大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

実戦型語学の最前線

企業のグローバル化が進む中、それに人材育成面で応えようと、語学教育に工夫を重ねる大学が増えてきた。単に会話などの正確さを追うのではなく、ビジネスなどの現場で通用するような「実戦的」な教育に力を入れる大学の取り組みを紹介する。

第6回 工学院大学

「聴く」「話す」、技術者の礎に(2012年3月19日 日経産業新聞)

全講師が英語を母国語とし、学生のヒアリング力向上などを促す

工学院大学のグローバルエンジニアリング学部は「世界で通用する技術者の育成」を目的に2006年に開設された。特徴の一つに実践的な英語教育を掲げ、学生は学部独自の英語科目「技術英会話科目(CSGE)」を学ぶ。

CSGEは半期で1科目を履修し、卒業には5科目の修得が必要で、学生の多くは3年生前期まで週2回授業を受けなければならない。加えて1、2年生は全学共通の総合英語「ライティングI・II」の授業もあり、「ほぼ毎日、英語力を鍛えている」と同学部の武沢英樹教授は話す。

CSGEは科目名に「会話」と入っているように、英語の「読み・書き」よりは「聴く・話す」に重点をおく。また科目名の「技術」は「技術者」を意味し、“英会話のできる技術者”を育てることが狙いだ。

授業は学生の英語力を考慮して、基礎的な日常会話を中心にディスカッションやディベートなどで学生自ら発言する機会を多くしている。また講師は全員が英語を母国語とし、学生のヒアリング力向上などを促す。

3年生修了の春休みには約3週間、全員が海外の提携大学へ語学留学する。

留学先によっては近くの他大学で工学系の授業を受けることもあり、米国のハービーマッド大はその一つだ。学生は午前中に留学先で語学を学び、午後は同大で工学系の授業を受ける。「現地では1年生の授業に参加する。英語を完全に理解するのは難しいが、科目はすでに学んでいることが多く、授業内容は分かっている」と武沢教授は語る。

これまで英会話学校に委託していた講師を12年度からは専任講師に代える。「外部講師に比べて、大学が意図する教育内容がさらに伝わりやすくなる」(武沢教授)と、より一層の英語力向上に期待している。


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