日経HRと日本経済新聞社が2022年6月に発表した「就職力ランキング」は、企業の人事担当者に過去2年間に採用した各大学の学生のイメージを聞く「企業の人事担当者から見た大学イメージ調査」の結果を基に作成しています。同調査では採用実績のある大学の「学生のイメージ」(下記の4側面、12項目)について評価してもらい、側面別ランキングも出しています。今回は、4側面のうち対人力ランキングを紹介します。
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【学生のイメージ:4側面、12項目】
側面1_行動力(熱意がある・主体性がある・チャレンジ精神がある)
側面2_対人力(コミュニケーション能力が高い・ストレス耐性が高い・柔軟性、適応力がある)
側面3_知力・学力(論理的思考ができる・高い教養を身につけている・理解力がすぐれている<地頭がよい>)
側面4_独創性(創造力がある・個性がある・着眼点がよい)
コミュニケーション能力は人事担当者の9割が重視
対人力ランキングは、「コミュニケーション能力が高い」「ストレス耐性が高い」「柔軟性、適応力がある」の3項目の得点を合算し、項目数で割った平均値を「対人力」としています。この3項目は、人事担当者が「非常に重視している」「重視している」と回答した割合が高く、「コミュニケーション能力が高い」(89.9%)、「ストレス耐性が高い」(71.7%)、「柔軟性、適応力がある」(71.3%)となっています。コロナ禍以降、オンラインでも相手の感情をくみ取れる力や、状況や環境の変化に柔軟に適応する力など、「対人力」の重要性はさらに増しています。「世界がキャンパス」を掲げる東京外国語大学が1位
そうした重要度の高い対人力ランキングで1位となったのは、東京外国語大学(総合ランキング9位)です。同大学は、文部科学省採択のスーパーグローバル大学として、「多言語グローバル人材の育成」「日本の発信力強化」「他大学の国際化への支援」に取り組んでいます。長期留学経験者も多く、世界約70カ国・地域から留学生を受け入れるなど、「世界がキャンパス」を掲げるとおり、対人力を磨く環境が整っています。企業からは、「地頭がよく柔軟性もあるので、戦力になるまでが早い」「行動力の高い学生が多く、コミュニケーション能力も高い」などの声が挙がっています。対人力を構成する「柔軟性、適応力がある」は1位、「ストレス耐性が高い」4位、「コミュニケーション能力が高い」10位でした。2位は慶應義塾大学と一橋大学
2位には慶應義塾大学(8.16)、一橋大学(8.16)の2校が並びました。慶應義塾大学は、「コミュニケーション能力が高い」が1位、「柔軟性、適応力」8位、「ストレス耐性」18位でした。同校もスーパーグローバル大学として、国際共同研究や学術交流などに取り組み、グローバル人材の育成に注力しています。一橋大学は、「柔軟性、適応力」が3位、「ストレス耐性」が4位、「コミュニケーション能力」11位です。「ゼミナールを核とする少数精鋭教育」を掲げ、ディスカッションや発表など主体的な学びが同校の特色の一つです。人事担当者からは、慶應義塾大学は「相手の個性も自分の個性も大切にし、他人を尊重することができる」、一橋大学は「コミュニケーション能力と事務処理能力がバランスよく高く、様々な分野で活躍できる」といった声がありました。
4位は、名古屋大学(8.11)、大阪府立大学(現大阪公立大学/8.11)、桜美林大学(8.11)の3校が並びました。続いて7位名古屋市立大学(8.08)、8位神戸大学(8.07)、9位は名古屋工業大学(8.06)、和歌山大学(8.06)の順となりました。
慶應義塾大学がコミュニケーション能力で2年連続トップ
対人力を構成する項目別のトップ5もご紹介しましょう。「コミュニケーション能力が高い」は、慶應義塾大学(8.87)が2年連続トップ、次いで和歌山大学(8.82)、桜美林大学(8.78)、高知工科大学(8.70)、早稲田大学(8.59)。「ストレス耐性が高い」は、名古屋市立大学(8.00)、名古屋大学(7.92)、京都大学(7.85)、東京外国語大学(7.84)、一橋大学(7.84)、「柔軟性、適応力がある」は、東京外国語大学(8.36)、名古屋市立大学(8.33)、一橋大学(8.30)、京都工芸繊維大学(8.22)、桜美林大学(8.16)でした。
【調査概要】
調査名:企業の人事担当者から見た大学イメージ調査
調査期間:2022年2月14日(月)~3月22日(火)
調査対象:2022年2月現在の全上場企業(新興市場含む、外国会社は除く)と一部有力未上場企業
調査対象社数:4982社
回答社数:746社(回答率 15.0%)
調査主体:日本経済新聞社と日経HR
調査協力:日経リサーチ
写真素材/山下 武