就活ルール変更「限られたリソースの中で対応できるのか?」

大学と企業の情報交換会

2019年6月14日に開催された「大学と企業の情報交換会」(主催:日本経済新聞社『U22』 協力:サイシード)の分科会レポート、4回目です。


大手の内定を得るまで就活を続ける学生が多い

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テーマ4は「就活ルール変更」について。2018年10月、経団連が2021年春入社の「採用選考に関する指針」の廃止を決定しました。現行ルールは2020年卒まで維持されますが、ルールの変更についてどのように捉えているのか。また、どのような影響が考えられ、そのためにどんな対策を行っているのか。大学側、企業側、それぞれの意見交換からスタートしました。


大学側からはおおむね、ルールの変更による「就活の早期化・長期化」に対する懸念の声が多く聞かれました。6月の選考開始時点で内々定を得ている学生は半数を超えますが、大手の内定を得るまで就活を続ける学生は多くいます。大学側としては学業に力を入れてほしいものの、内定のある学生を留年させるわけにもいかず、「正直、学修について、企業側はどう考えているのか?」といった質問もありました。


できればインターンに来てくれた学生に入社してほしい

企業側としては、学生優位の売り手市場が続く中、思うように採用数を確保できないというのが共通の課題。同業他社の動きを見ながら、インターンシップで学生と接点を持つことに力を入れている企業が多く見られました。「できればインターンに来てくれた学生に入社してほしい」という思いがにじんでいます。


対策として早めに内定を出しても「6月の解禁を待って返事をしたい」という学生が多く、内定から応諾までの期間も長期化。新入社員の入社と4年の選考+内定者フォロー、3年生のインターンなどが並行して行われるため、企業側(人事担当)もマンパワーが必要になりますが、リソースは限られています。AIの活用を検討する企業も見られるなど、限られた人材でどうやりくりするかは企業共通の悩みでした。


企業は「卒業=勉強した」と見ている

大学側から質問のあった学修については、企業としては「卒業=勉強した」とみなしており、面接ではポテンシャルや意欲、人間性を見ているとの回答がありました。また、理系の学生、特に早くから就活に取り組む学生はコンピテンシーが高く、チャレンジ精神が旺盛といった特性があり、逆に研究家タイプや深掘りが得意なタイプは、自分の研究がある程度固まってから就活する傾向があるようだとの意見も出ました。


通年採用については、留学生の増加など学生も多様化していることから大学側からは歓迎する声がある一方、通年採用では、大学の就活スケジュールが立てにくい、就活がさらなる長期化する等の懸念の声がありました。また、企業側としてはマンパワーの問題もあり難しいとの意見が大半でした。大学・企業双方とも限られたリソースの中で就活ルール変更に対応せねばならず、今後も周りの動向を見ながら柔軟に対処する必要がありそうです。


卒年別の内定率の推移

kokuca04-01.png (ディスコ調べ)

kokuca04-02.png (採用と大学教育の未来に関する産学協議会「中間とりまとめと共同提言」を基に作成)