大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

高大接続の現場

「大学全入」時代の到来で学生の基礎学力の低下が指摘されている。そのため近年では、大学教育へスムーズに移行させるため、大学教員による高校での出前授業や入学前教育などの「高大接続」教育に力を入れる大学が増えている。全国での取り組みを紹介する。

第1回 大分大学

高校生と経済の共同研究(2012年9月24日 日経産業新聞)

大学生と高校生が共同研究した成果を発表する

大分大学では、経済学部で高大接続教育を導入している。高校生の学力のレベルを入試以外で確保すると同時に、若い世代の育成という社会的要請に応えるためだ。取り組み始めたのは2000年。経済学部の2年生が母校を訪問し、学問や大学生活について説明。質疑・応答する「キャンパス大使」が始まりだった。

08年には、同学の高大接続に関する取り組みが文部科学省の「教育GP」に採択され、現在ではキャンパス大使を含め7種類の高大接続事業を展開する。その中核となるのが「学問探検ゼミ」である。大学2年生のゼミに高校2年生が参加して「高速道路無料化」を交通経済学の見地から調べるなど、身近なテーマと経済学を絡めて研究する。

高校の校長出身で、高大接続をコーディネートする甲斐隆文特任教授は「高校、大学、さらには卒業後も含めた10年という長期のスパンで学びへの探求力を育成し、学生の基礎的能力を高めていきたい」と語る。

他には、県内の高大教員のワーキンググループ、遠隔配信授業、商品のアイデアコンテストなどにも取り組んでおり、高大接続事業への参加者は年間に2000人を超える。

「本学の高大接続の理念である『学びは高きに流れる』体制構築のため、大学教員、高校教員、大学生、高校生の4者が連携し信頼関係を作ってきました。今後、この活動を全学的な取り組みとして、県外にも広めていきたい」と甲斐特任教授は強い意欲を見せる。


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