キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

社団法人 日本私立大学連盟 平成23年度 教学担当理事者会議 全体会議
「あらためてキャリア教育を問う」―大学に求められるキャリア教育とは―
レポート

2011年9月1、2日、滋賀県大津市の大津プリンスホテルで、社団法人日本私立大学連盟が主催する平成23年度 教学担当理事者会議全体会議『「あらためてキャリア教育を問う」―大学に求められるキャリア教育とは―』が開催されました。西日本に大きな被害をもたらした台風が迫る中、大学におけるキャリア教育の意義と現状、課題などに関して講演、事例報告、グループ討議があり、内容の濃い会議となりました。2日間にわたる会議の内容をレポートします。

1日目は、青山学院大学の伊藤定良学長による発題趣旨説明に始まりました。伊藤学長はグローバル化や産業構造の変化が続く現在、大学にとってキャリア教育は不可欠であるとしながらも、就職のための対症療法ではないことを強調。キャリア教育を取り入れながらも学士課程の質の保証を維持しなければならないことを訴えました。

講演1 文部科学省 榎本剛氏

1人目は、文部科学省の高等教育政策室長の榎本剛氏による「キャリア教育導入の経緯とその成果」と題する講演です。2011年の18歳人口は昨年より1.4万人減の120.2万人で、大学・短大をあわせた進学率は前年比0.1%減の56.7%と10年ぶりに減少(大学は同0.1%増の51.0%)し、大学進学が足踏み状態にあります。その上で「キャリア教育という言葉は、近年、頻繁に取り上げられるようになりましたが、これはもともと大学教育の目的に含まれる」と述べています。学校教育法では「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」とあり、大学教育を通じて「道徳的・応用的能力」を培うことが含まれるのです。

そうした教育の成果として「学士力」の考え方が提示され、2011年4月には、大学設置基準に「社会的・職業的自立を図るために必要な能力を培うことができるよう、大学内の組織間の有機的な連携を図り、適切な体制を整える」という条文が追加されています。これを「キャリア教育・職業指導の義務化」と受け止めるのはミスリードになると説明。そうではなく、学内で、就職部だけが取り組む問題ではなく、学内連携を通じた教職体制の確立を目指すのが目的と強調しました。そして、個々の大学が特長を生かして具体的な取り組みを考え、実行してほしいと訴えました。