2020年2月 全くわからない合格と不合格の違い

意識普通系な僕の就活日記@shimi(明治大学商学部)

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 本選考が始まりました。僕が受けているのは人材業界で、ほかの業界よりも開始時期が早いように感じます。まだ選考を受けたことのない人がいる一方で、誰かが内々定をもらったという噂もよく耳にします。選考が早い人や遅い人、就活を進めるペースは人それぞれです。それでも、志望する企業の本選考を受けることは、誰もが通る道ではないでしょうか。もし選考につまずき、就活が何かわからなくなった就活生がいたら、僕の就活体験談を紹介してください。僕も、迷っています。きっと気持ちが楽になるはずです。

「君のことをもっと教えてよ」

就活は、何が正解なのでしょうか。

2社目の採用面接を受けたとき「これはいけた!」と手応えを感じた。そのときの面接は面接担当者1:学生3の集団面接で、1人の面接担当者に向かって3人の学生が自分の存在をアピールする形式だった。僕はこの面接で、完璧な返答をやり遂げた。自己紹介はスラスラと詰まらずに話せたし、学生時代に力を入れたことは何かと問われれば、ほかの2人よりは確実に誇れる体験談を答えた。面接担当者に良い印象を与えるため、興味を惹きつけようと話にオチまで加えた。

そのときの面接担当者は「いいね、君のことをもっと教えてよ」と言って、僕との会話を楽しんでいるようだった。何度も笑いながら、面白いね、と褒めてくれた。ほかの学生はというと、緊張して固まりながら、頬を赤く染めてたどたどしく回答していたので、自分を出せていないというか、間違いなく自然体ではなかった。

その日は、心の底からやり切れた、という満足感を持って、午後から始まる大学の講義に出席した。同じ講義に出席していた友人は僕を見て、いかにも就活への自信が滲み出ている嫌なヤツだと思ったことだろう。あの日の僕は肩で風を切って歩いていた。

それから数日が経ち、企業から一通のメールが届いた。件名には「面接の結果についてのご連絡」と記載されている。その時の僕は選考に通過した自信に満たされていたため、自分へのご褒美として購入したタピオカドリンクを飲みながら、ためらいなくそれを開封した。

視界に飛び込んできたのは「ご期待に添えない」の文字。目にした瞬間、自分でも「アッ」だか「ウッ」なのかわからない声が漏れ、飲んでいたタピオカを思わず喉に詰まらせた。えっ、なんで。気管に入ったタピオカで咳が止まらず、不合格の原因を考えようとしても頭が働かなかった。

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素の自分を出したのに通らないなら、そこは合わない企業なのだろう。納得できない気持ちが残ったが、これから先にできることと言えば、気持ちを切り替えて他社の選考を受けることだけだった。

グループワークの自己紹介で圧倒されて

しばらくしてから別の企業の選考を受けた。この企業は、一次選考でグループワークが課せられている。会場に入ると、6人掛けのテーブルへ案内された。6人......。少しだけ人数が多い気がする。グループワークで結果を残したい僕は、少しでも人事の目に留まろうと発言の機会を求めている。人数が増えれば、その分会話のマウントは取りづらくなるので、大勢で行うグループワークは苦手だった。

用意された席が埋まると、グループワークが始まった。1つのグループを担当者がくまなく監視し、話の進め方や役割分担など、すべての取り組み姿勢を評価している。まずは、ディスカッションの前に自己紹介を行うところから始まった。

「○○大学から来ました。△△と申します。趣味は歩くことで、この前は東京から京都まで徒歩で行きました。よろしくお願いします」

ある学生が、同じ学生とは思えないほどの行動力をアピールしてきた。東京から京都まで歩くってなんだ。人間なのか。彼が班員から尊敬のまなざしを集めているのを肌で感じ取り、僕は自己紹介だけで弱気になった。

「□□大学から来ました。××と申します。実は私も似たようなことをしていまして、自転車が趣味なのですが、先日は東京から北海道まで、津軽海峡だけフェリーに乗って、ほかはすべてサイクリングで行きました」

次の学生も自己紹介で心をつかむのが上手い。またしても班員からの視線を独り占めだ。それにしても、交通機関を利用しない旅が流行っているのだろうか。たくましすぎる。普通の人が真似できそうにない行動体験を語るだけで、人はカッコよく見えてしまうものだ。

僕の自己紹介が班員の曖昧な反応で流され、そろそろ課題に差し掛かろうとしたとき、2人の学生が会場へ遅れて入ってきた。

「遅れました。すみません!」

それを見て担当者が答えた。

「しょうがないな、じゃあ、この班に入れてもらって」

この班というのは、僕の班でもある。6人いるテーブルに遅れてきた2人が加わった。お誕生日席に座り、何食わぬ顔でディスカッションに混ざっている。彼らの異常なほどの積極性から、遅刻した評価を挽回しようとする思いが伝わってくる。一方、遅れて来た学生に会話の主導権を奪われてたまるものか、と初めから参加していた学生も目立とうと必死になり、自分の意見を主張し合った。

投げやりに開封したメール

そのグループワークで、僕は完全に圧倒されていた。周りの勢いに負けて、30分間のディスカッションうち、3回しか発言できなかった。あまりにも僕が会話に入れなかったので、徒歩で京都まで歩いた彼が「大丈夫か?」と優しく気遣ってくれた。その日の選考に希望はなかった。

次の日の昼休み、昨日の自分を慰めようと、優しい味を求めてうどん屋に入った。運ばれてきたうどんは鰹節の風味がまろやかで、僕の心を癒してくれる。しばらく店内で落ち着いていると、スマホの画面が光った。どうやら昨日の選考結果がメールで届いたらしい。アピールできなかったし、どうせ無理なんだろ、と投げやりにメールを開封した。

1次選考は「合格」です。2次選考のご案内を致します。

うどんを喉に詰まらせました。就活はわからない。

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プロフィール

@shimi(明治大学商学部) 趣味は海外サッカー観戦、TWICE。アルバイトは居酒屋。