大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

高大接続の現場

「大学全入」時代の到来で学生の基礎学力の低下が指摘されている。そのため近年では、大学教育へスムーズに移行させるため、大学教員による高校での出前授業や入学前教育などの「高大接続」教育に力を入れる大学が増えている。全国での取り組みを紹介する。

第9回 立教大学

入学前キャンプ 先輩と語らう(2013年1月21日 日経産業新聞)

100人を対象に2泊3日のプログラムを組んでいる

 立教大学は「新入生キャンプ」と呼ぶ取り組みを実施している。入学式直前の3月末に、新入生100人を対象に2泊3日で行うプログラムだ。源流は1950年代に始まった学生と教職員が学外で語り合う「立教キャンプ」。高校生活と異なり、大学では学生が主体的に過ごす場面が増える。キャンプを通じ学生の意識改革を図る。

 キャンプには教職員やカウンセラーなども参加するが、運営の中心となるのは「学生アドバイザー(学アド)」と呼ぶ20人の先輩学生たち。学アドは公募と推薦で選ばれ、宿泊研修を含む8回の事前研修を受けなければならない。キャンプの趣旨を理解し新入生に課す実習を自ら体験する。

 キャンプは新入生10人と学アド2人からなるグループに分かれ、計10グループで議論や実習に取り組む。新入生に大学生活への不安や期待を言葉にしてもらい、そこから議論を深めていく。大学での学びや生活がどういうものなのかを、先輩らからアドバイスを受けながら考えていく。

 実習は自分の意見をメンバーに伝えながら、一方で他のメンバーの意見も聞き、合意形成を図っていくといった内容だ。西田邦昭副総長は「価値観の違いを認めて共感し、その上で自分の価値観を大事にすることが、主体的な大学生活の基礎になる」と語る。これは新入生だけでなく、学アドとして参加する先輩学生の成長にもつながる。

 母体である学校法人の立教学院としては、共通の教育目標を掲げ、小中高大の「一貫連携教育」も進めている。英語や理科など6つのワーキンググループを設置し、小学校から中高に円滑に移行できるように授業を工夫したり、大学が高校生に講義を提供したりする。西田副総長は「他校の生徒も大学での学びについて知る機会を増やしていきたい」と話していた。


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