2024年まで実施した「企業の人事担当者から見た大学のイメージ調査」（以下、旧調査）をリニューアルし、25年から「企業人事に聞いた『卒業生が活躍している大学』調査」（以下、新調査）としました。この新しい調査結果をもとに作成したのが「新・就職力ランキング2025-2026」です。企業で活躍する卒業生を輩出する大学はどこなのでしょうか。
働き方の変化に合わせた新たな7つの評価項目
ランキングを紹介する前に、新調査の概要とリニューアルの背景などを解説します。新調査は、企業の人事担当者に対して直近2年間に採用した社員を出身大学別に見て、「行動力」「コミュニケーション能力」「知力・思考力」「成長力」の4側面・12項目について答えてもらっています。4側面・12項目のうち、旧調査から変更したのは3側面、7項目です。
項目を変えた理由は働き方の変化があります。1つ目は「ジョブ型雇用」の普及です。ジョブ型雇用とは、仕事内容をあらかじめ規定し、従業員は専門的なスキルを生かして業務や課題をやり遂げ、成果を出し、評価される働き方です。これが新卒採用においても広がり始めています。ジョブ型雇用を意識したのが「やり遂げる力（遂行力）がある」「専門的な知識・スキルがある」「課題設定・解決力がある」の項目です。
2つ目がジョブ型雇用の普及や人生100年時代で求められる「キャリア自律」や「キャリアオーナーシップ」を意識した項目です。自身の適性・スキルを見極め、仕事の変化に合わせてリスキリング（学び直し）を続けることで新たなキャリアを切り開く可能性が高まります。これに対応したのが「自律力がある」「学び続ける力がある」です。
3つ目はオンラインによるコミュニケーションの普及です。新型コロナウイルス禍以降、ビジネスの現場では、対面とオンライン両方のコミュニケーションスキルが求められるようになりました。その中で人事担当者から指摘されているのが、若手社員の挨拶や質問、交渉、根回しなどに関する力不足です。こうした声によって「対人力がある」「発信力がある」を追加しました。
評価方法についても旧調査では選択肢が「非常にあてはまる」（10点）から「まったくあてはまらない」（0点）までの6段階でしたが、新調査では「平均並み」を2点とし、「非常に平均を上回っている」（10点）から「平均以下」（0点）までの6段階に変えました。
一橋大学は側面別ランキングすべてで1位を獲得
新たな評価軸で順位付けしたのが、「卒業生の活躍度が分かる新・就職力ランキング2025ｰ2026」です。総合ランキングで1位になったのは一橋大学です。一橋大学は4つの側面別のランキングすべてで1位を獲得しました。社会科学系の大学として知られ、2023年に新設した文理融合の「ソーシャル・データサイエンス学部」は大きな話題になりました。
2位は上智大学。「行動力」「コミュニケーション能力」2位、「知力・思考力」「成長力」3位。元々語学力に定評がある大学です。3位の名古屋大学は「成長力」が2位。京都大学、東京大学に次ぐノーベル賞受賞者を輩出している大学です。以下、4位京都大学、5位南山大学、6位熊本大学、7位鹿児島大学、8位東京科学大学、9位千葉大学、10位筑波大学となり、上位10校のうち8校を国立大学が占めました。
私立大学では11位に慶應義塾大学、15位青山学院大学、16位早稲田大学、19位東京理科大学と、東京都の人気大学が上位20位までに並びました。
※ランキング内の東京科学大学は、2024年10月に統合した東京工業大学と東京医科歯科大学の回答を合算したものです。
「新・就職力ランキング」は以下のランキングで構成しています。
・総合ランキング
・側面別ランキング（行動力、コミュニケーション能力、知力・思考力、成長力）
・採用を増やしたい大学ランキング
・注目しており、ぜひ採用したい大学ランキング
・地域別ランキング（総合、側面別；行動力、コミュニケーション能力、知力・思考力、成長力）（北海道・東北、関東・甲信越〈東京除く〉、東京、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州・沖縄）
大学の人材育成の取り組みが分かる「大学の人材育成力ランキング」もあります。
・総合ランキング
・取り組み別ランキング（キャリア教育に熱心に取り組む大学、産学連携に積極的な大学、留学生の支援に力を入れている大学、グローバル教育に熱心に取り組む大学、すぐれた研究を行っている大学、就職支援体制が充実している大学、地域の活性化に貢献する大学）
新・就職力ランキング、大学の人材育成力ランキングとも、「中小規模大学版」もあります。
【調査概要】
●調査名：企業人事に聞いた「卒業生が活躍している大学」調査
●調査期間：2025年2月28日（金）～4月11日（金）
●調査対象：2025年2月現在の全上場企業（新興市場含む、外国会社は除く）と一部有力未上場企業
●調査対象数：5208社
●回答社数：695社（回答率13.3％）
●調査主体：日本経済新聞社と日経HR
●調査協力：日経リサーチ
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