キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

第1回 就業力育成セミナー
〜大学におけるキャリア教育の事例報告〜 レポート

2011年8月5日、東京・NEC本社ビルで、NEC主催(共催:日経HR、ネクストエデュケーションシンク)による「第一回就業力育成セミナー」が開催されました。全国の大学関係者を中心に会場のほとんどが埋まる大盛況の中、まず文部科学省から昨今の就職状況と就業力の重要性、同省が取り組む就業力育成支援事業についての説明がありました。その後、就業力育成GPに採択された5大学の就業力育成事業への取り組みと進捗状況の報告、NEC人事担当者からは企業が求める能力に関する話がありました。講演内容を以下にまとめました。

「大学に求める就業力について」

文部科学省高等教育局視学官・鍋島豊氏

2011年4月の大学卒業者の就職率は91.1%で昨年同期比0.7ポイント減となり、2000年と並び過去最低を記録しました。また2010年3月の大学卒業者のうち、就職者の割合は60.8%で、前年度比7.6%減でした。

学生の民間企業希望者数は前年とほぼ変わらずの45.5万人ですが、1000人以上の企業の求人倍率は0.65倍に対し、1000人未満の企業は1.86倍。つまり学生の多くは大企業への就職を希望し、採用に至らないというケースが多発していると考えられます。ただ民間企業就職希望者数が、1000人未満の企業で8.1%増とあることから、就職浪人を回避するために中小企業を希望する学生も増えていることがうかがえます。

総務省の「労働力調査」のアンケートによると、仕事につけない理由として「希望する職種・内容の仕事がない」という回答が約40%ともっとも多く、仕事内容の選り好みによって、自分の就職を困難にしているケースがあることもわかりました。

文部科学省が行う就業力育成支援事業は、学生の就業力の向上を図るために大学が実践する優れた取り組みに対して、国が支援するというものです。2010年度からの5年間にわたる事業で、441件の申請の中から180件の取り組みが認可されました。

選定の基準は、計画や体制作り、情報の収集と公開、産学や学内の連携がなされているかなど多岐にわたります。「みんなが就活しているから」ではなく、学生個々が職業観や勤労観を持ち、社会に対して「何がしたいのか」「何ができるのか」といった目標をきちんと持った学生を育成することに主眼を置き、こうした取り組みと体制作りに力を注ぐ大学を支援するものです。

 現在の雇用情勢の中では、大学の就業力育成に向けた取り組みは重要となっており、大学内部だけでなく産業界や地域社会など、学外との連携が欠かせません。こうした支援事業をきっかけに、対象の大学だけでなく、全国のすべての大学が成功事例や試行錯誤から学び、大学の教育改革につながることが期待されています。

講演資料(PDF)