大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

高大接続の現場

「大学全入」時代の到来で学生の基礎学力の低下が指摘されている。そのため近年では、大学教育へスムーズに移行させるため、大学教員による高校での出前授業や入学前教育などの「高大接続」教育に力を入れる大学が増えている。全国での取り組みを紹介する。

第6回 青山学院大学

国際化育む1泊キャンプ(2012年11月26日 日経産業新聞)

国際化教育では留学生を含めディスカッション

 青山学院大学は全学部共通の初年次教育に力を注いでいる。2003年度に開始した「青山スタンダード」と呼ぶ教育体系で、一定水準の技能や知識の習得を目指す。これと並行して取り組んでいるのが、「高校との連携授業」「入学前教育」「国際化教育」「リメディアル教育」の4つの高大接続教育だ。

 「高校との連携授業」は、付属高校(高等部)に全学部が授業を提供するというもの。年間40講座あり、在校中に最低1回は受講しなければならない。「入学前教育」では、推薦入試の合格者などを対象に英語のeラーニングを実施する。一方的に課題を与えるだけでなく、学生がメンター(学習支援者)となり学習を支援する双方向の仕組みにしているのが特徴だ。

 「国際化教育」は07年から始めた1泊2日の「高校生・留学生交流キャンプ」など。NPO法人と共同で実施し、運営は学生が担当する。12年には学生10人、高校生と留学生がそれぞれ17人参加し、グループディスカッションやレクリエーションなどを実施した。コミュニケーション力の向上などが狙いで、参加した学生からは「高校生のサポート役のはずが、自分の成長にもつながった」といった感想が出たという。

 最後の「リメディアル教育」では、経済学部と理工学部で数学の基礎教育を実施している。学務担当の長谷川信副学長は「学生の多様性を育み、産業界のニーズに即した社会につながる人材の育成に力を注ぎたい」と強調する。

 青学大は文部科学省からも優れた取り組みとして採択された「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」を始めるなど、初年次教育を充実させる方針。高大接続の取り組みは学生たちに「気付き」を与える上でも重要な位置づけになっている。


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