大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

探訪ユニーク学部

激しい学生獲得競争を勝ち抜くため、個性的な学部をつくる大学が増えている。社会のニーズに合った他にない教育を訴えるが、名前を見ただけでは実際の内容はわからない。実態はどうなのか。ユニーク学部の特徴と狙いを紹介する。

第7回 甲南大学 フロンティアサイエンス学部

ナノバイオ、1年生から(2013年4月1日 日経産業新聞)

甲南大学は2009年、ナノテクノロジー(超微細技術)とバイオテクノロジーを融合させた「ナノバイオテクノロジー」を学ぶフロンティアサイエンス学部を新設した。同学部の甲元一也准教授は「ナノバイオは00年ごろから世界で研究が始まった最先端分野。物質をナノ(ナノは10億分の1)メートルレベルにする技術と、生物の構造や反応を応用した技術を組み合わせることで、医薬品や食品、化粧品など広い分野に活用できる」と説明する。

例えば、化粧品なら成分をより小さくできれば、肌への浸透度が高まる。薬も同様で、成分を従来届かなかった細胞に届けて効果を高めるといったことが可能になる。

一般的な理系学部では1、2年生で基礎知識を学び、実験は3年生からというケースが多い。だが、同学部では入学式を終えて間もない1年生から、遺伝子組み換えなどの専門的な実験に取り組ませる。最先端の技術を早くから身に付けてもらうためだ。「座学より実験のほうが面白いのは明らか。入学直後のやる気が高まっている時期に実験をすることで、学業の面白さを伝えられる」と甲元准教授は言う。

ただ、実験には最低限の知識も必要だ。実験前には担当教員による口頭試問を実施。学生は実験に関する知識や実験手順、結果予測などを事前に調べて、試問に合格しないと実験に取りかかれない。中には、合格まで8、9時間かかる学生もいる。

産学連携に積極的に取り組んでいるのも同学部の特徴だ。キャンパスのある神戸市のポートアイランドには、理化学研究所など200以上の医療・バイオ関連の機関や企業がある。甲元准教授は「1年生が研究の一部を担当する場合もあり、共同研究を通じて時間(納期)の大切さ、研究が実社会でどう活用されるかなどを学び、刺激を受けている」と話す。学生のキャリア教育にも役立っているという。


開設年 2009年
学生数 164人(13年3月現在)
主な授業科目 ・ナノバイオラボベーシックA・B
・ケミカルサイエンス序論
・バイオ・食品関連研究開発論
・先端情報テクノロジー
・構造有機化学


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