キャリア教育の現場から

アジアとの人材交流が日本の未来につながる
〜ビジョンや夢を持ったアジアの若者に活躍の場を提供したい〜

シンポジウム「グローバル人材と企業のアジア展開」

グローバル人材の確保•育成は急務の課題

勝 悦子教授
明治大学副学長 勝 悦子教授

明治大学でシンポジウム「グローバル人材と企業のアジア展開」が8月27日に開催された。国内の企業経営者やアジアの大学関係者が、企業によるグローバル人材の活用をテーマにパネル討論した。

アジアでの事業展開を加速している日本企業にとって、各国から優秀な人材を獲得し、戦力として育てることが喫緊の課題だ。戦力として長く働いてもらうためには外国人にも企業側にも課題は多い。さまざまな課題をどのように乗り越えるのか、大学、企業、政府機関など国内の産官学および各国の大学から集まった関係者が意見交換した。時宜を得たテーマだけにシンポジウムに集まった参加者は、メーン会場だけでは入りきらず、モニターを置いた別室まで設置されるほど盛況だった。

主催者の一つである明治大学は、2012年度文部科学省グローバル人材育成推進事業採択校であり、ASEAN諸国との大学間交流形成支援にも意欲的に取り組んでいる。まさに日本の大学の国際化を進める有力校だ。主催者を代表して挨拶に立った明治大学副学長の勝悦子教授は「アジア地域は世界の成長センター。グローバル人材の育成に向けて、日本とアジアの相互依存関係をより一層強めていきたい」と強調した。

採用では日本人、アジア人の区別はない

双日株式会社 代表取締役会長 加瀬 豊氏
双日株式会社 代表取締役会長 加瀬 豊氏

国内の外国人就業状況について厚生労働省の調べによると、一都三県の外国人労働者数は約27万人(2012年10月末現在)となる。この4年間では国内で働く外国人は1.5倍に増えたという。ただ、業種はかなり偏っており、飲食・サービス、小売業などに集中している。

こうした背景の中で、外国人採用に積極的な大手商社・双日代表取締役会長の加瀬豊氏が壇上に立ち、「当社の採用にはもはや、日本人・アジア人の区別はない。皆がグローバル人材への道を歩んでいる」と特別講演で力説した。商社マンとして40年以上、アジアをはじめ海外を舞台にダイナミックかつ柔軟にビジネスを展開してきた経験に裏付けされた考察は鋭い。

「グローバル人材とは何か」。この問いに加瀬氏は以下の3つの要素を兼ね備えた人材であると説明する。それは、第一に自分の意見を持ち誰とでも対等に話せる「自己確立」。第二に高い「専門性」。そして第三に異なる文化・習慣を理解する「許容力」と解説。双日はそうした資質を持った人材を獲得・育成するために採用の形式を多様化するとともに、海外派遣制度や昇格要件における英語重視の方針を進めているという。

だが、グローバル人材は企業の力だけで輩出できるものではない。大学を含め日本の教育界全体が「日本はローカルである」と意識して取り組んでもらいたいと加瀬氏は力を込める。「事実、最近は中学・高校を欧米で過ごした子供たちが日本に帰りたがらない」という。帰国したがらない子女たちの心の叫びにもっと耳を傾けるべきだと加瀬氏は警鐘を鳴らす。本来、日本人はグローバル人材にふさわしい資質を持っている。しかし、それらを生かし切れていないとも指摘した。