大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

高大接続の現場

「大学全入」時代の到来で学生の基礎学力の低下が指摘されている。そのため近年では、大学教育へスムーズに移行させるため、大学教員による高校での出前授業や入学前教育などの「高大接続」教育に力を入れる大学が増えている。全国での取り組みを紹介する。

第4回 山口県立大学

地域と協働で祭り運営(2012年10月29日 日経産業新聞)

地元の祭りを再興、高い評価を得た

 山口県立大学は地域の高校生の知的好奇心を培うとともに、適切な進路・職業を選択できるようにすることを目的に、様々な高大連携事業を展開している。同大学・附属地域共生センター所長の加登田恵子教授は「山口県の大学進学率が他県より低いという状況がある中で、高等教育への動機づけを強化する意義は大きい」と強調する。

 一連の取り組みの中でも特にユニークなのが「地域共生演習」だ。高大連携の協定を結ぶ地元の私立高校と協働して町おこし活動をする内容で、同大学の教育理念である「地域との共生」や「生活者の視点の重視」の実現を目指す。

 2007年に初めて実施し、存亡の機に瀕していた地元の祭りを再興させて、地域貢献活動として高い評価を得た。08年以降も地域の住民とともに祭りの運営に積極的に関わる活動を続けており、11年には29人の学生と25人の高校生が参加した。学生・生徒ともに約1カ月間、放課後や夏休みを活動にあて、楽しくともハードな内容の実習となっている。

 また文部科学省の「戦略的大学連携支援プログラム」に選定された取り組みでは山口東京理科大学、山口学芸大学と連携。情報通信技術を使い、高校生や地域の人に学習の場を提供したり、共同で高校生向けの公開講座を実施したりした。この取り組みは複数の大学や高校の教員の交流という点でも意義がある。

 このほかにも100種類以上のメニューを用意した出前の講義、高校生の学習発表会への大学生の参加、大学生による高校での模擬授業など、高大間の交流を進めている。加登田教授は「地域の課題に対応し、『地域にとって存在感のある大学』として取り組みを進めることで、高等教育の波及と地域貢献を体現していきたい」と話す。


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