内定者座談会(下)動画エントリー、スカイプ面接対策は?

2020zadankai3m.jpg

内定者座談会の3回目は選考対策や複数内定からの絞り方などについて聞きました。動画エントリーや筆記、面接などの選考試験対策から内定決定までを話してもらいました。


参加学生

  • Aさん(男性、私立大学院・文系、内定6社、入社予定=コンサルティング、他の内定先=ITなど)
  • Bさん(男性、国立大学・文系、内定6社、入社予定=銀行、他の内定先=消費財メーカーなど)
  • Cさん(女性、国立大学・文系、内定2社、入社予定=総合商社、他の内定先=電力)
  • Dさん(女性、私立大学院・理系、内定3社、入社予定=印刷、他の内定先=化学など)

部活のユニホームでエントリー動画を撮影

――2019年はAI(人工知能)を使った採用が話題になりました。実際にAI選考を受けたことはありましたか?


Aさん インターンシップ選考も本選考でも全くなかったです(一同うなずく)。


――動画エントリーはいかがですか?


Bさん インターン選考と本選考で数回体験しました。とてもやりにくかったです。例えば「スカイプ」を使った選考であれば相手の顔が見えるので会話ができ、それほど苦労はしないのですが、一方的にこちらが話す完全録画形式は相手の反応が見えず、あまり好きになれませんでした。動画エントリーで意識したのは、採用担当者が聞きやすいようにハキハキ話すことでした。


Aさん 本選考ではありませんでしたが、インターンの選考で経験しました。「ガクチカ」など事前に決められた質問に対して1分ぐらいで回答しました。動画エントリーは失敗しても何度も撮り直せることが良い点だと思います。


Cさん 本選考で2社ありました。質問はエントリーシート(ES)に書くような内容なので、回答は難しくないのですが、紙を見ながら答えるわけにはいかず、暗記しなくてはならないことが大変でした。服装はスーツで臨んだのですが、体育会に所属する友人の中には、部活のユニホームを着て動画を撮った人もいました。それでも選考は通過していたので、服装の指定がなければ自分をPRできる服装でもいいのかもしれません。


業界キーワードは調べておかないと回答できない

――ES対策はどのようにしましたか?


naitei05.png

Dさん 社会人の友人やキャリアセンターの方に見てもらい改善しました。指摘されたのは「具体的でない」ということ。言いたいことが伝わってこないことや話の矛盾点も突っ込まれました。最終的に完成したのは2月下旬くらいです。


Cさん キャリアセンターが主催するES講座に参加したり、大学から配布された資料を参考にしたりしました。文章は論理的になっているか、読みやすさと自分らしい表現の両立を意識しました。


Aさん インターネットサイトに載っているES事例を参考にしました。自分は院生なので、社会人になっている学部時代の友人にチェックをお願し、書き直すということを繰り返しました。


Bさん インターンシップ選考を通じてブラッシュアップしました。就活を終えた今、もっといろいろな人に添削をお願いして、自分の文章を客観的に見てもらい、伝わりやすくすればよかったと思います。


――選考で時事的なテーマについて質問されたことはありますか? 対策はどのようにしていましたか?


Cさん 選考で落ちてしまうこともありますが、めげずにどんどん応募したほうがいいです。平日に開催されることも多く、学業との兼ね合いもあるでしょうから、企業を絞って参加してもいいと思います。


Bさん エネルギー関連企業の面接で、「エネルギーミックスについてどう思うか?」と質問されました。普段から日本や世界の情勢にアンテナを張り、自分の意見を持っているのかを試していたのだと思います。エネルギー業界は志望度が高かったこともあり、新聞を読んで知っていたのですんなり答えられました。業界キーワードは事前に調べておかないと答えることは厳しいです。


Bさん 日経電子版を活用したほか、社会人が匿名で業界に関する情報を発信しているようなツイッターでも情報収集していました。


面接に自信、前日は対策不要で早めに就寝

――面接対策はしましたか?


naitei06.png

Dさん リクナビの「オープンES」は1枚完成させると、複数社の面接を受けられます。そこまで志望度が高くなくても、ESを提出して面接を受け、場慣れすることを目指しました。最初は緊張して回答がグダグダで、自分が言いたいことを言えませんでした。企業の質問内容はどこも同じようなことが多いので、経験を積むと落ち着いて答えられるようになりました。場慣れは本当に大事。


