大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

高大接続の現場

「大学全入」時代の到来で学生の基礎学力の低下が指摘されている。そのため近年では、大学教育へスムーズに移行させるため、大学教員による高校での出前授業や入学前教育などの「高大接続」教育に力を入れる大学が増えている。全国での取り組みを紹介する。

第8回 神奈川工科大学

夏休みに講義提供(2012年12月17日 日経産業新聞)

サマースクールでスピーカーアンプの
設計製作に取り組む生徒たち

 神奈川工科大学は高校から大学教育への円滑な接続、高校との信頼関係の構築などを目的に、様々な高大連携に取り組んでいる。中でもユニークなのが「プロジェクト学習」と「サマースクール」だ。

 プロジェクト学習は高校に遠隔授業を提供する。ネット通話ソフト「スカイプ」を使い、高校にいながら大学の授業を体感できるようにしたのが特徴だ。授業のテーマはプログラムの開発や栄養学(食育)など。高校生たちは、授業内容にそった課題をリポートにまとめ、大学の教職員を招いて発表する。

 サマースクールは夏季休暇中の4日間、通学形式で大学の講義を提供するもので、2002年から実施している。生徒が大学に来るため、実験や実習を取り入れられる利点がある。教育交流協定を結ぶ37校と近隣の高校に案内し、高校教員が応募者を取りまとめる。12年は11校から56人が参加した。

 サマースクールの意義について、学生支援本部教務担当部長の平野多嘉弘氏は「今の子どもたちは成功体験が少ない。4日間であっても、やり遂げたという成功体験につながり、興味の喚起になる」と説明する。実際、参加した生徒からは「自分の関心事を再確認でき、大学で何を学べばよいのか分かった」「仲間と課題を作り終えたとき、達成感があった」といった声が上がった。参加した高校生が同大学に入学するなど、入試の広報としても一定の効果が出ているようだ。

 全国の高校に180種類の講座を提供する「出前授業」、高校2年生を対象に7日間の日程で大学の学びを紹介する「大学進学プログラム」なども用意している。今後の展開について企画入学担当部長の黒古敦氏は「学校同士のつながりをもっと広げていきたい」と話していた。


『高大接続の現場』バックナンバー