キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

社会人基礎力育成グランプリ2012決勝大会 開催報告
福岡女学院大学が社会人基礎力大賞(経済産業大臣賞)に

2012年2月27日(月)、東京・大手町の日経ホールにて、日本経済新聞社デジタル営業局主催「社会人基礎力育成グランプリ2012」決勝大会が開催されました。「社会人基礎力育成グランプリ」は、大学での授業・活動を通じて、学生の社会人基礎力がどれだけ成長したかを競う大会です。5回目を迎える本年は全国88大学・108チームが全国6地区で開催された予選大会に参加、2月27日の決勝大会には各地区の予選を通過した8チームが出場し、自分たちの取り組みについて発表しました。以下に各大学の発表と評価ポイントを報告します。

静岡大学(関東地区代表)

決勝大会出場の8大学のうち最初に登壇した静岡大学は、社会人基礎力準大賞を受賞しました。国際会議ICFPT(International Conference on Field-Programmable Technology、主催はIEEE=米国電気電子学会)のデザインコンペティション「Connect6を回路で解く」に挑戦し、世界一を成し遂げるまでの取り組みを発表。審査員による評価ポイントは、学生が困難に直面しても諦めずに何度も考え抜いて、その都度"解"を見つけた「思考の基礎体力」が身に付いたことでした。

開発にかかわった9人は、開発から本選まで6カ月(予選まで4カ月)しかない中、メンバー間のコミュニケーション不足による意見の違いや回路設計の不具合の多発、1日8時間以上の開発作業によるメンバーの疲れなど、さまざまな困難に直面しました。徹底的な議論などにより一つひとつ"壁"を乗り越えて、2011年12月14日にインドで開催された本選で世界トップの研究者たちを打ち破り、最終的には世界一になりました。

高知県立大学(中国・四国地区代表)

高知県立大学は、会場の観覧者による投票が最も多かった会場特別賞を受賞しました。テーマは「土佐茶のブランド化、普及活動に取り組む−土佐茶「CHARARA」の企画・販売−」で、生活デザイン学科の3年生23人が授業の一環で取り組んだ内容が評価されました。審査員による評価のポイントは、社会人と協力して取り組んだとき、専門家の意見を鵜呑みにせず、自分で考えて行動に移す「前に踏み出す力」が伸びたことなどでした。

学生たちは地元のお茶である土佐茶を普及し、ブランド化しようと、茶葉の選定や味の決定、茶缶のデザインなどについて社会人に協力を仰ぎながら取り組みました。販売の窓口として高知空港に依頼したものの利益面での材料不足などを理由に断られ、5カ月後にそれまでの販売実績を携えて再依頼した結果、空港での販売が決まったエピソードも披露しました。また、取り組みを通して、仲間と挑戦することで自分も成長できることに気づいたことなどを会場の観客にアピールしました。

京都光華女子大学(近畿地区代表)

京都光華女子大学の管理栄養士を目指す学生たちが発表したのは、学内のカフェ「光庵」でのメニュー開発や広報活動の実績です。「光庵」は2011年5月、学生29人で運営が開始されました。オープン直後は順調だった売り上げが、1カ月後には大幅にダウン。問題解決のため、メンバーたちはアンケートを実施し、徹底的に議論しました。客の声に耳を傾け、食物アレルギー表示に配慮したり、新メニューの開発やチラシなどの広報活動を実施したりすることに。結果、売り上げは回復し、各種メディアにも取り上げられました。

審査委員からは、単に思い込みだけでなく、アンケート結果などの事実関係に基づき、問題を解決していこうという姿勢が良い。また、衛生管理や食物アレルギーなどに視点を向けるなど、社会的な責任に対する意識が高まったと評価されました。ただし、議論を通じて得た成果に対して「なぜ成功したのか、どう成功したのかを、しっかりと言葉に落とし込んで蓄積することが望まれる」とのコメントがありました。

滋賀大学(近畿地区代表)

滋賀大学は、経済学部のゼミ生が考案したキャラクター「カモンちゃん」を活用した地域活性化プロジェクトと障害者就労支援活動を発表。具体的には、障害者就労支援施設「工房ふれっしゅ」が製造するクッキーの売り上げと労働意欲の向上を目的とし、カモンちゃんを使いクッキーの付加価値を高める活動です。彼らは、グッズ開発や大学内でのクッキーの販促キャンペーンを企画し、売り上げ増を達成したことが報告されました。なお、グッズの販売収益は東日本大震災への支援活動にまわしたとのことです。

これらの活動は、同時に複数の活動を迅速に進める実行力、また障害者支援や震災支援などを通じた社会貢献意識の高まりが評されました。その一方で、活動の成果の検証がもっと丁寧で具体的であるべきとの要望が出ました。例えば、障害者就労支援施設の方たちの気持ちがどのように変化したかについて、推測だけで語らないようにしてほしいとの指摘がありました。

福岡女学院大学(九州・沖縄地区代表)

社会人基礎力大賞(経済産業大臣賞)を受賞した福岡女学院大学は、2013年の新校舎建設に向けて不満度が高い学内の飲食施設の問題を挙げ、最良な施設案を学院に提案する活動報告でした。主となるのは、マーケティングやホスピタリティマネジメントの手法を用いた各施設の調査・分析です。しかし、アンケートの調査結果を効率よくまとめることができない、議論がまとまらないなど、問題が噴出。それら課題に対し、どの乗り越えたのか具体的な発表がされました。

審査委員からは、チャレンジして(前に踏み出して)、失敗する。しかし、その失敗をどう生かすのかという振り返りが行われている、つまりアクションラーニング的なアプローチが見られた。また、マーケティングで学ばれたことをきちんと使っている点も評価できる。ただし、もっと独創性が欲しかった。「創造性の高さの反面は協調性の低さ」。仲が良いチームなので、もっと意見をぶつけ合ってもよいのではないか、との意見もありました。