新型コロナで急増?! WEB・動画面接対策へのアドバイスは?

漂流する就活

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新型コロナウイルスの感染拡大によって大手就活情報サイトによる合同企業説明会や学内合同企業説明会の中止や延期が相次いで発表されています。政府が決めた就活スケジュール、3月1日就活解禁を迎えながらも企業や大学の対応が混沌とする中、一生に一度の新卒就職を控える学生たちはさらに大きな不安を抱えています。今後急増すると思われる動画面接についてどんなアドバイスをすればいいのでしょうか。

就職情報サイト「マイナビ」は、3月1日から15日までの合同企業説明会を中止しましたが、企業の説明会をWEB上で見ることができるライブ配信を実施、250社以上が参加しました。就活サイトに限らず、企業の個別説明会も動画での対応に切り替わっています。多くの企業が説明会をWEB動画で実施する中、インターネット広告のセプテーニは選考すべてをオンラインで完結するように切り替えると発表しました。

選考を進めなければ他社に取られる

ある企業の採用担当者は「コロナだからと言って何もしなければ、他社に学生を取られてしまう。対面せずに選考が進められるなら早めに面接して学生を確保したいのが本音」と話します。このように、直接学生と会わなくてもWEB・動画面接を使って選考を進め、早く内定を出して学生を囲い込みたいのが企業の本音。多くの企業が今、対面式の面接からWEB・動画面接への切り替えを始めています。

急激なWEB・動画面接へのシフトに対し、就活生の間には戸惑いの声が広がっています。コンサルティング会社の1次選考を通過した都内の就活生は2月下旬、例年は対面で面接をしているが、今年は新型コロナウイルス対策でオンライン面接に切り替えるとの連絡を受けたと言います。「スマホで録画するなどの話は聞いたことがありますが、これまでオンラインでの面接は受けたことがなく、どんな対策をすればいいのか......」と困惑気味。

問い合わせが急増、AI面接

aimensetsu_3.jpg 「SHaiN」の画面

スマートフォンを使った対話型AI(人工知能)面接サービス「SHaiN(シャイン)」を提供するタレントアンドアセスメント代表の山﨑俊明さんは、「国からの就活イベントなどの自粛要請によって問い合わせが増えている」と話します。

同社のAI面接サービスは専用のアプリをダウンロードして、スマホから聞こえる「AI面接官」の質問に学生が答えるというもの。「学生生活に力を入れたこと(ガクチカ)」から質問が始まり、回答した内容に対して「もう少し詳しく説明してください」など、次々と質問が続き、面接時間は40分から60分かかるといいます。

学生が答えた音声データをAIがテキストデータに変換し、「バイタリティ」「対人影響力」「柔軟性」「自主独立性」「計画力」「理解力」「ストレス耐性」など11項目に分けて分析します。そのデータと面接中の動画などを見ながら専門スタッフが学生を評価。企業の採用担当者は提供された分析結果と動画・音声を基に合否を判断するという流れです。

1度受けた面接データを他社の選考にも活用できる「オープン面接」機能や、面接を受ける場所がない学生向けにカラオケ店舗「JOYSOUND直営店」を運営するスタンダードと提携、「SHaiN」を利用する学生に対して飲み物を1杯注文すれば30分間無料提供するサービスも始めました。

AI面接の注意点は?

以下では、タレントアンドアセスメント代表の山﨑さんにスマホを使ったAI面接の注意点などを聞きました。

aimensetsu_2.jpg タレントアンドアセスメントの山﨑俊明代表取締役

――AI面接を受ける際の注意点は?

AI面接は記録した動画と音声をAIがデータ化しますので、まずはスマホが動かないように固定し、画面に対してきちんと正面を向き、適度な大きさの声で回答してください。面接時間は長い場合には60分近くになりますので、充電も忘れないでください。また、静かな場所で周りに物が散乱していない方がいいでしょう。そのような場所がない学生さんのためにカラオケボックスと提携し、面接に集中できる場所を提供しています。

スマホでの面接だと思って気を抜くような学生さんも結構います。これまでにあった事例としては、タバコを吸いながら答えている、上半身裸、寝転がっている、横を向いて答えている(明らかにテレビを見ている)、頬杖をつく、暴言を吐く(「うるせー」や舌打ちをする)などがありました。

対面式の面接ではありえませんが、自宅であることや目の前に人がいないことで、このような言動を取ってしまうのでしょう。こうした態度の悪さなどは「ストレス耐性」の評価に反映されます。

――AIに面接されることにネガティブな印象を持つ学生もいます。

私は人間が面接するよりも正確に評価できると思っています。対面式で面接している担当者の手元のメモには、学生の話の概要と印象しか書いてありません。 例えば「〇〇でアルバイトをしている」という話を聞くだけで、話の内容ではなく、そのアルバイト先の企業イメージにより面接担当者は「この子はしっかり働ける人材だ」という印象を持ってしまいます。そしてメモ書きには『〇〇でバイト経験あり。しっかり仕事ができる』というメモが残ります。人が面接すると、どうしても個人の印象や過去の経験などに基づいたバイアスがかかってしまいます。

AI面接の場合には、先入観や忖度はありません。応募者の回答すべてを評価項目に合わせて分類し評価されたレポート、かつ面接中の動画・音声データも確認することができます。採用担当者はこれらのデータを基に合否判断をするわけですから、余計なバイアスなく応募者を公平公正に評価できます。

――WEBテストなどのように練習すれば受かるようになる?

何度も練習すれば、質問の理解力や回答の表現力が向上することはあるでしょう。ただし、評価ポイントは過去の経験の中での考え方や行動になりますから、具体的な経験を話してもらうことが重要になります。

話を盛ったり、嘘をついたりしてごまかそうという人もいるかもしれません。AI面接では「詳しく」「具体的に」と深く掘り下げられ、すべてがテキストデータになります。対面式の面接よりも遥かに矛盾点を見つけやすくなりますので、正直に話したほうがいいでしょう。話すのが苦手という人にとっては、AIは丹念に根気よく話を聞いてくれるので、話し方に関係なく、話した内容そのものを評価してくれます。

■AI面接の受検手順