岩手にも新たな拠点ができる予定なので、さらに実施回数が増えそうです。また、14年秋に一般社団法人化しました。

――ハタモクを始めたきっかけは?

私は組織開発の研修講師が本業のため、企業の方と接することが多いのですが、活力のある社会人の方が少なく、日々を淡々と過ごしてしまっているように感じていました。

一方、世の中の学生を見ると、3年生になって急に働くことが“降って来て”、慌てているイメージがありました。私自身は社会に出て働くことは、様々な人と触れられたり、自己成長できたりするので非常に楽しいと思っています。

ただ、就活生にとっては、「就活はつまらない=これからの人生もつまらない」という考えを持ってしまっているのではないでしょうか。本業を通じて、社会人の意識を変えていくことも1つの手ですが、もっと下の世代に働きかけていってもいいのではないかと思いました。

また、私は大学を中退しており、自分としては大学に未練はないのですが、中退したことには後悔しているところもありました。ただ、30歳の時にコーチングを学び、自分との向き合い方や他人からの影響の大きさを感じ、自分自身が変わりました。

本業やハタモクの活動の原点は、自分が働く楽しさを与えてもらったので、今度は与える側になりたいという思いもあります。

「働く目的には“正解”がない」ことを伝える

――学生にはどのようなことを伝えているのですか?


1つは、働く目的には“正解”がないことを伝えています。受験やテストの影響でしょうか。正解をほしがる学生が多く見られますが、働く目的は個人の価値観によって異なるため、それぞれ違っていいことに気づかせるようにしています。

仕事には“正解”がないため、社会に出ると働く目的にも正解がないことを社会人は感覚として分かってくるのですが、学生は分からないのかもしれません。

――学生が働く目的を考えたほうがいい理由は?

働くことの意味や目的を持つことができれば、就活において内定を得ることだけが目的にならず、自分の1年後、3年後、10年後など、大きくとらえて考えられるようになり、仕事を通した生き方が変わるからです。

とはいえ、働いた経験がない学生にとって、働く目的を明確にすることは非常に大変。そこで、社会人の話を聞いて、「仮決め」することを勧めています。仮決めした上で、うまくいかなかったり、違和感が出てきたりしたら改めて考えたらいいのです。

――他に伝えていることはありますか?

自分が好きという自己肯定感を持つこと。もう1つは、目指す所は人から与えられるものではなく自分で決めていく。未来に対して「何をしたいか」を自分の言葉にして、考えるといった未来志向を持つことです。


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