キャリア教育の現場から

学生の社会的・職業的自立に向けて必要となる能力等を育成するキャリア教育について、教育現場からお届けします。

北海道大学「起業家を目指す学部生へのキャリア教育を試行」
北海道大学人材育成本部特任教授 飯田良親

  • (2018/11/15)

キャリア教育の転換点に

「現在ある仕事の半分は10年後にAIやロボットに置き換えられる」と言われる時代に、社会に出ていこうとする学部生に対してどのようなキャリア教育を行えばよいのでしょうか?現在仕事に就いている人々にとっても、将来自分の仕事がどのように変わっていくのか、そのことを想像するだけでも難しいでしょう。多くの職業自体がなくなってしまうような大変革を迎えようとしている現在、生涯をかけたキャリアをどのように歩むのか、キャリア教育そのものも大きな転換点に差し掛かっているのかもしれません。


日本企業の戦後の発展を支えた終身雇用、年功序列という画一的な人事制度が有効であった時代はとうに過去のものとなり、新卒一括採用という日本独自の採用慣習にも経団連などから見直しの意見が出始めています。グローバル且つ異分野も視野に入れた競争に晒される企業が求める人材には、自ら考え、行動する力が以前にも増して求められるようになっています。

そして、企業に勤めるばかりがキャリアではなく、新たな時代に求められるビジネスを自ら作り出していく、起業家としてのキャリアをより身近に考える時代に入っているのかもしれません。

なぜなら、現在の仕事がAIやロボットに置き換えられていくとしても、人間の仕事が全てなくなるわけではなく、新たな時代に求められる新しい仕事を作り出す需要が次々と生まれてくるからです。ちょうど写真のデジタル化でアナログカメラや写真現像所がなくなった一方で、画像を使ったSNSのような、新たなビジネスが生まれてきたのが好例です。

新しい時代の需要にこたえるには

AIやロボットは、人間にとって新たなツールですが、新たなツールの誕生は
1.人間がツールを使いこなすことに関したビジネス
2.ツール自体の性能や機能を向上させるビジネス
そして
3.人間がツールを利用してこれまで出来なかった新たな価値を生み出すビジネス
といった新事業を生み出すことにつながります。

新しい時代の需要にこたえるには、既存の企業の中から斬新なアイデアが生まれる可能性もありますが、全く新たな発想で、これまでにないビジネスを急速に育てていく起業家がより重要になってきています。起業することがごく一部の人だけに与えられた特別な機会ではなく、やる気とアイデアのある人には、失敗を恐れずに果敢にチャレンジできる、そういう世の中にしていくことが肝要ではないかと考えます。


「キャリア教育の現場から」一覧に戻る