3年連続「就職支援に熱心な大学」1位。名工大の就職・キャリア支援とは

就職、キャリア支援に熱心な名古屋工業大学

日経HRと日本経済新聞社の「企業の人事担当者から見た大学イメージ調査 2023年版」では、企業の人事担当者に大学の取り組みについても評価してもらっています。名古屋工業大学(名工大)は、「就職支援に熱心に取り組んでいる大学」として3年連続1位を獲得しています。企業が高く評価する同大の就職支援について、学生生活担当副学長でありキャリアサポートオフィス長の犬塚信博教授に話をお聞きしました。

名古屋工業大学
学部・学科:工学部5学科と6年制の創造工学教育課程
学生数:1学年約910人
大学院(修士課程)進学率:約75%
就職率:学部98.6%、修士99.6%(2021年度)


「日本の産業界を背負う技術者」として自覚を促すセミナー

――貴学の就職・キャリア支援が企業から高い評価を受けていますが、支援の特長などを教えてください。
犬塚教授 「就職支援に熱心に取り組んでいる大学」1位になるような特別なことをしている意識はないので、何をアピールしたらいいか正直戸惑っています。ただ、本学は技術者を育てる工業大学ですから、もともと産業界との交流は活発で就職に強いと言えるでしょう。そうした伝統をベースに、就職・キャリア形成の一連のサポートシステムを整え、教職員が連携してうまく運用ができていると思っています。

キャリア形成の授業は低学年で必修となっており、1年次「フレッシュマンセミナー」、2年次「産業論」を設けています。卒業後に技術者となって、地域の、そして日本の産業界を背負う人材になるという自覚を促すことを目的としたものです。さらにキャリアについて考えたい学生向けに3年次「キャリアデザイン」を開講し、段階的に学べるようになっています。

目標を設定し、自律的に学ぶ姿勢を持つことから始める

キャリア形成、就職試験に取り組む犬塚教授 「学生それぞれの目標を把握し、日本を背負う技術者の育成に取り組んでいる」と語る犬塚信博教授

――1年次の「フレッシュマンセミナー」はどのような内容ですか?
犬塚教授 まず、「何のために名工大に入学して、これから何をやろうと思っていますか?」と問いかけ、学ぶ目的や目標を学生同士でディスカッションしてもらうことから始めます。学生に発表してもらうこともありますので、こちらも学生の目標を把握することができます。

学生たちの目標には学科ごとに特徴があり、物理工学科では「〇〇を解明したい」などサイエンティフィックな目標を掲げる学生が多く、情報工学科では「人工知能とか自動運転などに関わりたい」などの目標を持つ学生が多い印象です。「地元のトヨタ自動車でこのような仕事がしたい」など、就職を意識した発言なども出ます。目標を持って自律的に学んでいく姿勢を身に付けることは大事ですし、「目標を定めることができるのがいい」と、学生からも好評のセミナーです。

目標設定のほかにも、授業の内容や大学の仕組みの紹介、様々な困難に乗り越えていけるように「セルフマネジメント」の講義などもあります。この地域に工業大学ができた意味など本学の歴史、キャリアを考える土台となる研究内容、技術者・研究者の倫理など幅広い内容を伝え、工業技術者になる自覚を持てるような仕掛けをしています。

卒業生や実務家教員から、産業界、技術者のリアルを学ぶ

――2年次の「産業論」はどのような内容ですか。
犬塚教授 2年次に少し専門の学びが始まったところで、学科ごとに卒業した先輩たちを招き、企業でどのように活躍しているかを具体的に話してもらっています。産業界での技術者の役割を示し、学生に理解してもらうためです。大学として卒業生を招くと形式的な話になりがちなので、各研究室レベルで教員とつながりのある学生に「学生に話をしてやってほしい」と依頼しています。卒業生も喜んで来てくれますね。卒業生の話は良い刺激になっているようで、この授業も学生に好評です。卒業生で社長になった人や、技術の現場で活躍し続けている人から直接話を聞ける「名工大OBOGトップセミナー」も開催しています。

実社会での技術を学ぶために、企業から実務家教員も派遣してもらっています。学生が「企業ではどのような研究開発をしているのか」を知り、大学での研究が社会でどう役立つのかを理解できるようにしています。

大学院進学を踏まえ、学部3年次にインターンシップを経験

――インターンシップにはどのように取り組んでいますか。
犬塚教授 工学部は社会とのつながりが大切なので、インターンシップも充実しています。1週間程度の「ジェネラルインターンシップ」と、3カ月の「研究インターンシップ」があります。

「ジェネラルインターンシップ」は学部3年生を主対象とした、本学の学びを深めるための特別なインターンシップです。大学側から企業にお声がけをして、2019年度は賛同いただいた85社に受け入れてもらいました。自由参加ですが、参加した学生は100人を超えました。

