日経HRと日本経済新聞社は毎年、「企業の人事担当者から見た大学イメージ調査」の結果を発表しています。今年も、上場企業と有力な非上場企業の人事担当者に、採用した「学生のイメージ」や「大学の取り組み」などについて尋ね、結果を基にさまざまなランキングを作成しています。その中から、今回は「総合ランキング」を紹介します。首位は2年連続で京都大学でした。2位横浜国立大学、3位九州大学、4位は名古屋大学と一橋大学が並びました。
「就職力ランキング」――企業で活躍する人材を輩出している大学がわかる
「就職力ランキング」は、企業の人事担当者に過去２年間に採用した各大学の学生のイメージを聞く「企業の人事担当者から見た大学イメージ調査」の結果を基に作成しました。調査は採用実績のある大学を人数の多い順に挙げてもらい、学生のイメージは主体性などを見る「行動力」、コミュニケーション力などを見る「対人力」、論理的思考力などを見る「知力・学力」、創造力などを見る「独創性」の4つの側面で評価しています。企業で活躍している社員を多く輩出している大学がわかります。総合1位は京都大学、「知力・学力」は3年連続の首位
就職力ランキング2023-2024で総合1位となった京都大学は、4つの側面では「知力・学力」と「独創性」が1位、「対人力」4位、「行動力」6位で、4側面全てで8点以上を得点した唯一の大学です。「知力・学力」は3年連続、「独創性」は2年連続の1位です。企業の人事担当者からは「とがった強みを持ち、学業や研究においてその強みを発揮している人が多い」や、「創造力や独自性が高く、新規分野で貢献している」などの声が挙がっています。特に東京、関西の製造業で活躍する研究職で高い評価を得ています。
※ランキング内の大阪府立大学は2022年4月に大阪市立大学と統合して大阪公立大学となっています。
10位以内に新たな2校、九州大学、千葉大学
トップ10は国立大学10校が占めています。2位は前年4位の横浜国立大学、3位は九州大学で、前年11位からの躍進です。横浜国立大学は、「知力・学力」と「独創性」の評価が高くともに2位。企業からは「自頭がよく、物事を多角的に捉えることができる」「既存プロセスの改善、定例業務の改善などに優れている」といったコメントが寄せられました。九州大学は、前年15位だった「対人力」が1位、9位だった「行動力」が3位と、大幅アップ。「個性を持ちつつも、周囲を巻き込んで仕事を進めている」のほか、「自頭が良い」という企業のコメントも多く見られ、「知力・学力」も前年13位から9位にランクアップしています。新たに10位以内に入ったもう1校は6位の千葉大学。前年13位からの躍進です。前年21位の「行動力」が11位、前年17位だった「知力・学力」が8位、12位だった「独創性」が5位と、3側面で大きくランクアップしました。
私立大学の区分で見ると、トップは19位の慶應義塾大学、次いで20位の早稲田大学。慶應義塾大学と早稲田大学の2校は、得点は19位、20位となったものの、企業からの高評価の「コメント数」はトップクラスでした。上位20位までは、国立大学17校、公立大学1校、私立大学2校という結果でした。
ムック『日経キャリアマガジン特別編集 価値ある大学 就職力ランキング2023-2024』(下記参照)は、総合ランキングを120位まで紹介しています。
小規模大学ランキング 名古屋市立大学が首位に
入学定員1500人以下の小規模大学・総合ランキングでは、名古屋市立大学がトップでした。「対人力」が2位、「行動力」と「独創性」が3位と、「知力・学力」が4位と、満遍なく高い評価を得ています。2位は岩手大学、3位徳島大学、4位愛知県立大学、5位東海学園大学と、トップ5に愛知県内の大学が3校ランクインしました。6位に奈良女子大学、7位湘南工科大学、9位奈良先端科学技術大学院大学、13位北海道教育大学などが入り、小規模大学ランキングには、国公立、私立、単科大学、女子大学など、様々な特徴を持つ大学が並びました。「就職力ランキング」は「総合ランキング」「小規模大学ランキング」のほか、以下のランキングやランキング比較があります。
・側面別ランキング（行動力、対人力、知力・学力、独創性）
・増やしたい・採用したい大学ランキング
・地域別ランキング（北海道・東北、関東・甲信越〈東京除く〉、東京、東海・北陸、近畿、中国・四国、九州・沖縄）
・地域別ランキング 側面別ランキング（行動力、対人力、知力・学力、独創性）
・小規模大学ランキング 側面別ランキング（行動力、対人力、知力・学力、独創性）
・徹底比較 ライバル校対決（東京一工、旧帝大＜東京大学､京都大学を除く＞、筑横千、早慶上理、GMARCH、成成明学、四工大、日東駒専、大東亜帝国、関関同立、産近甲龍、南愛名中）
・大学の取り組みランキング（授業改善に取り組む大学、グローバル教育に取り組む大学、すぐれた研究に取り組む大学、地域の活性化に貢献する大学、就職支援に熱心に取り組む大学、留学生の支援に取り組む大学、学習環境が整っている大学）
【調査概要】
調査名：企業の人事担当者から見た大学イメージ調査
調査期間：2023年2月14日（火）～3月22日（水）
調査対象：2023年2月現在の全上場企業（新興市場含む、外国会社は除く）と一部有力未上場企業
調査対象社数：5070社
回答社数：738社（回答率 14.6％）
調査主体：日本経済新聞社と日経HR
調査協力：日経リサーチ
写真素材／PIXTA
