採用担当者重視度 14.8%
他人と一緒に何かに取り組んだり仕事をしたりする際には、一方的に指示を出すだけでは指示された人も困ってしまいますよね。最低でも何のためにするのかという目的を明確にしないと、マンガにあるように仕事を頼まれた人のモチベーションは上がりません。今回の働きかけ力は、周囲の人たちの協力を得て、物事を進めるために必要な能力のことです。
社会人基礎力では、働きかけ力を「他人に働きかけ巻き込む力」と定義し、行動例を「"やろうじゃないか"と呼びかけ、目的に向かって周囲の人々を動かしていく」としています。大学受験や学業は自分一人の努力でなんとかなりますが、仕事となると話は違います。仕事は一人ではなく、同僚や社外の協力者、取引先と一緒に協力しながら進めるもの。会社では営業職は営業、技術職は技術といったように、社員一人ひとりにそれぞれ専門の役割があり、全員が持っている力を出し合って仕事を完遂させます。仕事を進める上では、働きかけ力はとても大事な力なのです。特にチームやプロジェクトなどをまとめる立場の人に求められます。
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目的を明示し、仲間を鼓舞する
大学生なら3、4年生になると、サークルや部活のリーダーとなり、企業で働いているビジネスパーソンは、経験を積めば管理職となります。このように人の上に立つポジションに就いた人は、多くの人を動かし、指導するというリーダーシップを発揮しなければなりません。ただ、だれもがすぐにリーダーシップを身に付け、発揮できるわけではありません。リーダーシップを身に付けるには、自分が中心となって他人と一緒に何かに取り組む経験が必要になります。その土台になるのが働きかけ力です。周囲の人々に自分と一緒に行動してもらうには、いくつかのポイントがあります。まずは、行動例の「やろうじゃないか!」が重要です。周囲の人々を励まし、気持ちを奮い立たせるためにも、仲間に呼びかけることは大事です。スポーツなどでもチームのメンバーが積極的に声を出し、仲間同士で励まし合っている光景を目にしたことがあると思います。それと同じこと。仲間を鼓舞し、積極的な行動を促すためにも、自ら声を出す必要があるのです。
次のポイントは「目的に向かって」という部分。活動の目指すところである目的を明確にし、全員がそこに突き進むことに意味があります。全員の気持ちが1つになって同じ目的に向かってこそ、チームで動くことの強みが発揮されます。個々が違う方向に進むことなく、全員をまとめることが働きかけ力です。
働きかけ、働きかけられる場に身を置く
働きかけ力を身に付け、鍛えるにはどうすればいいのでしょうか。大事なのは、他人に働きかけたり、働きかけられたりする環境に身を置くことです。大学生なら、サークル・部活動やゼミ・研究室、学生団体に所属するとか、アルバイトやボランティア活動に参加するなど、積極的に他人と交流するようにしたいものです。社会人であれば所属部署でもいいのですが、部署の横断的な組織に加わる機会があればより力が身に付くでしょう。仕事とは別に同僚や取引先と一緒に勉強会を開くのも有効です。最初は単なる飲み会や食事会でも良く、集まってから仕事に関連するテーマを見つけても構いません。自分から積極的に声をかけ、他人を動かすような経験の少ない人は、身の回りにいるリーダータイプの人を参考にしましょう。彼らが周囲の人たちを動かすためにどのように声をかけ、フォローし、目的を共有しているのかを見てください。最初は働きかけるのがうまい人のテクニックを盗み、少人数の中で働きかけてみることから始めてみませんか。とにかく「やろうじゃないか!」と声に出してみましょう。
仕事を成功に導くために
先にも説明したように、仕事は一人でするものではなく、いろいろな人と協力しながら進めるものです。自分だけでなく、共に行動する仲間がやる気を出して目的に向かうことができれば、その仕事は成功に近づくことでしょう。仲間と一緒に全力を出して取り組んだ後の打ち上げは最高です。社会で活躍できるビジネスパーソンになるためにも、「さあ、みんな、働きかけ力を鍛えようじゃないか!」(日経HR 渡辺茂晃)
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日経キャリア教育「キャリエデュ」では、「社会人基礎力診断」を開発・提供しています。「社会人基礎力」とは、以下の3能力と12能力要素からなる、仕事や職場で活躍するうえで必要な力のことです。
<3能力>
前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力
<12能力要素>
主体性、働きかけ力、実行力、課題発見力、計画力、創造力、発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力
就職活動に臨むうえでも、学生たちのこれらの能力は欠かせません。まずは学生たちに足りない力を把握するため、社会人基礎力診断で学生たちの能力測定から始めてみましょう。