大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

探訪ユニーク学部

激しい学生獲得競争を勝ち抜くため、個性的な学部をつくる大学が増えている。社会のニーズに合った他にない教育を訴えるが、名前を見ただけでは実際の内容はわからない。実態はどうなのか。ユニーク学部の特徴と狙いを紹介する。

第3回 関西大学 社会安全学部

文理の枠超え災害分析(2013年3月4日 日経産業新聞)

東日本大震災の発生から約2年。自然災害の被害を最小限に食い止めるにはどうしたらいいか。ヒューマンエラーによる事故を防ぐ方法はあるのか。そんな生活の安全・安心を追究しているのが、関西大学の社会安全学部だ。

2010年に新設され、学科は「安全マネジメント」の1学科のみ。学生は2年次後期に自然災害や環境問題などを学ぶ「自然災害マネジメント」と、企業の危機管理や事故防止などを学ぶ「社会災害マネジメント」のいずれかのコースに分かれる。

学部の特徴は文理融合型であることだ。文理の枠を超えた科目構成にした理由について、同学部の安部誠治教授は「1つの災害に対し、1つの専門分野だけでは分析しきれない事例が多くなり、総合的に学ぶ必要がある」と話す。例えば、05年に起きたJR福知山線脱線事故の場合、事故の分析には工学の知識に加え、運転士の心理状態を分析する心理学などの知識も必要だったという。

学生は法学や経営学、心理学などの文系科目と、防災学、地震災害論など理系科目の両分野を学ぶ。23人いる専任教員の専門分野も、文系と理系がほぼ半数ずつだ。

授業は座学のほか、学生の理解を深めるために、災害を体験する実習も用意。1年次の必修科目「社会安全体験実習1」は兵庫県の防災施設を借りて、揺れを起こす起震車を使った地震動を体験したり、火災時の煙にみたてた水蒸気を満たした部屋からの避難を体験したりする。2年次になるとプロの運転手の再教育訓練施設で、ヒューマンエラーのメカニズムについて学ぶ。

学部新設から3年目を迎え、1期生たちはまさに今、就職活動の真っ最中だ。安部教授は「大学で学んだ知識を生かせるように、自治体や企業の総務部などで安全マニュアルや事業継続計画(BCP)の作成に関わる仕事に就いてほしい」と思いを語っていた。


開設年 2010年
学生数 816人(12年5月現在)
主な授業科目 ・コンプライアンス論
・事故のシミュレーション
・防災危機管理論
・気象災害学
・ヒューマンエラー
・社会安全体験実習1、2


『探訪ユニーク学部』バックナンバー