21年卒内定者調査 本選考編 新型コロナで早いもん勝ちの就活

漂流する就活

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新型コロナウイルスの感染拡大によって就職活動は大きく変わりました。リアルな活動からオンラインでの活動に変わるなど、企業と学生共に新型コロナに翻弄された1年でした。コロナ禍での就活はどのように進んだのでしょうか。アンケート結果から見えてきたのは、インターンシップに参加するなど、早期から就活に取り組んでいた学生が有利に就活を進めていたことでした。

インターンシップ参加のメリットは多岐にわたる


本選考を受けた企業について、インターンシップに参加していた場合の優遇の有無について尋ねました(複数回答)。最も多かった優遇は「早期選考の案内があった」の34.3%。「選考の一部を免除された」(24.0%)、「インターンシップ参加者限定の説明会、セミナー等があった」(12.4%)、「リクルーター等を紹介された」(7.8%)が続きました。「特に優遇されたとは感じなかった」という回答も21.5%あるため、過度に期待するのは禁物ですが、一般的に言われる「インターンシップに参加すると本選考で有利になる」を裏付ける結果になったといえます。

具体的には「本選考は最終面接のみだった」「インターンシップに参加したことで、リクルーターの方から面接の内容やESの添削などを手助けしてもらった」などの優遇がありました。また、インターンシップの担当者が本選考の面接を担当することもあり、「顔なじみの人との面接で話しやすかった」といった感想も。ただ、面接時にはインターンの感想や志望度にどう関わったかなどを問われることも多く、単に参加して満足するだけではなく、志望動機と関連付けて参加で得た気付きなどを話せるようにしておく必要があるでしょう。

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テストセンターに変わってWebテストが急増

選考方法について見ると、エントリーシートは例年と大きな違いはありませんでした。新型コロナの影響を大きく受けたのは、「Webテスト・筆記試験」と「面接」でした。受けたWebテスト・筆記試験の種類を尋ねたところ、SPI(Webテスト;30.5%)、 SPI(テストセンター;21.7%)、企業オリジナル試験(15.6%)、玉手箱(13.2%)の順に多くなりました。SPIはペーパーテストも含めた3つの受検方法を合計すると55%以上になり、採用試験としては最も多く使用されているといえます。

しかし、受検方法は昨年までと異なり、「Webテスト」が「テストセンター」を上回りました。新型コロナの影響でテストセンターが閉鎖され、テストセンターで予定されていた試験をWebテストに切り替える動きがあったためとみられます。22年卒以降もこの傾向が続くがどうか注意が必要ですが、テストセンターでSPIの受検を課してきた企業を志望する学生は、Webテストの対策もしておくと安心でしょう。

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面接はWebが過半数。対面式に「安心感」の声も

面接は1次、2次、3次とも、ZoomやSkype、WebexなどWebツールを使用した「Web面接」の割合が、「対面面接」を上回り過半数を占めました(1次面接:Web合計51.8%、対面合計43.6%、2次面接:Web合計57.5%、対面合計41.6%、3次面接:Web合計53.0%、対面合計47.0%)。

選択肢が異なるので正確な比較にはなりませんが、20年卒の面接形式と比べてWebツールを使用した面接が激増したことは明らかです。反対に、20年卒では1次面接で半数近くの学生が経験していた「グループディスカッション(GD)」が大きく減りました。新型コロナの影響で、学生が集まって「密」になるのを避けた結果でしょう。

学生からは「Web面接だけでなく、対面面接を行ってもらえてよかった」など、対面しての面接を評価する声があるのは興味深いことです。「選考を対面で行ったためミスマッチが少ないと思った」など、社員に直接会って話をすることに安心感があるようです。なお、インターンシップに参加したことで選考の一部が免除され、「慣れないWeb面接がいきなり最終面接になった」という学生もいました。優遇のはずの選考免除が学生にとって裏目に出てしまったのは、皮肉な結果といえるでしょう。

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インターンシップの生かし方、社風を読み取る工夫

21年卒の就活は新型コロナの影響で、3月頃から規模の大きな会社説明会が中止になる、大学への登校も自由にできず情報や支援が得づらい、面接日程や形式が急遽変更になる、といったハンディを背負って進めざるを得ない状況となりました。自由記述からは、そのようななかでも柔軟に対応できるよう腐心していた学生たちの様子が浮かびます。

例えば、対面での面接が減るなど、実際に企業に足を運んで雰囲気を感じる機会をなかなか得られない中、企業とのやりとりや対応をヒントに、少しでも社風を判断しようとしていたようです。また、面接でコロナ禍での過ごし方やアフターコロナの業界動向、社会の変化について問われた学生も多かったようです。置かれた状況について自らが深めた考えを、うまくアウトプットして乗り切っていったのでしょう。

※【調査概要】
・調査対象 「キャリタス就活2021会員」(2021年卒の大学4年生、修士2年生) ・調査時期 2020年9月14~23日 ・回答者数 265人 ・企業情報数 677社