大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

探訪ユニーク学部

激しい学生獲得競争を勝ち抜くため、個性的な学部をつくる大学が増えている。社会のニーズに合った他にない教育を訴えるが、名前を見ただけでは実際の内容はわからない。実態はどうなのか。ユニーク学部の特徴と狙いを紹介する。

第5回 山梨大学 生命環境学部

ワイン専門コース設置(2013年3月18日 日経産業新聞)

山梨大学は2012年、県内初の農学系学部となる生命環境学部を新設した。同学部の柳田藤寿教授は設置の狙いについて「山梨はぶどうやモモの収穫量が日本一の県。農業は地域の基幹産業のひとつであり、農学研究を進める学部の開設は、地元からも強い要望があった」と話す。

同学部はバイオテクノロジーの研究をする生命工学科、農作の栽培や食品加工の研究を進める地域食物科学科など4つの学科で構成される。生命や食、環境、経営など幅広い分野の研究を進められるのが特徴だ。

ワイン醸造が盛んな地域性を反映し、地域食物科学科にはワインを専門的に学ぶ「ワイン科学特別コース」を設置。同学科の学生35人のうち6人が所属する。「ワイン科学I」「ワイン製造科学実習」など、ワインの加工や製造の専門知識を習得するための授業のほか、県の総合農業技術センターと連携してぶどうを栽培する実習も提供する。

文理融合の教育も推進している。環境問題や生態学を学ぶ環境科学科を含めた理系3学科と、農業経済などを学ぶ文系学科の地域社会システム学科の学生たちが、文理の枠を超えて学べるようにし、幅広い知識や視野を身につけることを狙う。どの学科に所属していても履修可能な学部共通科目や、自分とは異なる学科の専門科目を学べる「相互乗り入れ科目」の制度などを整えた。

例えば、学部共通科目である「生命環境基礎ゼミ」は1年生全員が学ぶ必修科目。学科ごとに5人程度のチームに分かれ、約2カ月間かけて所属学科に関連するテーマ・課題を調査してまとめる。調査内容は全員の前でチームごとに発表する。この取り組みによって、基礎となる広い知識が身につくという。柳田教授は文理融合教育の狙いについて「経済のわかる農業技術者や、バイオサイエンスの基礎を知る経営者を育てたい」と語っていた。


開設年 2012年
学生数 142人(13年2月現在)
主な授業科目 ・生命環境基礎ゼミ
・遺伝子工学
・ワイン科学I
・地球環境科学
・マーケティングと消費者行動


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