22年卒内定者調査 インターン編 コロナ禍でも参加率は19年並みの96.3%

漂流する就活

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職場での就業体験は10%以下に。グループワークは8割

コロナ禍でのインターンシップ、採用選考を経験した2022年春卒業予定の学生たち。彼らが経験したインターンシップ、採用選考は、これまでに誰も経験したことのないオンライン中心の活動となりました。どのようなプログラム、選考試験があったのでしょうか。就活を終えた内定者へのアンケート結果をもとに解説します。
※この記事でのインターンシップには、「1日仕事研究」「1日仕事体験」などの1dayを含みます。

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【調査概要】 ・調査対象 「キャリタス就活2022会員」(2022年卒の大学4年生、修士2年生) ・調査時期 2021年8月25~9月5日 ・回答者数 242人 ・企業情報数 600社


実施企業は減っても参加学生は変わらず

22年卒者向けのインターンシップは新型コロナウイルス感染症の流行によって一時期は実施する企業が大幅に減るのではないかと見られていました。実際、インターンシップのピークである8月に実施できた企業は少なかったものの、9月には体制を整えた企業が開催にこぎつけました。ただ、中堅・中小を中心に対応できなかった企業も多く、キャリタス就活を運営するディスコの調査※によると、20年度のインターンシップ実施企業は63.3%。前年度の77.2%から14ポイントも低下したのです(「2022年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査」(2021年2月))。

実施企業は減ったものの、インターンシップに参加した学生は96.3%と、コロナ前の21年卒(96.2%)と同レベルとなりました。オンライン開催によって1度に多くの人数を受け入れられるようになったことや、地方に住む学生も首都圏の企業のインターンシップに参加できるようになったことが大きかったようです。参加社数も10社以上の参加者が44.2%と、21年卒よりも4ポイント以上増えました。

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オンライン参加が約7割に

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インターンシップの参加形式もオンラインが圧倒的に多く、オンラインのみが67.4%、対面が24.5%、オンラインと対面の組み合わせが8.2%でした。この傾向は21年も同様でした。リクルートの就職みらい研究所が21年10月に発表した「2023年卒 のインターンシップ・就職活動準備に関する調査」でも、オンラインインターンシップがさらに拡大しているという結果でした。

オンラインによって参加社数が増えたものの、本来インターンシップとは言わない「半日」「1日」のプログラムで45%を占めています。コロナ禍での実施のため、「やむを得ず」ということでしょうが、コロナが収まってもオンラインでの1日以下のプログラムが減らないという可能性も否定できません。リアルに比べてオンラインは低コスト、低労力で実施できるメリットを考えると、後戻りできない企業も多いでしょう。

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グループワークは8割が経験

学生たちがインターンシップで体験したプログラム内容は「グループワーク」が78.1%で最も多く、「座談会」(60.9%)、「講義」(50.6%)と続き、インターンシップ本来の意味である「職場での就業体験」は7.3%でした。コロナ禍での実施であるものの242のインターンシッププログラム中17件という少なさで、そのうち13件は理系学生対象でした。

参加学生に参加してよかった点を聞いたところ、「社内や社員の雰囲気がわかった」(73.8%)、「企業理解が深まった」(70.0%)、「仕事理解が深まった」(64.4%)、「業界理解が深まった」(56.7%)、「他大学生と交流できた」(42.1%)が上位5つでした。就業体験ではないものの、グループワークや座談会での社員との交流を通して、企業や仕事についての理解を深めることはできたようです。

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オンラインでも困ったことは変わらず。4人に1人がWi-Fi環境

インターンシップ参加中に困ったことは、1位「服装」(36.5%)、「社員の方との雑談の仕方」(31.3%)となり、コロナ前と変わりはありませんでした。3位「オンラインで参加中のWi-Fi環境」(24.5%)は今年から加えた選択肢でしたが、4人に1人はWi-Fi環境のトラブルがあったようです。

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学生から好評だった企業は?

最後に、学生から好評だった(3人以上が評価)インターンシップは、三井住友海上火災保険、日本政策投資銀行、大阪ガス、三菱UFJ銀行、キヤノンの5社。唯一4人の学生が「良かった」と回答したのは三井住友海上火災保険。同社のインターンシップは4日間で、参加形式はオンライン実施。プログラム内容は講義、グループワーク、仕事の疑似体験、座談会など多彩。具体的には「初日は講義中心。2日目は内定者が顧客を演じ、その顧客に対してグループで商品を売り込む擬似ワーク。3日目はグループで問題のある企業に対し必要な保険商品の分析。最終日は新しい保険商品を考案し、プレゼン」といった内容。そして、プレゼンの上位チームには早期選考につながるパスを得られるという特典付きでした。

日本政策投資銀行は1dayのオンラインと3日の対面ともに好評を得ました。大阪ガスはオンラインで、2日、4日、5日と、参加期間がさまざまでした。三菱UFJ銀行もオンラインで1日、4日、3日の実施。キヤノンもオンラインで1日と6日がありました。共通するのは参加期間や参加形式に関係なく、グループワークを中心に、講義、座談会や仕事の疑似体験、職場見学など複数のプログラムが組み込まれていることです。学生を飽きさせないプログラム構成が人気なようです。
(編集部 渡辺茂晃)