22年卒内定者調査 サポート編 就職支援「利用していない」4割

漂流する就活

就職について大学に何を相談すればよいのかわからない学生も多数

今回は学生個人の就職活動ではなく、大学の就職支援とキャリア教育に関するアンケート結果を紹介します。就活を終えた内定者から見た「役に立った就職支援」「役に立たなかった就職支援」とは何なのか? 今後の就職支援やキャリア教育に役立ててください。


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【調査概要】 ・調査対象 「キャリタス就活2022会員」(2022年卒の大学4年生、修士2年生) ・調査時期 2021年8月25~9月5日 ・回答者数 242人 ・企業情報数 600社


役に立った支援は「就活全般のガイダンス」

大学の就職支援についてのアンケート結果

まずは「大学(学校)の就職支援は役立ちましたか?」という質問への回答結果です。「役に立った」(16.9%)と「やや役に立った」(26.0%)を合わせた43%が「役に立った」ようです。「役に立たなかった」は3.7%と少なく、「あまり役に立たなかった」(14.0%)と合わせて17.7%にとどまりました。残りは「利用していない」(39.3%)と、約4割の学生が大学の就職支援を利用していないことが分かりました。


「役に立った」支援については、「就活全般のガイダンス」(51.9%)、「模擬面接」(27.9%)、「カウンセラーによる面談」(26.0%)、「業界・企業研究」(25.0%)、「自己分析の仕方」(20.2%)、「学内セミナー」(20.2%)が上位となりました。2番目に「模擬面接」が入っていますが、その他は採用選考に関するノウハウ的な講座よりも就活の基本となる内容が好評なようです。


役立った就職支援.jpg


利用しなかった理由「何を相談すればよいのかわからなかった」

アンケートでは「役に立たなかった」「利用しなかった」理由を聞いていますので、学生からのコメントを紹介します。


【役に立たなかった・あまり役に立たなかった】

「イベントや合説などのサポートが2、3月からと遅く、早期選考や本選考でも2月以前の企業に関してはあまりサポートが得られなかった」

「情報の提供が秋学期からやっと始まったため」

「相談に乗ってくれるシステムを何度か利用したが、偏った意見だと感じることが多く、あまり参考にならなかった」

「就職支援室の方にES添削をお願いしたが、当たり障りのないことしか言わず、どこが具体的にどうダメなのか・どう良いのか、どうしたら良くなるのかなどを教えてもらえなかった」

「内定辞退について親身に考えてくれない。大学はあくまで個人ではなく大学としての世間体を気にしている」


【利用していない】

「学校に行けなかったから」

「コロナ禍でほとんど機能していなかったため」

「存在を知らなかった」

「使わなくても行けると思った・必要性を感じなかった」

「使い方がわからない。もっと密接に面倒を見てくれるものだと思っていた」

「何をしてくれているのかよく分からなかった。支援のお知らせが遅すぎた」

「敷居が高く、利用の仕方を調べても出てこなかった」

「何を相談すればよいのかわからなかった」


以上が学生の声です。役に立たなかった理由としては、就活時期と支援時期のズレを挙げる意見や支援時のアドバイスが期待した内容と離れていたという声が多く見られました。利用しない理由は、大学に行っていないこと、利用しなくても問題なかった、というもありましたが、目立ったのは「使い方を知らない」のように、キャリアセンター・就職課の支援内容を理解していない内容でした。


今回、アンケートに回答している学生は、7月までに内定を決めている、就活が比較的スムーズに進んだ学生です。彼らが「必要性を感じなかった」という声はそれほど気にする必要はないでしょうが、「使い方を知らない」といった声が無視できません。就活への関心の高い学生が知らないということは、就活に関心が薄い学生=就活で苦労する学生はもっと「使い方を知らない」可能性があります。キャリアセンター・就職課の役割や就活支援の内容を学生に届ける工夫が必要なようです。


(編集部 渡辺茂晃)


写真素材/PIXTA