本学は学生の7割以上が大学院に進学します。そこで、「ジェネラルインターンシップ」では、院進学を前提としている学部3年生および4年生の受け入れに賛同くださる企業さんにご協力いただいています。2008年に始めた当初は、企業さんへのお声がけも大変だったようですが、今はうまく回るようになっています。コロナ禍でオンライン実施に切り替わるなどはありますが、インターンシップがうまく回るのは、ここ東海地域の企業が順調ということもあると思います。

長期インターンシップで技術者としての粘り強さを学び、へこたれない学生に

――「研究インターンシップ」は「ジェネラルインターンシップ」とどう違いますか?
犬塚教授 「研究インターンシップ」は、「ジェネラルインターンシップ」とは趣旨が全く異なり、修士1年生が3カ月間、研究開発の現場にしっかり入り込みます。国内か海外か、企業か国の研究機関か、海外の大学か、学生自らが選んで参加します。6年一貫の創造工学教育課程の学生は必修になっています。

先端技術を研究開発する現場で高度な技術を身に付けることはもちろん、「自分でやり遂げた」ことを実感してもらいたいと思っています。ある意味「武者修行」であり、粘り強く、へこたれない学生を育成するのが目的です。ある学生は、インターン先でアイデアを出して研究開発を進めたところ、予想外の良い結果をもたらし、企業の研究員と論文を1つ書き上げて帰ってくるほどでした。

新型コロナの影響で海外現地でのインターンシップは停止していましたが、2022年秋には14、15人が海外に出ます。コロナも心配ですが、学生の成長がとても楽しみです。

――長期インターンシップに参加するにあたり、何か事前研修などはしているのでしょうか?
犬塚教授 インターン先は企業内の情報を漏らされても困りますから、知財関係の情報管理や倫理の授業を受けることが「研究インターンシップ」参加の条件となっています。eラーニングで研究倫理関係についても習得してもらっています。

「技術者として実力をつけたい」との思いで、就職にも真剣な学生たち

名古屋工業大学の就職ガイダンス 就職ガイダンスは、定番から学生の要望の多いものまで多彩なテーマで実施。

――実際の就職につながる支援はどのようなものですか?
犬塚教授 就職ガイダンスは面接対策、自己理解対策、書類対策の講座など、基本的なことは一通りキャリアサポ―トオフィスが主体となって実施しています。コロナ前はガイダンスを毎週水曜日に実施していましたが、現在は主にオンデマンド配信をしています。学生から「何度も見返すことができていい」という声を聞きます。一方的に配信しっぱなしではなく、学生の声やアンケートなどからタイムリーなテーマを吸い上げるなどの工夫をしています。

「オンライン面接が増えてきた」という声に応えて対策講座をしたり、一部の学生が「就職か大学院進学か」を悩むので、悩みに則した資料を作成しガイダンスを実施したりしています。特に重要なガイダンスはオンタイムにして参加を呼びかけるなど、オンタイム、オンデマンドをメリハリつけて使い分けています。

就職ガイダンスのほか、様々な企業の話を聞ける業界研究・企業研究セミナーも、本学独自のものを用意しています。企業さんに本学近くのホール(吹上ホール)に集まっていただくものを含め、「企業セミナー」は年3回開催していましたが、コロナ以降はオンラインで開催しています。

就職ガイダンスも、企業セミナーも、こちらからプッシュしなくても、学生は集まってきます。入学時より技術者として実力つけたい、いい就職を勝ち取りたいと、目標を持って大学生活を過ごしてきたのですから、就職にも真剣です。大学としては学生のその真剣さに応えられる支援内容を用意し、うまく実施できていると思っています。

各学科には就職担当の教員がいます。教授になると1度は就職担当になりますし、教員誰もが就職・キャリア支援を理解できているように学科内で調整されています。「フレッシュマンセミナー」だけでも教員20、30人関わっていますし、教員にとって就職・キャリア支援は当たり前の教育という認識があります。そんな教員が、共同研究で産業界とつながり、そして就職・キャリア支援の職員と連携しうまく支援システムを回しています。

◇  ◇  ◇
「大学での学習が企業の研究に役立つ基礎を身に付けており、即戦力が期待できる」「学生へ提供する情報量が圧倒的に多く、企業とのつながりも深い」など、企業からの評価の高さを裏付けるような教育、支援内容でした。

「就職相談」「なんでも相談」に来る学生個人の相談事にも、「『答えられない、わからない』という姿勢はとらぬよう学内で連携し、大学として頼ってもらえるようどーんと構えていたい」という犬塚教授の言葉も印象的でした。

写真素材(大学外観)/PIXTA


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