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リモートインターンシップとは?
新型コロナ禍で広まったインターンシップで、職場での就業体験ではなくオンライン上で実施するインターンシップ。一般社団法人産学協働人材育成コンソーシアム(CIAC)は、「インターンシップ専門人材研修会」を開催し、インターンシップの専門人材「CIAC 認定インターンシップコーディネーター」を養成しています。CIACは2020年8月下旬から9月中旬にかけて、全国の17大学と連携し、企業15社でリモートインターンシップを実施。5日間のリモートインターンシップには学生61人が参加しました。参加者
松高政さん(一般社団法人産学協働人材育成コンソーシアム代表理事/京都産業大学経営学部准教授) 座間味涼子さん(デジタルハリウッド大学キャリアセンター長) 河瀬恵子さん(横浜市立大学留学生就職支援コーディネーター)
不安よりもワクワク感がありました
松高 CIACは昨年8月下旬から9月中旬に、全国の17大学と企業15社、学生61人で5日間のリモートインターンシップを実施しました。当初は、10大学、30人くらいの学生を想定していたのですが、最終的に倍の参加者になりました。準備を進めるにつれ、作業がどんどんと増えていき、お二人に事務局として少しサポートをしていただくことになりました。座間味 私も未知のことをやる不安はありましたが、それも含めて面白かったです。楽しみながらやることができました。
松高 リモートインターンシップは誰もが初めてで、私も本当にできるんだろうか、という不安がずっとありました。「リモートインターンシップはインターンシップと言えるのか?」という意見もあり、賛否両論ありますが、評論家みたいにブツブツ言っているだけでは仕方ないので、「とにかくやってみよう、やってみないと分からない」という想いでスタートしました。そんな状況でしたので、お二人に事務局を担っていただき、本当に助かりました。
座間味 今回は、インターンシップ専門人材の方々と一緒にやったので、参加大学の教職員全員が事務局の一員という感じで、むしろ皆さんに助けていただいたという思いです。皆さん、臨機応変、柔軟に対応いただきとても感謝しています。初めてのことばかりだったので、直前になって気づくということがよくあり、事前にきちんとスケジューリングすることが難しかったです。
河瀬 先々の予定が分からないという不安よりも、むしろ新しいことを生み出しているというワクワク感が大きかったです。今回はCIACとしても初めての企画ということで、皆で一緒に作り上げていこうという気持ちでいました。なので、それがストレスになるということはありませんでした。もちろん、大学教職員の皆さんに対しても企業様に対しても急な依頼事項が続き、申し訳ないという気持ちになることはありましたが......。
河瀬 大学教職員の皆さんは、通常の学務へさらにプラスアルファの業務が発生することとなり、結構な負担だったと思います。ただ、その負担を当たり前のように対応していくところが専門人材としての真の力量だったように思います。それぞれの大学で見えない苦労も非常に多くあったはずです。
デジタルツールをどう使うが成功のカギ
松高 私が、お二人に事務局をお願いして本当に助かったのは、「こうしたらいいのでは、ああした方がいいと思う」と色々と提案いただいたことです。私も、思いつかない、気がつかないことがたくさんあったのですが、それをカバーしていただいてとても助かりました。河瀬 やりながら考えるというのは私も同じです。そのような中で意識をしていたことは複雑な説明が伴うタスクほどシンプルなマニュアル資料を作るということ。今回は学生、企業、大学教職員と様々な立場の方が参加されていましたし、ましてやリモートの環境下で進行するプログラムなので、誰が見ても一目で理解が進む資料にしないとミスコミュニケーションが起こると思っていました。特に気を付けたのが、「誰が何をするのか」を明確に示すことです。実行者は学生なのか、社員なのか、大学教職員なのか、また、誰が、いつまでに、何をしないといけないのか、その点を明確に周知できるよう気を配りました。
松高 確かに、資料は分かりやすかったですね。名簿もいくつか作りましたが、とても分かりやすかったですね。Excelの表って、凝りすぎて見方がよく分からないことが多いじゃないですか。今回は本当に分かりやすかったですね。Zoom上で見ることもあるので、全員がパッ見て分かるのは余計なストレスがなく、スムーズに進めるうえでとても大事でした。
座間味 名簿以外にもワークシートや資料も多かったので、その共有も大事なことでしたね。Googleドライブを使いましたが、分かりやすいファイリングも大事だったと思います。個人情報の問題があるので、閲覧可能な資料とそうでない資料をフォルダーに分けたり、教職員がGmailをもっていなかったり、大学によって使い方が違っていたりと、最初の設定は少し手間がかかりました。同じ大学の学生、教職員であれば、それほど面倒ではないと思いますが、他大学や企業の方々が関わるとなるとシンプルな仕組みをどのように準備するのかも大事なポイントですね。
一番手間取ったのは大学の教職員でした
松高 座間味さんには、デジタルツールの部分を全部お任せしてしまいましたが、大変なことってありましたか?座間味 デジタルツールは学生も教職員も日常的に使っているので、特に大変だったということはありませんでした。今回は、学生、企業の方、大学教職員、そして事務局の我々と関わる人が多かったので、コミュニケーションのプラットフォームが必要だと思い、Slackを使ったらいいのではないかと思いました。
座間味 そうですね。学生さんも初めて利用した方も多かったですが、すぐに慣れていましたね。どちらかというと企業や教職員の方が苦戦したかもしれません(笑)。それでも最後には十分に使いこなせていたので、まずは使ってみることが大事だと思いました。
松高 Slackを使ったことはポイントでしたね。
座間味 見える化する仕組みがあった方がいいと考えたんです。ここにアクセスすれば、とりあえず資料が全部アップされている。また、リモートワークが進むとデジタルツールの役割は大きくなります。メール以外のデジタルツールを知っておく、使ってみるという経験を学生にさせたかったんです。一度でも使ったことがある、という経験は大きいと思います。
河瀬 Slackは、研修当日のZoom上でのプログラム運営にもとても役立ちましたね。事務局スタッフ間での状況伝達ツールとして、Slackが存在していたことは非常に安心感がありました。
松高 スタッフ全員がそれぞれ別の場所にいるので、Slackをトランシーバー代わりに裏で繋がっていたという安心感はありましたね。事務局内でコミュニケーションを取る時、Zoomのチャットでやり取りすると、間違って学生や企業の方にも送ってしまうという事故が発生しそうじゃないですか。SlackやGoogleドライブといった、デジタルツールを上手く使いこなすことも、これからの必須のスキルですね。
河瀬 一方、学生の誓約書や、企業様と取り交わす覚書の運用についてもリモート化しねければなりませんでした。今回は、捺印済み原紙のPDF化運用を基本としましたが、大学や企業様によっては原紙の郵送対応でないと受け付けないケースもありました。各大学教職員の皆さんは、学生からの原紙回収やクラウドサービスへのデータアップ作業など最初は戸惑いもあったかと思いますが、遅れることなく全員分が揃いました。
未来を拓くインターンシップ
松高 政 (著) 一般社団法人産学協働人材育成コンソーシアム (監修)
インターンシップを大学教育として位置付けていていくためには、現場で実践を担う専門人材と、学長のトップマネジメントによる全学的、組織的な取組が不可欠である。本書は「インターンシップ専門人材」による実践レポートと、「大学改革としてのインターンシップ」に取り組む先駆的な大学の学長へのインタビューから構成。大学教育に携わる者、受入企業の担当者は必読。
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