大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

高大接続の現場

「大学全入」時代の到来で学生の基礎学力の低下が指摘されている。そのため近年では、大学教育へスムーズに移行させるため、大学教員による高校での出前授業や入学前教育などの「高大接続」教育に力を入れる大学が増えている。全国での取り組みを紹介する。

第2回 大阪成蹊大学 

絵本や染織作品など制作(2012年10月1日 日経産業新聞)

芸術学部とマネジメント学部の2学部を置く大阪成蹊大学では両学部がそれぞれの理念の下、高大接続の取り組みを実践している。

「芸術による社会貢献」を教育理念に掲げる芸術学部は地域の子どもたちを大学に招いて写生大会を開催し、それを学生が支援・指導する機会などを設けてきた。これを拡大する形で高大接続プログラムを展開。出前授業のほか高校生が大学に来て学生たちと絵本や染織作品などを作るワークショップを開いている。

2011年度は600人以上の生徒が参加した。芸術学部の沢田克之学部長は「高校美術の授業数減少や教員不足によって、授業でできることが限られる。そこで地域の高校の要請に沿うように、各校の専門性に合ったワークショップや講義を提供し始めた」と説明する。人付き合いが苦手なタイプの学生でも、プログラムに参加して年下の生徒を指導することでコミュニケーション力が高まるなどの変化が見られるという。

マネジメント学部は、付属高校の生徒が円滑に大学教育に移れるように大学のゼミに参加させているほか他校への出前授業も行っている。「食のマネジメント」をテーマとする食ビジネスコースでは「カフェを企画してみよう」といった授業をするなどより実践的なプログラムを提供する。

入学前や入学直後の学習も重視。グループワークなどを通して、大学での学びや大学生活に必要な知識、人と協力する態度を身に付けさせている。同学部の鹿島啓学部長は「早い段階での友達づくりを目的としている。コミュニケーションの重要性を学ばせた上で、社会人基礎力や専門スキルの育成につなげていきたい」と語る。2学部の個性を生かした高大接続は社会貢献や志願者確保、高校から大学への導入教育などの役割を果たしている。


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