ストレスコントロール力 耐えるのではなく、コントロールすることが大事

渡辺茂晃

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仕事をしていれば、誰でも失敗はするもの。ミスをして落ち込んだり、悔んだりすることもあるでしょう。でも、大切なのは、失敗したことをいつまでも引っ張らずに、そのミスから何かを学び、学んだことを次に生かそうと考えることです。マンガの社員のように落ち込んでばかりいては周囲も困りますし、今後の成長も期待できません。

社会人基礎力では、「ストレスコントロール力」を「ストレス発生源に対応する力」と定義し、「ストレスを感じることがあっても、成長の機会だとポジティブに捉えて肩の力を抜いて対応する」と、行動例を紹介しています。

ストレスに耐えるのではなく、ストレスをコントロール

大事なのは、「ストレスコントロール力=ストレスに耐える力」ではないということ。「ストレス耐性」という言葉を聞いたことがあるでしょう。これはストレスに耐えられる力を指しますが、社会人基礎力のストレスコントロール力は耐えるのではなく、発生源に対応する力としています。一般的に、ストレスに耐える力のある人ほど、ストレスに耐えようとします。しかし、耐えられる限界を超えてしまうと、精神や体に大きなダメージを受けてしまいます。そうならないためにも、ストレスを受け止め過ぎず、柳の枝のように柔軟にかわしたり、ストレスの元(ストレッサー)への対処法を考えたり、ストレスをイヤなものと考えずに前向きにとらえることが重要です。

例えば、苦手な人(ストレッサー)がいても、「その人が嫌だ、嫌だ」と考えるのではなく、どうすれば気にならないかを考えてみるとか、難しい仕事(ストレッサー)があっても、「大変だ、大変だ」と慌てるのではなく、どうやってやり遂げるのかを考えてみることです。これがストレスをコントロールする力だと言えるでしょう。

現在のビジネスパーソンにとって、ストレスコントロール力の重要度は増しています。インターネットの普及によってグローバル化が進み、デジタル化によって仕事で必要となる知識や技術は日々変化しています。これらによって仕事で受けるストレスは従来に比べ、格段に増えているのです。その結果、仕事でのストレスが原因で精神的に病んでしまう人、さらには離職してしまう人が非常に多くなっています。

独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が、2006年に35歳未満の若年者(企業の在職者とハローワークに来所した求職者)を対象に実施した調査によると、前職の離職理由(複数回答)について、「仕事上のストレスが大きい」が43.0%で最も多い結果となりました。入社3年以内に離職した第二新卒者に限っても最も多いのは「仕事上のストレスが大きい」(26.3%)でした。逆にいえば、仕事を長く続けるには、ストレスとうまく付き合うことができるかどうかが重要なカギを握っているとも言えるでしょう。

日本生産性本部の調査によると、2018年4月に入社した新入社員の50.8%は「今の会社に一生勤めようと思っている」と考えています。おそらく、今の大学生の中にも同じ考えを持っている人は多いでしょう。長く勤めることを実現するには、ストレスコントロール力が大事なポイントになることは間違いありません。基本的にストレスのない仕事なんてありませんから、ストレスといかにうまく付き合いながら仕事をするかが大切なのです。ストレスを避けたり、低減させたりして仕事を続けられれば、就職した会社に長く勤めることもできるでしょう。

ストレスコントロール力の鍛え方

では、ストレスコントロール力を鍛えるには、どうすればいいのでしょうか。基本的にはできるだけ軽いストレスのかかる状況に自分の身を置き、どうやってストレスを回避するのかを経験することです。例えば、サークルやゼミなどで責任を持つという立場や役割に挑戦してもいいでしょう。ただし、あまり無理をしないように。自分のできる範囲で構いません。適度なストレスのある場で、そのストレスをどうすれば軽減できるか、身をもって経験することが大事です。

それができたら、失敗してもいいのでさらにストレスのかかることに挑戦する。勇気を持って取り組んだ経験は、たとえ失敗しても必ず後で役に立ちます。ストレスのかかる状況、失敗、恥をかくなど、さまざまなストレスのかかる経験をすることは、ストレスをコントロールする力を確実に育てます。大きなストレスではなくていいので、小さなストレスから徐々にレベルを上げてみてください。

気持ちはネガティブからポジティブに

気持ちの持ち方も大事です。困難なことがあった場合には、「辛い」「大変だ」「なんでこんなことに」「ああすれば良かったかも」などと、マイナスな考えをしがちですが、できるだけネガティブな気持ちを持たず、もしくは長く引きずらないこと。いずれは自分のためになる、これを乗り越えれば次は楽になる、というような前向きな気持ちでいることです。失敗しても反省し、同じ過ちを繰り返さない方法を考える。クヨクヨしないようにしましょう。過ぎたことは悩んでも仕方ない! そう思うことも必要ですよ、たまには。

プロフィール

渡辺茂晃 渡辺茂晃(株式会社日経HR) 1991年日経事業出版社入社、高齢者向け雑誌編集を経て、96年日本経済新聞社産業部、98年就職雑誌編集、2001年日経就職ガイド編集長、05年日経就職ナビ編集長、09年大学評価・学位授与機構「大学の「学習成果」を軸とした教育・評価・エビデンスの発信を可能とする体制についての研究」研究員、10年経済産業省「社会人基礎力育成グランプリ」運営、12年10月文部科学省「産業界のニーズに対応した教育改善」事業支援、14年桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科非常勤(~19年4月)、日本経済新聞人材教育事業局「日経カレッジカフェ」副編集長、15年中小企業庁「地域人材コーディネーター養成事業」主任研究員、16年経済産業省「健康経営優良法人認定制度」広報担当、内閣府「女性リーダー育成プログラム」主任研究員、18年4月から現職。著書『実況中継 これまでの面接VSこれからのコンピテンシー面接』『マンガで完全再現! 面接対策』『人気企業内定者に聞いた 面接の質問「でた順」50』など。