内定者座談会(上)リクナビの内定辞退率、就活生はどう感じた?

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経団連が従来の就活ルールを廃止し、大きく変わることが予想される2021年卒の新卒採用。これから就活に取り組んでいく大学3年生・修士1年生はどのように準備を進め、選考に臨んでいけばいいのでしょうか。内々定を獲得し、就活を終えた学生4人に集まってもらい、選考に向けた準備や選考突破のコツなどを座談会形式で語っていただきました。3回に分けて紹介します。


参加学生

  • Aさん(男性、私立大学院・文系、内定6社、入社予定=コンサルティング、他の内定先=ITなど)
  • Bさん(男性、国立大学・文系、内定6社、入社予定=銀行、他の内定先=消費財メーカーなど)
  • Cさん(女性、国立大学・文系、内定2社、入社予定=総合商社、他の内定先=電力)
  • Dさん(女性、私立大学院・理系、内定3社、入社予定=印刷、他の内定先=化学など)

エントリー先などを知られることに抵抗感

――今日(2019年8月2日)の日本経済新聞で、リクナビが就活生の「内定辞退率」の予測を企業に販売していたことが報じられました。どのように感じましたか?


Cさん 自分が検索した企業やエントリー先などを就活サイト側に知られることには、かなり抵抗感があります。私は3月1日のプレエントリー以外はサイトをほとんど利用しませんでしたが、3~4月頃に「あなたの行動履歴から分かるオススメ企業」といったメールが送られてきたことがありました。サイト側に行動を見られていることが嫌で、会員登録を解約しました。


Bさん 就活サイトは個人情報の取り扱いに関してルールが確立していないなと感じました。今回はニュースでその取り扱いが表面化しましたが、リクナビは報道されている内容以外にも個人情報を含めたいろいろな情報をビジネスに活用していると思いますし、他の就活サイトでも同様のことをしているのではないかと。今回の問題をきっかけに、しっかりしたルール作りを進めてほしいです。


Dさん 企業は学生と直接会っていなくても、リクナビから提供された学生のエントリー企業などのデータを基に、学生をイメージ化してしまうのではないかと思いました。学生からすると、面接前にイメージを勝手に固められるのは嫌ですね。


Aさん これからの時代は様々なデータが流通していく流れがあります。データをやり取りするプラットフォームを確立したり、情報の取り扱いに関するルールを掌握したりすることで、非常に大きなビジネスチャンスになるといった印象を持ちました。


――リクナビは「プライバシーポリシー」で、学生の行動履歴を企業の採用活動の補助のために情報提供することがあることを記載していました。会員登録時にプライバシーポリシーはしっかり読んでいますか?


一同 いや、読んでいないです(笑)。


Aさん しっかり読んでいない学生側も悪いのですが、「採用活動の補助のための情報提供」と書かれていても、どのような内容が提供されるのか具体性がないためよく理解できず、さらっと読み流してしまいます。


Cさん リクナビはデータ提供先の企業に「採用判断に使わないように企業と確約している」と言っていますが、そのまま鵜呑みにはできず、疑心暗鬼になります。


8月2日時点の「リクナビ」登録画面内のプライバシーポリシー

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8月7日時点の「リクナビ」登録画面内のプライバシーポリシー

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リクナビのサイトフッターにある「プライバシーポリシー」とは別にある登録画面内のプライバシーポリシー。
上が8月2日時点で下が8月7日時点。「・行動履歴等の利用について」部分に「利用目的」として「・広告・コンテンツ等の配信・表示等のユーザーへの最適な情報提供・採用活動補助のための利用企業等への情報提供(選考に利用されることはありません)。」が追加されています。

夏のインターン経由で3年10月に内定獲得

――ありがとうございます。では本題に入ります。就活を振り返ってみてどのような感想を持っていますか? ご自身の活動と合わせて教えてください。


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Bさん 就活を1年間続けるのは大変で、本当に疲れました。最初の頃は張り切って取り組んでいたのですが、3年生の秋頃には疲れてしまい、ペースダウンしてしまいました。


就活をスタートさせたのは3年生の5~6月頃。インターンシップ選考への応募です。夏のインターン参加企業の中には早期選考を受けられるところがあり、10月に消費財メーカーから初めての内々定(内定)をいただきました。それ以降は志望度の高い10~15社を受けて、4年生の6月1週目に就活を終えました。10月に内定をいただいた企業は、当初は志望度が高かったのですが、業界・企業研究を進めていくうちに他の企業に目が向くようになり、最終的には銀行に決めました。


Cさん 私は短期決戦でした。3年生の12月と1月にそれぞれ1Dayインターンシップに参加し、本格的に就活を開始したのは3月1日からです。インターンが1Dayだったため早期選考を受けることもなく、1社目の内定は5月に電力会社からいただきました。第2志望群の中の第1志望企業だったため、その時点で第1志望群以外の企業はすべて選考を辞退。6月1週目に第1志望の総合商社から内定をいただき、終了しました。


Aさん 修士1年生の夏に、数社のインターンに参加しました。秋に早期選考を実施した企業を受け、11月に初内定を獲得。志望度の高いコンサルティング企業だったので、それ以降は本当に行きたい10社程度に絞って活動しました。入社予定の企業は4月下旬に内定をいただきましたが、6月1週目に志望度の高い企業の最終面接が予定されていたため、6月中旬まで就活を続けました。


自分は文系の院生なので先輩が少なく、周囲の学生も博士課程に進学するか、教員になるような人が大半。民間企業を受ける学生はほとんどいないかったため不安なこともありましたが、自分の気持ちを大事にして取り組み、最終的には満足のいく就活になりました。


Dさん 大学院の研究が忙しくて、夏はインターンに参加できなかったため、就活を始めたのは11月頃に行ったインターンからです。2月頃からエントリーシート(ES)提出や面接を受け始め、4月上旬に印刷会社から初内定、志望度の高かった化粧品1社を残して他の選考は辞退。5月中旬に化粧品から内定を得ました。



以上が、「リクナビ」データ提供問題へ見方や就活を振り返った感想です。次回はインターンシップへの取り組みなどについてお聞きします。