採用担当者重視度 83.7%
みなさん、上のマンガにあるような新人さんを見て、どう思いましたか?突然叱ってきた先輩が悪いのでしょうか。それとも、自分から積極的に手伝おうとしない新人さんが悪いのでしょうか。
社会人基礎力では、「主体性」を「物事に進んで取り組む力」と定義し、「指示を待つのではなく、自らやるべきことを見つけて積極的に取り組む」を行動例として紹介しています。よって、指示をされていないからと言って手伝わずにいる新人さんは、叱られても仕方ないですね。
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指示待ち人間、マニュアル人間とは
周囲の人たちが忙しそうに働いているのであれば、先輩から仕事の指示がなかったとしても、積極的に手伝わなければ主体性があるとは言えません。「指示されなければ何もしない」「指示されたことだけをする」といった人は、一般的には「指示待ち人間」と言われています。また、マニュアルがない、もしくはマニュアルに書かれていないことは、自分で考えて行動に移せない人として「マニュアル人間」と呼ばれることもあります。つまり、「主体性がない」=「仕事のできない人」となるのです。採用担当者83.7%が採用時に最も重視する力として「主体性」を挙げた理由も納得できますね。主体性がないということを、もう少し具体的に説明してみましょう。例えば、近々「高校生向けの新商品開発会議」があるとします。主体性のある人なら、高校生に関する調査を探したり、最近の高校生の間で流行っているものが何かを調べたり、身近にいる高校生に話を聞いたりするでしょう。一方、主体性のない人は、会議に向けて何かするように指示を出されていないので、会議まで何もしないで過ごすだけ。
また、就職活動をしている学生さんによく見られるのですが、「就職活動に向けて何をすればいいのでしょうか」「どんな会社が向いているのでしょうか」「OB・OGに会うのですが、何を聞いたらいいのでしょうか」「お礼の手紙は出したほうがいいのでしょうか」といった質問をする人がいます。このように、自分で判断できずに、全ての行動を他人に頼るような人も主体性がないといえるでしょう。
主体性を鍛える 1 自分の状況を把握する
主体性を持った「仕事のできる人材」になるためには、どうすればいいのでしょうか。まずは、今の自分の立場を客観的に理解することです。自分が何をしなくてはいけないのか、周囲の人々は自分に何を期待しているのかを把握してください。大学生なら学業・研究は当然ながら、学生だからこそできるサークル・部活動やいくつものアルバイトに挑戦してみる、学内外での友人作りなどに挑戦してほしい。その上で、自分はどんな役目を果たすのか、周りは何を期待しているのかを考えなければなりません。働いているなら、仕事に必要な知識やスキルは何かを調べ身につけるように努力したり、異業種交流会に参加して人脈を広げてみたりするといいでしょう。主体性を鍛える 2 決断する
次に自分で考え、責任を持って決断することです。それはどんな小さなことでも構いません。例えば、お母さんに「今日の夕食は何がいい?」と聞かれたときに、「何でもいい」と答えていませんか? これは自分が決断することを放棄しているのと同じです。肉がいいのか、魚がいいのか、野菜がいいのか、自分の意見を言うようにしましょう。友人と遊ぶ際にも「どこに行く?」と聞かれて「どこでもいいよ」と返していませんか。「渋谷はどうだろう」と、候補を出すだけでもいいのです。自分で考え、自分で決めるようにしてください。主体性を鍛える 3 行動する
最後は行動することです。「やるべきこと」は分かっていても、行動しないようでは困ります。自分の状況を把握し、やるべきことが見えてきたら「こうする」「これをやる」と決めて行動する。誰かに言われてから「やろうと思ったのに...」とか、何か事が起こってから「やれば良かった」ではダメです。この3つができれば、「指示待ち人間」にも「マニュアル人間」にもならないでしょう。「指示を待つのではなく、自らやるべきことを見つけて積極的に取り組む」ことができるようになれば、社会人基礎力で最も重視される「主体性」は身に付きます。さあ、今日から、自分の状況を客観的に把握し、自分で決め、行動してみましょう!!
(日経HR 渡辺茂晃)
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日経キャリア教育「キャリエデュ」では、「社会人基礎力診断」を開発・提供しています。「社会人基礎力」とは、以下の3能力と12能力要素からなる、仕事や職場で活躍するうえで必要な力のことです。
<3能力>
前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力
<12能力要素>
主体性、働きかけ力、実行力、課題発見力、計画力、創造力、発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力
就職活動に臨むうえでも、学生たちのこれらの能力は欠かせません。まずは学生たちに足りない力を把握するため、社会人基礎力診断で学生たちの能力測定から始めてみましょう。