キャリア教育の現場から

アジア各国の日本語教育事情と日系企業への就職事情

タイ


日本研究の大学院設置も

日本とタイは伝統的に友好関係を維持し、経済関係も年々強まっている。さらに日本製品の流入、日本のアニメやポップス、コンピューターゲームの浸透、在留邦人の増加、また、高校段階や大学の理工系学部で日本語が学べるようになるなど、日本や日本人、日本語との接点が拡大し、日本語学習者の裾野が広がってきた。

タイを代表する名門チュラロンコン大学文学部日本語学科の場合、1年次で初めて日本語を学ぶ学生であっても、4年次ではビジネス日本語を学習し、卒業後には通訳や翻訳が行えるだけの語学力アップを目指している。

タイには1300社を超す日系企業が進出しているが、学生が目指す人気の日系企業はトヨタやホンダといった自動車メーカーが中心。

日本語能力の高い学生の初任給は平均初任給の4万5000円を大きく上回る7万5000円ほどに達することから、学生の学習意欲は高い。また、日本語を始めとする専門家を養成するため、タマサート大学やチュラロンコン大学などに日本研究の大学院が設置されている。

問題点としては、中等教育段階での日本語教師の不足があげられているほか、中国の経済発展にともない中国語学習者や韓流ブームの影響で韓国語を学ぶ学生が急増しており、最近では、日本語学習者はやや減少傾向にある。

ベトナム

日本語を理解するIT技術者養成に力

市場経済化で対外開放政策をとるベトナムへ進出する日系企業が増加し、英語と中国語に続いて日本語の学習を希望する若者が増え、特にハノイを中心とする北部において増加が目立っている。このため、地方都市でも日本語教育が活発化するとともに、日本の大学と連携して日本語教育を行う傾向が強まっている。

各大学は教育方針として、即戦力となる人材育成を目指し、卒業時点で日常的な場面で使われる日本語を理解できる日本語能力試験N2レベルの合格者養成に努めている。

卒業後の主な日系企業の就職先としては、トヨタやホンダなどの自動車メーカーや住友商事、ブラザーなど多岐にわたる。仕事内容は、経営者の補佐や秘書、プロジェクトの調整など、日本語能力を生かした専門職が多い。

また、ビジネスに直結する動きとして、日本語を理解するIT技術者養成を目指し、理工系大学としてトップクラスのハノイ工科大学が、慶応義塾大学や立命館大学の協力を得て日本語教育を開始した。IT日本語科目を設けて専門用語や知識を修得した優れたIT人材の育成やベトナムの産業競争力強化を目的に、日本へ学生を派遣するなどしている。それだけに、就職希望者の80%ほどが日系企業に就職するなど人気は高い。

他の分野では、介護や看護分野における日本語教育への関心も高まっている。