キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

大学生の就職希望企業ランキング上位100社の採用活動

(1)採用スケジュール編

今回は、「大学生の就職希望企業ランキング」の上位に入った企業に実施した調査の結果を紹介します。この調査は、日経HRが毎年実施しているもので、調査結果から有名企業・大企業の採用活動の実態(2013年春入社)を把握できるものとなっています。

日経キャリア教育.netでは、「採用スケジュール編」と「広報・採用活動編」の2回にわけて、調査結果を紹介いたします。まずは、「採用スケジュール編」です。日本経済団体連合会(経団連)の倫理憲章による採用広報の開始時期の後ろ倒しにより、これまで(2011年以前)とは企業の動きが大きく変わりました。では、具体的にどのように変化したのでしょうか? 詳しく見てみましょう。

※「大学生の就職希望企業ランキング」とは
就職活動中の学生(日経就職ナビの会員)を対象に、就職希望企業を調査・ランキング化したものです。毎年実施しており、2012年は『日本経済新聞 第2部新卒就職広告特集』(2012.2.28)に掲載。

■「大学生の就職希望企業ランキング上位100社の採用活動」調査概要
回答者社数:54社
対象:2012年大学生の「大学生の就職希望企業ランキング」上位企業を対象
調査期間:2012年3月15日〜5月5日
(注)昨年は震災の影響による採用活動スケジュールの変更や、規定の回答数に達しなかったため、以下では「2013年春入社」との比較対象として、「2011年春入社」の調査データを活用しています。

Q.2013年春入社予定新卒者採用スケジュールについて、各選考フェーズの開始時期を教えてください。

Q.2013年春入社予定新卒者採用スケジュールについて、各選考フェーズの開始時期を教えてください。

12月開始でスケジュールはどうなったのか?

  • 【エントリー】 大手・有名企業は経団連の倫理憲章を遵守したため、採用広報とエントリー(資料請求)受け付け開始時期は「12月上旬」(69.8%)に集中しました。
  • 【セミナー・説明会】 セミナー・会社説明会の開始時期も「12月上旬」(71.7%)で、日経就職ナビをはじめとする就職情報サイトが開催する合同企業説明会への参加から始まっています。個別の企業説明会は、早いところは12月中旬から始まり年明けも1月5日から開催する企業もありました。
  • 【書類選考】 書類選考の開始時期は、「2月上旬」(21.6%)が最も多く、次いで「3月上旬」「4月上旬」(15.7%)。3月末までに書類選考を始めると回答した企業は84.4%で、「4月中旬」以降は0%という結果でした。
  • 【筆記試験】 筆記試験は「4月上旬」(38.3%)でしたが、2月中に始める企業も34.0%あり、4月上旬までに9割を超えています。
  • 【面接】 面接は「4月上旬」が最多で86.8%でしたが、4月前に始めた企業も9.5%ありました。
  • 【内定】 内定(内々定含む)を出し始める時期のピークは「4月中旬」(33.3%)で、4月中に内定を出し始める企業が8割を超えました。3月下旬と回答した企業も1社ありました。

     12月に入ってすぐエントリー受付、セミナー・説明会を開催し、2月上旬から書類選考、筆記試験を始め、4月と同時に選考本番である面接を実施、4月半ばには内定を出す、というのが2013年春入社の採用活動の動きと見て取ることができます。

「選考の第一関門である書類選考から内定までの期間は、従来と大きな変化はありませんが、学生たちが就職活動を本気で意識するエントリー開始から書類選考まで時間が大幅に短くなりました。これによって、学生たちの中には業界・企業理解を深めることなく、志望企業を決めて採用選考に突入し、うまく行かなかった人が多く見られました。また、仮に内定を得ることができても、就職するまでの内定期間に「本当にこの会社でよかったのだろうか?」と思い悩む内定ブルーの学生や、就職してすぐに「こんなはずじゃなかった」と早期離職する人が出る可能性があります。
 就職活動期間の短縮はいいのですが、就職活動の準備期間として、学生が企業や仕事について考えたり、調べたりする期間を持たないと、働けない若者が増える可能性があるといえるでしょう。

エントリーシート提出方法は?
エントリーシート提出方法は?

エントリーシート(ES)の提出方法は「Web」が、年々増えており、2012年から6割を超えています。郵送(書類)での受付では、封筒の開封、書類の仕分け、応募者名の入力など、さまざまな作業が発生します。しかし、Webではそういった煩雑な作業はないため、Webを活用する企業が増加しているのでしょう。


エントリーシートの提出数は?
SEの提出数は?

エントリーシートの提出数は「5,000〜9,999枚」「10,000〜19,999枚」が36.4%でした。5万通以上という企業も1社ありました。人気企業のES提出数は万単位になるのが当たり前の状況です。


筆記試験の実施回数は?
筆記試験の実施回数は?

筆記試験の実施回数は「2回」と回答した企業が40.0%で、「実施しない」企業はありませんでした。2回実施する企業は11年から12年にかけて急激に増え、3.9%から40%へと伸びています。学生絞り込みの第1段階としてWebエントリー時にWeb適性検査を実施(1回目)し、面接前や面接の合間に改めて学力を測る(2回目)といった使い方をしていると思われます。筆記試験対策の重要性は高まっています。


面接の回数は?
筆記試験の実施回数は?

面接の回数は、「4回」が50.0%、「3回」が47.7%とほぼ同数になりました。2011年には「3回」が6割と集中していましたが、12年は「3回」の前後すべての回数が増加する結果となりました。面接の回数の増えた企業は人物重視の採用に力を入ており、減った企業は推薦による採用が増えていると推測されます。