採用担当者重視度 23.0%
上のマンガのような人は、新入社員だけでなく中堅以上の社員にも多くいるような気がします。何か問題が起こった後に、「ここが問題だと思っていたんだよね」とか「やっぱりそうなったか」などと、他人事のように話す人。こういう人は「評論家タイプ」と言われ(良い意味ではなく)、会社では典型的な仕事のできない人。こんな社員にならないためにも、課題発見力を磨きましょう!社会人基礎力では、課題発見力を「現状を分析し、目的や課題を明らかにする力」と定義し、行動例を「目標に向かって、自ら"ここに問題があり、解決が必要だ"と提案する」としています。課題発見力は社会人基礎力の中でも、仕事に直結する働く上で欠かせない力です。しかも、課題を発見して「解決が必要だ」と指摘するところまで含まれ、その先には課題解決にまでつながるため、とてもレベルの高い能力とも言えるでしょう。
社会人基礎力の3能力12能力要素についてはこちら
仕事は課題を発見することから始まる
課題発見力はなぜ仕事をする上で大事なのか、もう少し詳しく説明しましょう。仕事は課題を解決するのが基本。世の中のどんなビジネスも、より良い商品やサービスの提供を目的にしています。その目的を実現するために、その前に立ちはだかる多くの課題を見つけ、解決しなければなりません。例えば、従来より優れた製品を開発するには、コストと時間がかかるとします。でも、どんなに優れた製品でも値段を上げれば売れなくなる可能性が高くなるという問題が出ます。そこで、より質の高いものを従来と差のないコストで作り、値段を上げないようにするにはどうすればいいのかを考えなければなりません。このような問題に隠れている課題を見つけ、解決するのが仕事なのです。例では、質とコストと値段の問題ですが、他にも日常業務での作業効率向上や経費削減など、あらゆる場面に課題が隠れていると言えるでしょう。そのような見えない課題に気づくのが課題発見力です。問題が起きていることに気づくことなく、同じことを延々と繰り返していては自分のためだけでなく、会社のためにもならないでしょう。常に「今のままでいいのか」「どうすればより良くなるのか」を考えなければなりません。そうすることによって、新しい商品やサービスの開発に結びついたり、効率の良い仕事の進め方に通じたりするのです。
課題を見つけたら、解決法まで考える
単に課題を発見すればいいという訳ではありません。冒頭のマンガにあるように、課題を見つけたなら、実際に事が進む前に指摘するのが当然のこと。つまり、発見しても周囲に知らせることなく、胸の内にしまっていては何にもならないのです。できることなら、課題を発見するだけでなく、解決方法までを提案できるといいですね。もちろん、課題解決を提案できるようになるには、それなりに仕事の経験が必要になるので、新入社員には難しいかもしれません。たとえ素晴らしい解決法が思い浮かばなくても、どうすれば解決できるかを考えることが大切です。自分の解決案と先輩や上司の解決案を比較し、今後の課題解決に役立てられるようにしてください。自分だけでなく、周囲にも目を配ってみよう
最後に、課題発見力を身に付け、鍛えるにはどうしたらいいのでしょうか。まずは、現在取り組んでいることについて、「これでいいのか」と自問自答することから始めてください。現状に満足するのではなく、「この取り組み方でいいのか?」「目標はこれでいいのか?」と、常に現状を分析してみましょう。これは学生ならサークル・部活動やゼミ活動、アルバイトなど、社会人なら仕事の進め方やビジネスモデルなどになります。また、自分の周囲で他人や仲間が取り組んでいることも観察し、課題はないかどうかを探ってみましょう。何か課題が見つかったら、誰かに話してみてください。誰かに聞いてもらうことによって、その課題は重要なのか、的外れなのかを検証できます。見つけた課題が適切であれば、その後の解決策の模索へと発展します。この繰り返しによって、課題発見力が磨かれるのです。
今の学生生活はこれでいいのか、サークルに取り組む姿勢・運営方法は適切なのか、アルバイトの仕事の進め方は間違っていないのか、先輩から引き継いだ仕事はこのやり方でいいのかなど、身の回りのことから課題はないか確認してみましょう。
(日経HR 渡辺茂晃)
◇ ◇ ◇
日経キャリア教育「キャリエデュ」では、「社会人基礎力診断」を開発・提供しています。「社会人基礎力」とは、以下の3能力と12能力要素からなる、仕事や職場で活躍するうえで必要な力のことです。
<3能力>
前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力
<12能力要素>
主体性、働きかけ力、実行力、課題発見力、計画力、創造力、発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力
就職活動に臨むうえでも、学生たちのこれらの能力は欠かせません。まずは学生たちに足りない力を把握するため、社会人基礎力診断で学生たちの能力測定から始めてみましょう。