2023年卒内定者調査 採用選考編 4人に1人はリアル面接受けずに内定

漂流する就活

naitei2023testm.jpg
新型コロナ禍によって、面接はリアルからオンラインに切替わり、筆記試験は会場で受検するテストセンターから家で受検するWebテストに切替わりました。今回は2023年卒内定者調査から採用選考方法について紹介します。

【調査概要】 ・調査対象 「キャリタス就活2023会員」(2023年卒の大学4年生、修士2年生) ・調査時期 2022年8月22~9月4日 ・回答者数 215人 ・企業情報数 509社


エントリーシートの提出、Web入力が9割

内定者調査では、企業ごとに受けた選考を聞きました。その結果が以下になります。エントリーシート(ES)は90.3%、Webテスト・筆記試験は80.0%、面接は99.0%の企業が実施しています。グループワーク(GW)も10.0%ありました。

naitei2023test1.jpg

オンライン上での選考が増えたものの、選考方法自体は変わっていません。それでは選考について詳細を見ていきましょう。

エントリーシートと言えば、以前は1社1社手書きした用紙を郵送で送付するものでしたが、今はWeb上で入力して提出するのが一般的です。Web入力・提出が全体の9割を占め、手書きはわずか6.5%。他はワードやエクセルで記入したものをPDFにしてメールかWeb経由で送るといった提出方法です。

エントリーシートの質問は、「学生生活で力を入れたこと(ガクチカ)」(84.1%)、「自己PR・強み」(80.2%)、「志望動機」(78.4%)が3大質問です。他に、「将来の展望(やりたい仕事)」(41.6%)、「学業(ゼミ・研究内容)・成績」(31.1%)が続きました。4、5年前から出始めた動画エントリーシートは2.2%と、増える様子は今のところないようです。

naitei2023test2.jpg

替え玉で話題のWebテストはSPIが主流

Webテスト・筆記試験は、「SPI(Webテスト)」が33.7%で最も多く、以下「SPI(テストセンター)」(16.5%)、「玉手箱(Webテスト)」(15.4%)が続きました。新型コロナが流行するまでは、試験会場で受けるテストセンター方式のテストが主流でしたが、外出自粛や感染予防を目的に、自宅で受けるWebテストが増えました。

naitei2023test3.jpg


Webテストは自宅で受検できるため、第三者が本人になりすまして受ける替え玉受検がかねてより懸念されていました。リクルートは21年7月からオンライン上でも有人による本人認証、監督が可能なサービスの提供を開始していましたが、22年秋には就活生に代わって社会人が替え玉受検をし、逮捕者が出る事件が起きました。

リクルートは22年10月からテストセンター同様の本人認証を実施する『テストセンターオンライン会場』を開設し、不正防止に力を入れています。ただ、23年は行動制限もなくなり、リアルな会場での受検が可能になることから、再びテストセンター方式のSPIが増えると予想されます。

Web面接は1次で9割、2次7割、3次5割

最後は面接について。新型コロナ以降、Web面接が一気に普及しました。23年卒の1次面接のうちWebで実施された面接・グループワークは88.4%(個人73.1%、集団9.9%、グループワーク5.4%)にもなりました。Web面接は2次でも76.6%、3次・最終面接でも50%を超えています。

naitei2023test4.jpg

Web面接は1次では昨年よりも2ポイントほど増え、2次は昨年並み、3次・最終は10ポイントほど減りました。インターンシップの選考含めて、リアルな面接を経験したことがない学生は24.2%と4人に1人。コロナ禍当初にはWeb面接は一時的なものと思われていましたが、1つの面接の仕方として定着したようです。

内定までの面接回数は1回が10.4%、2回が41.0%、3回が45.0%と、2回か3回実施が半々といったところ。面接1回で内定を得た学生の4人中3人はインターンシップ参加者でした。インターンシップの事前選考、インターンシップ中の活動内容などによって人物の見極めが済んでいるから本選考の面接回数が少なくても問題ないのだと思われます。

面接での質問については、1次面接から3次・最終面接まででよく出た質問は「志望動機」「学生生活で力を入れたこと」「学業・研究について」「自己紹介」「自己PR」「逆質問」「やりたいこと・キャリアプラン」「業界の志望理由」「他社の選考状況」「志望順位・志望度」でした。

Web面接、対面面接で困ったこととは?

最後に、学生たちにWeb面接、リアル面接で「困ったこと・失敗したこと」を聞きました。Web面接ではPCの調子やWi-Fi環境が悪いために「接続できなかった」「途中で途切れた」や、ヘッドセット(マイク・イヤホン含む)の不具合等によって「音声が聞き取れなかった」「遅延がひどかった」といった声が目立ちました。事前に通信環境等の確認の徹底を伝える必要があるようです。

リアルな対面面接では、「マナーが分からなかった」という声が多く見られました。合否が決まる最終面接での対面が多くなるので、模擬面接での立ち居振る舞いの確認は忘れずに。また、「人前でマスクを外すことに抵抗があった」「ソーシャルディスタンスのために面接官との距離が遠く、声の大きさに気を使った」といった感想もありました。
(編集部 渡辺茂晃)
写真素材/PIXTA