コロナ前後の能力変化 場面によってコミュ力に差

大学イメージ調査

学生の能力にもコロナの影響が出ている
日経HRと日本経済新聞社が実施する「企業の人事担当者から見た大学イメージ調査」で聞いた、新型コロナ後の新入社員を見て感じた「物足りない点」「優れてい点」について紹介します。新型コロナウイルス禍による行動自粛やオンライン授業によって、コミュニケーション能力に優れた面と不足している面の両面が出ています。

新型コロナの感染拡大によって、オンライン授業への切り替え、部活・サークル活動の停止、営業自粛によるアルバイト機会の喪失など、学生生活は大きく変わりました。こうした学生生活の変化が、学生たちの身につけている能力に影響があるのかどうかを知るため、企業の人事担当者がコロナ前後の学生・新入社員に変化があったのかどうかを聞きました。まずは、コロナ前に比べて「優れている点」について説明しましょう。

コロナ以降の学生・新人の優れている点は?

コロナ前に比べて「優れている点」を自由記述で回答したのは746社中276社。記述された文章の中から頻出ワードを抽出しました。

オンラインツールの使い方

最も多かったのは「オンライン」という言葉で、「オンラインツールの使い方」「オンライン上でのコミュニケーションの取り方」が優れているといった内容に回答が多く見られました。具体的なコメントは「就職活動のオンラインイベントや面接などにオンラインツールをスムーズに活用している」「オンライン会議などの作法が身についている」などです。SNSを駆使して友人とコミュニケーションを取る学生にとって、オンラインツールの使い方や意思疎通はお手の物といったところでしょう。

環境の変化に適応する力

次に多かったのは「適応力」。新型コロナによってリモートワークでの仕事へと環境が変わったことに対する適応力の高さを挙げる記述が多く見られました。「在宅勤務でも自分なりに適応し、流動的な状況を受け入れている。プライベートと仕事を切り分けるのもうまい」「入社後からテレワークがメインとなった状況下でも、自主的に同期の繋がりや現場の先輩・上司との関係構築ができていた」といったコメントがありました。

オンライン上でのコミュニケーション

「コミュニケーション」に関する記述も多く見られました。具体的なコメントは「こちらが言わなくてもリアクションする、声を出す、話をしっかり聞いて発言する。会社説明会や社内会議、研修中に現社員より新入社員・学生の方が上手く参加できている」「在宅勤務も多い中できちんとコミュニケーションを取って人脈を作ったり仕事を覚えていた」など、オンライン状況下でのコミュニケーション能力の高さを評価しています。

コロナ以降の学生・新人の足りない点は?

反対にコロナ以降の学生や新入社員を見ていて足りないと思う点について。コロナ前に比べて「物足りない点」を自由記述で回答したのは746社中277社。

リアルでのコミュニケーション

最も多かったのは「コミュニケ-ション」。優れている点でも挙がったコミュニケーション力はオンライン環境での評価でしたが、足りないと指摘されたのは対面で人と接する場面や電話をかけるといった場面です。コミュニケーションに関するコメントは、非常に多くあったので以下に紹介します。

「端末やデバイスでのコミュニケーション能力は高いものの、対面や実際の対話がやや弱い(苦手としている)」
「新人研修がオンラインだからか、先輩・上司との面と向かったコミュニケーションが上手くない人が増えたように思える。それは仕方ないことではあるが、自分から積極的にコミュニケーションを取ろうすれば良いのだが、受け身の人が多い」
「テレワークが基本となっているなかで、社内の人とのコミュニケーションが上手くとれず、業務に関する質問もできない」
オンライン上ではうまくコミュニケーションが取れるものの、リアルな場面でコミュニケーションを取ることが苦手な学生、新入社員が多いようです。

積極性不足で質問できない?

次に多かったのは「積極性」で、仕事に対する姿勢や社内外の人とのコミュニケーションの取り方にに対する積極性の欠如を指摘する声が目立ちました。具体的なコメントは「多くの人が集まるリアルな場では元気がない。あいさつや積極的に人に話しかけられない」「業務に関する質問ができない」などです。

3つ目は「ストレス耐性」。「心の不調により休職・退職する新入社員が例年に比べやや多い」「本配属時に弱音を吐いたり、メンタル不調を起こすことがあった」「定期的に行う面談で、いきなり泣き出す若手がコロナ禍で多くなった」といったコメントがありました。

上記のようなストレスを抱える社員でも「自分自身で、ストレスを感じた時に外に吐き出すことがうまくできていれば前向きに頑張っている」といった声もありました。ストレスをうまくかわしたり、ため込まない方法を教える必要があるでしょう。

まとめ コロナによる課題克服は個人に任せず産学協働で

新型コロナによって、プラス・マイナス両面が見られました。優れているのはオンラインツールの活用、急激な環境変化への適応力、オンライン上でのコミュニケーションスキルなどです。コロナが収束しても、テレワークは残り続けます。オンライン上で仕事をすることは当たり前になりました。また、コロナやロシアによるウクライナ侵攻など、「VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)」と言われる時代です。変わり続ける環境変化への適応力もより一層必要になるでしょう。

一方、不足している能力は、リアルな場でのコミュニケーションスキルや自ら他人に話しかけたり、分からないことを質問したりする積極性、ストレスに耐える・対応する力でした。どんなにオンラインでの仕事が増えても対面でもコミュニケーションがなくなるわけではありません。両方の場面で同じようにビジネスを進められる力が求められます。また、リアルでもオンラインでも仕事を覚え、進めるためには受け身の姿勢ではなく、積極性が欠かせません。そして、オンライン空間での仕事や在宅勤務など、これまでになかったストレッサーが増えています。不足している能力に関しては、個人に任せるのではなく、大学や企業が課題を共有し、産学が協力して克服・育成する必要があるでしょう。

(編集部 渡辺茂晃)

写真素材/PIXTA


【調査概要】
調査名:企業の人事担当者から見た大学イメージ調査
調査期間:2022年2月14日(月)~3月22日(火)
調査対象:2022年2月現在の全上場企業(新興市場含む、外国会社は除く)と一部有力未上場企業
調査対象社数:4982社
回答社数:746社(回答率 15.0%)
調査主体:日本経済新聞社と日経HR
調査協力:日経リサーチ


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