大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

高大接続の現場

「大学全入」時代の到来で学生の基礎学力の低下が指摘されている。そのため近年では、大学教育へスムーズに移行させるため、大学教員による高校での出前授業や入学前教育などの「高大接続」教育に力を入れる大学が増えている。全国での取り組みを紹介する。

第10回 東京工業大学

合宿形式で入学者選抜(2013年1月28日 日経産業新聞)

12年の「サマーチャレンジ」には
パスタで塔をつくる実技も

 東京工業大学は同大学付属科学技術高校と連携教育・特別入試を実施している。「科学技術創造立国としての将来を担う人材育成には、早期からの対応が必要」と語るのは、高大連携学部入試部会長の大竹尚登教授だ。

 高大連携教育は高校1年生のときにオープンキャンパスで研究室を見学し、大学進学の目標を明確にさせることから始まる。2年生では、講義の受講、研究室見学後にリポートの作成と発表を課す。そして3年生で特別入試の選考で高い比重を占める「サマーチャレンジ」を実施する。

 サマーチャレンジは2泊3日の合宿形式で、2012年は同大学付属高から100人以上の生徒が希望し、成績などで選別された52人が参加した。お茶の水女子大付属高等学校からも7人が加わった。

 6つの講義・実技を実施。講義はいずれも大学レベルの高度な内容で、理解できる生徒は6割程度。ただ、大竹教授は「授業についてこられなくても学問の高みを見せることに意義がある」と話す。12年の実技は、パスタで塔をつくった。力学や建築学に関する理論を知り、それを実践できるかをみたという。協調性やリーダーシップなどでも生徒を評価する。

 大竹教授によると「抽象的な課題を与えたときに、前向きに取り組めるかどうかがカギ」。サマーチャレンジ最終日には個人面談も実施し、11月に最終選考を行う。入試結果とサマーチャレンジ、高校の成績などの総合評価になる。12年は東工大付属高の11人、お茶の水女子大付属高の3人が合格した。

 合格者には入学前教育として東工大付属高の教員が自作のテキストを用いて大学レベルの授業を受けさせる。入学後の追跡調査も実施しており、課外活動に積極的な学生が多いなど効果が出ている。


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