採用担当者重視度 4.9%
今回はチームで働く力の「規律性」です。これは基礎力というよりも社会人としては持っていて当たり前のこと、つまり一般常識やマナーと同じようなもの。一人の人間として社会のルールや約束を守って生きるのは当然で、これができないと職場や地域社会の一員として受け入れられない可能性があります。単に約束事を守るだけなら誰でもできますが、情況に応じて自分の行動を律することが社会人には求められます。マンガにあるように他人が見ていない場所では、仕事をサボるようでは規律性があるとは言えません。社会人基礎力では、規律性を「社会のルールや人との約束を守る力」と定義し、行動例を「状況に応じて、社会のルールにのっとって、自らの発言や行動を適切に律する」としています。子どもの頃から言われ続けているような内容ですから、いまさら言うことでもないでしょうが、社会のルールを認識し、そこから外れた行動は取らない、他人との約束は守る、さらには他人に迷惑を掛けないなどを心がけたいものです。これらは社会で生きていく上では最低限必要なことで、これができなければ他人からの信用をなくし、社会から受け入れられなくなるでしょう。
社会人基礎力の3能力12能力要素についてはこちら
仕事に対する姿勢も大事
特にビジネスの現場で約束を守らなければ、仕事はどんどんなくなってしまうでしょう。ルールや約束を守ると同時に、仕事に対して真摯に取り組むことも規律性と言えます。社会人として仕事をすることは顧客に対して商品やサービスを提供することですから、手抜きは許されません。こうした仕事に対する姿勢や取り組み方のほかに、挨拶をするといったことも含まれます。当たり前のことを当たり前のようにできることは最低限必要です。「水は低きに流れ、人は易きに流れる」の言葉にあるように、ついつい人は楽な方へと流されがちで、その過程でルールを破ったり、手を抜いたりしてしまいます。しかし、そうなりそうなときこそ、自分を律する気持ちを強く持たなければなりません。これが社会人基礎力で求められる規律性なのです。
規律性は気持ち次第
次に規律性の鍛え方について考えてみます。まずは普段の考え方や行動を振り返ってみて、社会のルールや人との約束を守っているか、やるべきことに真剣に取り組んでいるかどうかなどを確認してみましょう。もし社会のルールに反したり、いい加減なことをしたりしていたら、すぐにやめることです。自分の気持ちと行動をしっかりと管理することさえできれば、他には何もすることはありません。また、自分だけが規律を守るのではなく、周囲の人たちに対しても守るように促すことも必要です。ただし、何でもかんでもルールに縛られ過ぎるのも困ったものです。行動例にあるように、「状況に応じて」柔軟に対応することが望まれます。人間誰しも約束を忘れたり、無意識のうちにルールを破ったりすることもあるでしょう。そんな時には素直に反省し、次回は守るようにすればいいのです。なんでもかんでもルールを守らなければならないと考えすぎると、何もできなくなってしまいますからね。「だいたい守っていればいい」ぐらいの気持ちでいるほうが、無理なく規律性を発揮できるのではないかと思います。
(日経HR 渡辺茂晃)
◇ ◇ ◇
日経キャリア教育「キャリエデュ」では、「社会人基礎力診断」を開発・提供しています。「社会人基礎力」とは、以下の3能力と12能力要素からなる、仕事や職場で活躍するうえで必要な力のことです。
<3能力>
前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力
<12能力要素>
主体性、働きかけ力、実行力、課題発見力、計画力、創造力、発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力
就職活動に臨むうえでも、学生たちのこれらの能力は欠かせません。まずは学生たちに足りない力を把握するため、社会人基礎力診断で学生たちの能力測定から始めてみましょう。