大学レポート〜特徴のある教育事例を紹介〜

大学は社会のニーズに応えようと、学生にさまざまな教育を行っています。特徴ある取り組みを紹介します。
※日経産業新聞『大学』面から記事を転載しています。
 肩書などは当時のままです。最新記事は日経産業新聞をご覧ください。

探訪ユニーク学部

激しい学生獲得競争を勝ち抜くため、個性的な学部をつくる大学が増えている。社会のニーズに合った他にない教育を訴えるが、名前を見ただけでは実際の内容はわからない。実態はどうなのか。ユニーク学部の特徴と狙いを紹介する。

第9回 千歳科学技術大学 総合光科学部

教材開発で技術磨く(2013年4月22日 日経産業新聞)

「光に関わりのある分野を幅広く研究する専門大学」。千歳科学技術大学の川瀬正明学長は特徴をこう説明する。1998年、光科学部(2008年に現在の総合光科学部へ変更)のみの単科大学として開学した。学科は医用工学や材料科学を学ぶ「バイオ・マテリアル」、電子工学などの「光システム」、情報工学や人間工学を学ぶ「グローバルシステムデザイン」の3つを設置している。

光というと従来の照明に加え、ここ数年で普及が進んだ発光ダイオード(LED)照明や街中のイルミネーションなどが思い浮かぶが、ほかにも日常生活の様々な分野に応用されている。例えば光ファイバー通信や駅の自動改札機、スマートフォンやテレビの液晶、太陽電池などは光科学の技術を実用化したものだ。

医療分野のがんの診断や治療でも研究は進んでいる。川瀬学長は「特殊なレーザーを体の組織に当てると、がん細胞の部分だけ光り、レーザーで深部のがんを破壊するような研究開発が進められている」と話す。

千歳市を中心に公設民営方式で設立されたこともあり、地元の企業・学校との連携に積極的だ。例えば課外活動の一環として高校生向けのeラーニング教材を開発している。学生は高校の教員に意見を聞きながら数学や物理、化学などの教材を開発し、大学と提携協定を結んだ北海道内45の高校に無償で提供している。

学生は教材の開発・改良を通じて技術を身に付け、どのようにすれば相手(提供先)のニーズに応えられるか、などを学ぶ。教材の開発は高校生の学力向上に加え、社会人として必要な資質を磨く場にもなっている。

今後の課題は、学力の底上げだ。「学力レベルの異なる学生が入学してきている。少人数教育を充実させることで、基礎学力を高め、実践的な高い技術力を持った学生を輩出していきたい」と川瀬学長は思いを語る。


開設年 2008年
学生数 920人(13年4月現在)
主な授業科目 ・光サイエンス実験A・B
・ユビキタスネットワーク概論
・光ファイバ論
・レーザ医療
・センサ工学
・バイオ高分子


『探訪ユニーク学部』バックナンバー