Cさん インターン選考を受けた学生は面接慣れをしていますが、自分はインターンの選考を受けていないので、最初の頃はどのように話したらいいか手探り状態。リクルーター面談など社会人と話すことを通じて、どのように話せば相手に伝わるのかを探していきました。ガクチカを話したときにリクルーターから「つまり、こういうこと?」とまとめてもらい、実際の面接ではそれを使っていました。


Bさん 面接は数を重ねることが大事。インターンの段階から面接を受ければ練習になります。ESに書いたエピソードに対して、どこの企業からも同じようなような質問をされました。終盤になるにつれて想定外の質問をされることが少なくなり、通過率が上がりました。面接終了後にすべての質問をノートに書き出して、次の選考に備えることも役立ちます。エピソードを伝えたときの面接担当者の反応を見て、関心のポイントを知り、面接ではより分かりやすく伝えるようにしました。


Aさん 面接はESを基に質問されます。どんなことを聞かれても自信を持って答えられるくらい準備していきました。ESを第三者の視点で見て、突っ込まれる個所を1つずつつぶしていく方法です。最終的には「自分は落ちないだろう」と自信を持っていけるまでになりました。3~4月頃には事前対策はほとんど不要になり、面接前日は早く寝ていました(笑)。


3カ月ぐらい悩んで入社先を決定

――複数社の内定からどうやって1社に絞ったのですか?


Bさん 会社の看板がなくなったときに自分の力で次のステップに進める専門性やスキルが身につくかという視点で選びました。あとは企業選びの軸の1つである「公的な仕事」という点も。人に相談せず、3カ月ぐらい悩んで決めました。


Aさん いち早く成長して、独り立ちできる会社に決めました。これからの人生は1社だけで会社人生が終わるとは限りません。社会人の知り合いのコンサルの方にも相談したら、「SE職を経てコンサルタントになるより、最初からコンサル業務に携わったほうが成長曲線は高い」とアドバイスされました。それを聞いてコンサルティングに決めました。


Cさん 総合商社と電力の2社から内定をいただき、かなり迷いました。最終的に商社に決めた理由は2つ。1つは社員の雰囲気が自分に合っていると感じたため。内定先はOB・OG訪問や会社説明会で出会った方も合わせれば、20人以上の社員から話を聞きました。皆さんそれぞれ自分の考えをしっかり持っていて、行動に移せる素敵な社員が多いという印象でした。自分が馴染めそうな社風も魅力でした。もう1つの理由はいろいろな業界と関わりながら、大きな仕事ができそうだからです。電力会社に入社すれば電力のプロフェッショナルにはなれると思いますが、業務範囲は商社に比べて狭くなる。いろいろな業界に関わってプロジェクトを進められるのは商社だと。


Dさん 内定者懇親会で社員と話して、「ここだったら長く働けるのではないか」と好印象を持ったためです。入社先は4月上旬に内定をいただきましたが、返事を急かされることもなく、5月中旬に懇親会がありました。すでに内定をもらっていた安心感もあり、若手の社員に聞きたいことをストレートに質問したところ、私の思いをくみ取って答えてくれ、会社の雰囲気も合っていると思いました。


――最後にこれから就活に臨む後輩へアドバイスをお願いします。


Bさん 周囲に流されて就活をしたり、同じように考えたりすることはやめたほうがいいです。自分は将来どのような人生を送りたいのか悩み、そこから逆算して何の仕事をすればいいのかを考えていくと、面接でも担当者に納得してもらえる回答を伝えることができます。


Aさん 就活は自分の殻を破るいい機会です。「自分はこういう仕事が向いている」と決めつけて活動するよりは、いろいろな社会人の話を聞いて自分の適性を発見するほうがいいと思います。


Dさん 就活当初から業界を絞り過ぎず、自分が興味ないところもいろいろ見ていくことをお勧めします。就活は自分が知らなかったことをたくさん知ることができるいいチャンスです。


Cさん 合っている業界・職種は人ぞれぞれです。「自分は●●業界でこれがやりたい」「この仕事が自分に向いている」と自信を持つことが自分の武器になります。自己分析などを通して、自分のこれまでの人生を棚卸しながら、自分の適性を考えられるいい機会だと思います。


――お忙しいところ座談会に参加いただき、ありがとうございました。就職まであと半年、充実した学生生活をお過ごしください。